原稿用紙を埋める痛み
お題 : 狡猾な痛み
必須要素: 1500字以上2000字以内
制限時間: 1時間(即興小説バトル参加作品)
みなさん、お勉強をがんばっていますか。
今日この学級通信のコーナーを借りて紹介するのは、夏休みの宿題に出されていた「家族と自分:原稿用紙四枚分」のテーマ作文について、たかし君が書いて来てくれた作文です。
クラスでただ一人、原稿用紙四枚を埋めてくれたのは凄いと先生は思いました。
でも最後の方は漢字の書き取りみたいになっていますね。無理しなくても良いのにとは思いましたが、よく頑張ったのは凄いと思います。
それでは、どうぞ。
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「家族と自分」 五年二組 たごのうら たかし
ぼくの家族は四人家族です。お父さんとお母さんとおとうととぼくの四人で暮らしています。住んでいるのは学校から二十分くらい歩いたところにあるアパートです。
お父さんはとてもやさしいです。日曜日はいつも競馬場につれていってくれます。
お母さんはとてもこわいです。なぜならテストの点数が悪いといつも怒りだすからです。
おとうとはすぐにぼくのべんけいのなきどころをけるのできらいです。
そのせいでぼくの足はいつも痛んでしまっています。とっても痛いですのでやめてほしいと思います。
それでも、なんだかんだでぼくの家族はみんななかよしです。夏休みはみんなで夏まつりにでかけました。ぼんおどりをおどりましたが、その時もおとうとにしつこくけられて痛かったです。
いまこの作文をかいている時もおとうとにめちゃくちゃけられています。
痛い、痛い、やめろって言ってるのにやめてくれません。よがよならせっぷくだと思います。
ほらまたけってきた。やめていたいからやめて。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
でも、ぼくはおにいちゃんだからがまんしています。おにいちゃんはこのくらいでおとうとにおこったりしないのです。けんかはよくないとぼくは思います。
だからぼくの家族はみんななかよしです。おわり。
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この作文は学校中で話題になり、たかし君は一躍有名人になりました。
クラスの誰もが原稿用紙四枚(千六百文字)というレギュレーションに挫折する中、文字数を無理やり埋めたことでクラス唯一の正規提出者となったからです。
皆が思いついていてもあえてやらないことを、当時小学五年生のたかし君はやりとげたのです。
ちなみにたかし君には弟なんていません。雑過ぎる嘘を作文に書いたのでした。
この偉業に敬意を表して、友達たちはたかし君の事を大学卒業までずっと「狡猾な痛み」と呼んでいたそうです。
今でもたまに食卓で、奥さんにそう呼ばれることもあるみたいですよ。
【後書き】
とんちきお題と文字数制限という、絶妙にやりにくい制約を引き当ててしまった今作。
今回は「作文の文字数稼ぎをする小学生」の話を書くことで、私自身が文字数稼ぎをするというメタ構造を採用して乗り切った。
お話としての面白さが犠牲になってしまったが、おそらくはこうでもしないと未完で終わっていた可能性が高かったと思う。




