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【新連載】奥様は聖女様――契約妻になったらどういう訳か聖女にされました  作者: 赤城ハルナ/アサマ
【第一章】契約妻になったら外界が阿鼻叫喚になりました

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契約妻ノアはスキルで今日も快適生活

 結婚式が終わり、旦那様のお姫様抱っこで奥様部屋へ案内された。

 あとでテリア家へ移転してウェディングドレスを義母に返却しよう。これ、自分では脱げないもの。

 ついでに着替えと食料を持って来よう。


 さっそくわたしは奥様部屋を快適にするための作業に取り掛かった。扉の外が騒々しいけれど無視。


「スキル・オール電化!」


《ドンドン、ドドドン!!》


 轟音とともに電化製品が次々に現れ、豪華なLEDシャンデリアが部屋中を照らした。

 バスルームにはユニットバス、電気給湯器でお湯が出るようになった。

 デスクの上には電気ケトル。常時暖かい飲み物を用意できる。


 そうだ、お茶とお菓子と、自分用の食器も持ってこなくちゃ。


 壁には某リゾート地を模した名前のエアコン。窓の外に室外機が出現したはず。暖炉の使い方を知らないから、これだけははずせない。

 トイレは自動洗浄トイレにチェンジ。

 扉にはセキュリティをかけ、カードキー式スマートロックにした。これでアナログキーは使えない。

 念のため窓にもセキュリティーをかけよう。


 オール電化部屋の出来上がり。


 これでわたしの部屋には誰も入れない。

 わたしの『スキル』の秘密をホワイト家に知られてはいけない。

 立てこもり完了。


 たちまち奥様部屋が、屋敷のどこよりも居心地の良い場所になったのでした、バンザイ。

 どこの発電所から電気を引いているのか、なぜ電源がなくコードレスなのか、誰がお金を払っているのか。謎。


 専属メイドは必要ないと執事さんには告げてあるので、この部屋へ入る者はいないはず。扉を叩く音がうるさいけれど、気にしない。ラジオの音量を上げればいいんだものね。


 さて、いったん男爵家に戻ろう。


「まぁ! もう帰って来ちゃったの? 今日は結婚式だったわよね? わたくしたちは招待されなかったけれど……」

「ノア姉様、結婚したんじゃなかったの?」

「ウェディングドレスを脱ぎたいから戻って来ちゃった。ほら、わたしってどこへも行けるから」

「そういえばそうだったわね。ノアは便利な子ね」

「便利……三拠点生活だから頻繁に戻るつもり。これからもよろしくね」

「うん、もちろんだよ。あんな伯爵家じゃなくて、今まで通りテリア家で生活すれば? 伯爵様と離婚したら、ぼくのお嫁さんになるといいよ」

「えっ?」

「それもいいわね」

「……」


 ツッコミどころが多すぎる。


 着替えも済んだし、必需品も背負ったし、奥様部屋に戻るね。

 おやすみ養父母様、かわいいテレンスちゃん、優しかったおじいちゃん。


 初夜?

 そんなのあるわけないじゃん。

 だって契約妻だよ、それに子供は不要らしいもの。一度しか会ったことのないアラサー男とムニョムニョなんて気持ち悪いよね、あり得ないよね。


 絶対お断りです!


 住む所はあるし、お店で稼いでいるから衣食は自分で何とかなるし、移転すればどこへも行けるし、今のところ奥様部屋から屋敷内へ出るつもりはないし。

 それに、どうやら奥様の出番は無さそうだし。


 なんたって、

・書類上の形式的な夫婦

・子供は不要

・社交は不要

・契約期間は二年間


 だものね。自由過ぎて怖いくらい。

 ありがとう、よく知らない旦那様。心から感謝しています。


 明日からまた『ワイルドなウィッチショップ』へ出勤しよう。

 あそこは首都だから、お食事やお買い物にも困らない。


 契約妻一日目が終わりました……慌ただしかった〜。


 おやすみなさい。





 この世界へ転移してきたのは、もう二年前になるかな。そのうち実家に帰れればいいな。


 わたしがこちらに転移して来た経緯だけど……。

 大学の夏休みに近所のレイクカフェでひと休みしていたら、いきなり目の前に現れたのだ――グルグル渦巻く特異点が。


 地理学科の大学生だったわたしは好奇心から特異点に突っ込み――身体全体が吸い込まれた――と思ったら、まばゆい光とともに古ぼけた寺院が現れたわけ。

 わたし特異点体質でも不幸体質でもないのに……いや、もしかしたら特異点体質なのか?

 この世界は元の世界と対になっているのか?

 パラレルワールドなのか?


 そんなこんなで、美人シスターに見つかってしまったのだ。


『光をまとったあなたは……せ、聖女様!?』とか言ってたっけ。

 あっけにとられたわたしは、しばらくぼ~っと突っ立っていた。


 そのすぐ後、『まぁっ、何てカワイイ娘さんでしょう! 寺院に捨てられていたなんて可哀そうに……これからわたくしたちがあなたの両親になるわ』と、あるご夫妻に連れ去られた……というか、引き取られることになった。

 あっという間の出来事だったので、考える時間も拒否する時間もありませんでした。


 その夫婦は何年か前に娘さんを亡くして寂しかったとのこと。

 亡くなった娘と同年代の孤児を首都の寺院で捜していたところ、ヒラヒラリゾートワンピ姿のわたしが清楚な少女に見えたらしい。

 そんなシンプルな理由で養女にしたのか。

 わたし、この国の人たちとだいぶ容姿が違うんですけど。男爵家は黒髪薄顔だから、そこまで違わないか。


 名前は本名のノア(乃彩)にした。引き取り先の家名は『テリア』だから、ノア・テリア。

 犬みたい、ワシワシッ。


 年齢はシスターが見た目で判断した結果、十五歳になりました。本当は二十歳です。サバ読みありがとうございます。


 新しい両親は何とお貴族様、男爵家。それはそれは愛されましたよ、溺愛ってくらいに。

 お姫様みたいなドレスを買ってもらったり、お誕生日会(引き取られた日がわたしの誕生日)、旅行や観劇、音楽会などなど。

 テレンスちゃん(二つ違いの義弟)とも仲良くなり、おじいちゃんもわたしとテレンスちゃんを甘やかしてくれた。


 実はこの男爵家、計画性もなく優柔不断なんだよ。無計画でお金を使っちゃうの。経済感覚ナッシング。

 贅沢し放題。

 領内ワイナリーの高級ワインで儲けているから。


 ところがですよ。

 翌年おじいちゃんが難病にかかったとき、『どんな病気にも効きます』という詐欺に引っかかって、義両親は高額な薬を買い続けてしまった。にもかかわらず、おじいちゃんは亡くなった。

 どうしても見捨てられなかったんだね。気持ちは分かるけど。


 それもあって男爵家の財政は急激に悪化した。


 男爵家のこれからが心配。義弟のテレンスちゃんは冷静に一家を支えてほしい。

 陰ながらわたしも協力するから。


 そしてわたしの『スキル』についてなんだけど……。

☞ショートショート『契約妻になったら外界が阿鼻叫喚になりました――皆様、何やってんですか?』で契約内容にあった『契約は年一回の更新、更新日は結婚記念日』という項目は『二年間の契約』という内容と矛盾するので削除しました。

☞義弟テレンスも、ショートショートは違い、いつの間にか結婚しているということはありません。

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