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私は騎士団のチートな紅茶師です!  作者: 奏多
第二部 騎士団の喫茶店

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火竜対策を練ってみる

 すぐに意識が団長様のことに戻ってしまいそうなので、私はお店を開けることにした。

 一人でじっとしているのは良くない。

 だって結論の出ない堂々巡りで、頭の中がいっぱいになるもの。


 とはいえ、お店に人が来るわけもない。

 騎士さん達は、火竜の討伐準備で大忙しだ。

 だから来る人と言ったら、この人ぐらいだった。


「ところで、炎を防げる茶なんてものはあるんですか?」


 今日もヘデルを納品に来たイーヴァルさんに、そう尋ねられた。


「炎耐性がつくお茶はあるにはありますが、火竜の炎に対抗できますかね?」


 もうちょっと強くない魔物の炎なら、怪我を抑えることができるだろうけど。あの火竜のブレスを想定しているのなら、上級魔法の精霊の盾一択ではないかなと。

 実際にブレスを防いだ身からすると、そう思ってしまう。


「やはり茶では効果が弱いですか……」


「一応研究はしますが、間に合うかわかりません。なので、魔法の方がよほどいいかと思います」


「なるほど。確かにそうでしょうね。一応模索をお願いします。第一陣が明日には出ますが……」


「わかりました」


 イーヴァルさんはヘデルの料金を受け取ると、うなずいてすぐに立ち去った。

 それでもイーヴァルさんと竜の話をして、気持ちがよりそちらにリセットされた気がする。

 団長様の剣の力が使えない以上、通常戦力であれを倒さなければならない。

 だからイーヴァルさんも、何かしら騎士達の防御力を補強できるものがほしいのだろう。火竜のHPは削るの大変そうだからなぁ……。


 私ゲームでは別の騎士団に所属してて、火竜が通り過ぎたことで現れた、魔物退治の方をやってた。だから詳しくはわからないけれど。おそらく火竜の方がハードモードだろう。


「たぶん、ブレス以外にも何かしらの魔法攻撃とかもあるだろうし」


 ネットの話で、火竜がばら撒く火の粉に当たると、後の全体攻撃ブレスでダメージが倍増するとか。ブレスを五回以上吐かせると、足場が一定時間で少しずつ削れるとか。うっかりその範囲にると落ちるとか聞いたことが。

 せめてそれだけでも伝えなければならない。だって、ゲームと違ってリスタートとかできるかわからない。

 それを伝えるなら、団長様だ。精霊に聞いたと言って話せば、いけるだろう。


「うううう……」


 くそう。またさっきのことを思い出してしまった。


「今は忘れるの。きっと団長様だって、そんな本気じゃ……」


 元々、ああいう事柄については言葉選びがおかしいから、あれもその延長……。だけど口づけはどう考えたらいいかわからない。

 本当の犬猫だったら、私だってちゅーしてしまうけれど。でも私人間だし。ペット扱いの契約する時だって、団長様は私が人間だから、この魔法を勧めるのはためらっていたぐらいだし。


「だめだめ。せめて団長様が何か言う時が来るまでは、ペットと勘違いしたと思え私」


 両頬を手でぱちんと叩いて、思考から団長様のことを追い出す。

 そう。団長様がそういう気持ちだと言ってくれない限り、私だけ浮かれて想像して、空回りするだけになってしまうもの。

 頬を叩いただけでは効果が弱かったので、お茶を淹れて飲み、気を取り直す。


「……ええと、他の方法もあるといいんだけどな」


 火竜は魔女に呼ばれたとはいえ、操られているという感じではなかった。ということは、導きの樹の精霊にやったみたいに、お茶で状態解除をすることもできない。

 せめて力を弱めることができたら、楽に戦えるし、犠牲も出さずに済むと思うのだけど。

 だって蘇る魔法なんて、聞いたことがないもの。


「そもそも、どうやって呼び出したんだろう」


 魔力を使って、ここに来いと誘導した?

 それだけだったら、団長様にあれだけのことをされたら逃げて行くと思うし……。

 何か、取り引きをしているんだろうか。それなら魔女が差し出した代償に、見合うものを与えられれば立ち去る?


「そもそも取り引き材料もわからないんじゃなぁ……。あと火竜を説得できるかどうか」


 火竜は思いきり殺る気満々だったもの。話を聞いてくれそうに見えない。

 誰もいないのをいいことに、私はステータス画面を開いて色々と考える。

 お茶は上位効果のお茶のヒントなんかを見ても、まだ炎耐性のお茶を作った方が早そうに見えた。……これは後で作業してみよう。


「あとは私が倒しに行くか……」


 これはクエストだから、私が動くのなら、ソラに行って精霊さんプレイヤーを連れて行くことは可能だろう。精霊さんなら、足場が崩れても落ちそうにないし。炎の精霊が盾役をする分には、ダメージを受けないだろう。

 ただそれで本当に倒せるかな。

 こっそり山へ行けるかどうかもわからない。


 あと魔女と対決する前に、私が魔女だとバレてしまうのも困る。それまでは騎士団にいなくては。

 それに私がここを出て行くまでの間に、お茶の普及をしなくては。行商人さんには売ったので、次は町でも売ってもらいたい。

 なにより団長様が許可してくれるかどうか……。


「うううう」


 唸りながらステータス画面を見ていると、ふとチャンネルDの色が変わっているのを見つけた。

 いつもより、淡い色の変化なのですぐ気づかなかったみたいだ。


「え、これってまさか、交信可能?」


 とにかくボタンを押してみた。

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