第12話:旅のおとも
クッション!
「風邪でもひいたかなぁ~。」
アズサはメイド服をきたまま、喫茶店の掃除をする。
「はやく会いたいなぁ~」
「では改めて自己紹介をしましょう、大地。」
「じ、自己紹介も俺のことをよくご存知で・・・。」
「アハハハハハハ、アズサがもうーこれでもかっとあなたのことを言ってから覚えちゃったわ。」
「そうなのかぁ・・・。」
俺はアズサとの会話を過去に遡って思い出していく。
特に情報交換をしたくらいで、俺からの情報は名前くらいのはずだったんだが・・・。
俺の何を言ったんだ?
「そうだねぇ~、空 大地。あなたの専用武器は『魔法剣』で職業は『超能力者』ってことかなぁ。」
「はぁっ!?」
お、俺はアズサにそんな情報を話したことはないし、職業の話はこの世界に来て誰にも話したことはない。
な、何故、そんな事知ってるんだ?
「フフフ、困ってる困ってる。アズサは、『鑑定』の能力者といえばわかるかしら。」
「・・・・なるほど。俺はあの時、鑑定を受けていたってことか。」
「そうそう♪それで、アズサはあなたがそんなレアレアな存在だったものと自分の好みの顔をしていたことから目をつけちゃったって訳。」
ちょ、そんなこと言われたら困る。
今度、アズサにあったらまともに顔があわせずらくなる。
「あ、鑑定能力持ってるのは言っちゃまずかったかな。
今度あなたに会ったら自分から「鑑定もってるのよぉ~あなたと同じレアな存在なのよ。」と驚かす予定とか言ってたなぁ~。アズサにあったら不自然でもいいから驚いといてね。」
「わ、分かりました。・・・・でそれでシズカさんがどうして俺に会いに?」
「シズカでいいわ。年上にさんつけされても困るし。私こう見えても16歳なんだから。」
確かに来た年齢はそうかもしれないが、俺よりここに絶対長くいるだろ。
30年もいれば、そうとうなぁ・・・。
「永遠の16歳です。わかったぁ?」
「・・・・・・・・・・・・・はい。」
シズカは急に顔を近づけ、目を閉じ、ダークなオーラで俺に威圧する。
ある意味、この世界では殺気よりやっかいだ。
はいと答えるとよろしいと言って穏やかな表情に戻り、椅子に座りなおす。
こうして見ると、美人が目の前に2人きりってのはなんか心が落ち着かないな。
「シズカ嬉しいなぁ~。」
「ま、また心を読んだだろぉ・・・。」
「勝手にね。私の能力『心眼』のメリットでもあり、デメリットでもあるの。メリット的には今ここに私達しかいないことがわかるの。いくら能力で透明になっていたとしても思考なしってのは無理でしょう。だから私は私の能力範囲にいる人間の思考を感じることができる。デメリットは人が多いとき、どうしても誰の思考かがわかりにくいってところかなぁ~。」
「心が読めるってのはある意味不憫って事か。」
「そうなのぉ~わかってくれる?」
そういうとシズカはこの世界で一度恋人ができたという話をしてくれた。
その彼氏とうまくいってるかと思ったんだが、3日目で彼氏が浮気しているのを思考から読んでしまったとか。その彼氏には心眼があるのは伏せていたこともあり、次々と暴露されていったみたいだ。
その後のシズカの一方的な心情を熱く語ってくれた。
「とまあ、私は肌を許してなかったから、2回殺してやってだけで許してあげたの。」
「2回も殺したんですか?」
「2回目は偶然あったら女連れてたんで、女の目の前で瞬殺してあげただけだけどね。」
男のメンツまるつぶれですねぇ・・・。
その元彼今元気でやっているだろうかぁ・・・、どこかでおとなしく生きてるだろう。シズカに見つからないように・・・。
「その後、何回も会ってるわよ。私を見て、ヒィィィとか言って逃げてるわよ。追いかけないけど。」
「そ、そうなんですか・・・。でも俺の秘密そうベラベラ喋らないでほしいんですが。」
「大丈夫だよ。ここ1km付近は私達以外の人間はいないから。」
そ、そんなに広範囲ひろえるんですか・・・。
一応、頭の中でも敬語を・・・。
「大丈夫だから、敬語も、怯えなくてもいいから。こんなか弱い子を前に怯えるってどうよ。」
「・・・・そ、そうですね。」
俺はシズカに目線を合わせないように答える。
「話し戻しますが、シズカはなぜ俺を?」
「あ、アズサのお気に入りだから見たいなぁ~っと。でも・・・・フフフ。」
そういうとシズカは再度俺に顔を近づけてくる。
「ちょっと気に入っちゃったかも。大地ファン1号ね~。あ、アズサが1号だから、私2号かぁ。」
な、なんか愛人1号、2号に聞こえる気もするんですが・・・。
「そうでもいいわよぉ。」
そういうとシズカは俺にテーブルの上に乗り、上半身を俺の上半身に身を委ねて来た。
いわゆるハグだ。そのまま、ギュっと首に手を回してきた。
俺はどうしていいかわからず、両手が前に出たまま、シズカの腰に手を回さない。
「フフフ、冗談よぉ。ちょっとからかってみただけ。」
シズカはそういうと上半身を起こし、クスっと笑って見せた。
テーブルの上に乗っているせいか、高い位置からにこっと笑って見せられた俺は女神かとふいに思ってしまった。ぼうぅ~っとシズカを見ていると、
「ねえ~、そ、そんなに見つけられると恥ずかしいんだけど・・。」
そういうと俺は気まずそうに顔をそっぽ向け、シズカはゆっくりとテーブルを降りていく。
「そ、そういうわけだから、少しの間だけ一緒に旅をしましょう。」
シズカはそういうと、右手を俺に差し伸べてきた。
「わかった。こちらこそ、よろしく。」
俺はシズカの右手に俺の右手を重ね、握手をする。




