俺生きてた?閻魔大王様に謁見する!V
閻魔大王side
「やっぱりあの転生方法やめません?亡者がショック死しますよ」
「もう死んでおるんじゃからもう一度死ぬなんて、有り得んよ。……それにしても今の亡者は面白いやつじゃったの」
「確かに面白かったですねー。ちょっと休憩するか、お前も口調とか戻して良いよ」
閻魔大王側近の獄卒が砕けた口調で喋り出すと閻魔大王はニヤリと笑い、被り物を取り、きっちりと正した髪を崩し、赤色の派手な道服を着崩して行儀悪く机に足を乗っけた。
「やっと休憩かー。はぁ、現世の人間達がイメージする閻魔大王様って殆どこういう喋り方だけど、お爺ちゃん口調で何気に疲れるんだよね。イメージには、乗っかっと来たいから辞めないけど……はぁーー疲れた」
「確かに現世のイメージはそうだけど、疲れんならお前が乗っかる必要なくね?閻魔大王は代替わり制だし、ありのままでいいだろ。しんどくね?」
「そっちはしんどいって感じたことある?」
「いや?感じた事ねぇ。お前みたいに大幅に変えてるわけじゃないし」
獄卒の言葉に閻魔大王は一瞬考えて、1つため息を吐いた。
「うーん、この口調も態度も今は気に入ってるから辞めないかなー。まぁ気が向いたら辞めるよ、口調も格好も?……後なんだっけ?」
「転生方法」
「あぁ……転生方法もね」
「それは今直ぐにでも辞めて欲しいんだけどな」
閻魔大王と獄卒がわちゃわちゃと揉めていると、2人の後ろにひっそりと隠された小さな扉から髪がボサボサで、服も薄汚れている鬼が入ってくる。
「おっひさー、ケットシーを転生先に選んだやつってまだいる?」
「一足遅かったな、もう転生した」
「あんだよー、イタズラで入れといたケットシーを選んだやつと喋ってみたかったのにーー。絶対俺と同じ感性の持ち主じゃん。てか、そいつがワーキャットに興味持ってる段階で呼び出しといてくれよぉー、てか俺が来るまで時間稼ぎしーーとーーけーーよーー」
ボサボサの男は閻魔大王の御前とか関係なくズカズカと我が物顔で入ってきて、獄卒と友人のように話し、子供のように駄々をこねて体を左右に揺らした。
「チッ誰がお前なんて呼ぶか。転生する人間に変なこと吹き込まれたら困るんだよ、てかキモイからその動きやめろ」
「はぁ、お前らもそいつの事面白いって思ったんじゃねぇの?」
「いやー?平凡な人間だったよ?まぁ、異世界に転生しても人間として転生できるのにわざわざケットシー選んでたり、どんな種族なのかよく分からないのに即決してたり、エルフとかドワーフの事面倒って思ってたのは面白かったかな?」
「俺からしたらそれ十分面白いんですけど?…あぁー、俺も聞いてみたかったぁー」
「残念だったね」
閻魔大王とボサボサの男は、まるで池田晴臣の心の声が聞こえていたかの様な会話をする。
そんな閻魔大王と楽しそうに会話を交わすボサボサの男に獄卒はイラついたような顔を見せ、詰める。
「聞いたらお前、本人に質問しまくるだろ。だからお前は呼ばなかったんだよ、俺はな」
俺は、と言った獄卒はジロッと責めるような目線を閻魔大王に送る。
閻魔大王はニコニコしながら首を傾げ斜め上を見上げてしらばっくれたので、獄卒は深い深いため息を吐いて叱ることを諦めた。
そもそもいつものことなので、初めから諦めている。
「閻魔呼んでくれてありがとなー」
「いえいえ〜どういたしまして〜」
「反省しろよ、2人とも!な!」
「えー、俺まだ何にもやってない。それに気になる事は直ぐに解決したいじゃん?」
「気になっても聞いちゃ駄目なんだよッ。それがここのルールだ」
「はー、マジで窮屈だわぁー」
ボサボサの男は心底ウンザリと言う顔で、床に寝っ転がった。
それをまた獄卒に注意されているが、全く聞く耳を持っていない。
「あの転生者ゼユミュで大暴れしてくんないかなー、そしたらおもろいし、俺も堂々と出ていけるのにー」
「そんなの願うな、お前が現世に降りる時はその世界が終わる時だろ。めんどいからマジ勘弁してくれ」
「大袈裟に言うなよー、世界が終わるかもしれない時の間違いだろー?てか、俺が降りる時はお前も降りるんだから同罪?」
「一緒にすんな。はぁー、お前もう仕事戻れよ。……こちらもいつまでも休憩しているわけにはいかないんです、亡者は溢れかえる程にいるのですから」
「へいへーい、じゃキルとナンもがんばってねー」
「マルもがんばー」
「本名で呼ぶんじゃねーよ。とっとと帰れ」
そんな、晴臣が転生した数秒後の閻魔大王達の素に戻る瞬間のお話でした。




