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エピローグ

「優雅君はこういう光景が見てたんだね・・・なんだか悔しいな」

 隣を飛ぶ魔法少女がちょっと意地悪なことを言ってくる。

「まぁ・・・言えないことだったんだから仕方ないでしょ。今日は雲がなくてよかったよ。それにしてもよかったの?承諾しちゃって・・・ふく・・・いや、みすず」

「また、間違えた」

「そりゃなれないから・・・」

 福田・・・もとい、みすずのお願いとは下の名前で呼ぶことになった。

 空を飛ぶという願い事は、結局魔法少女になることによって叶ってしまった。

みすずの魔法少女としての資質は十分なものだ。

 だからこうして、初仕事のバックアップをしているわけで・・・。

 彼女の乗る竹ぼうきの先には行儀よくピンと背筋を伸ばしている銀色のオオカミがいる。

 みすずの使い魔「フェルシーナ」だ。

 こっちとしては複雑な気分にはなってくるけど・・・まぁ、そこはそっとしておこう。

 何か言いたげにこっちを見ているけど・・・。

「で、みすずなんで?」

「・・・悔しかったから」

 問いかけにぷーっと彼女は頬を膨らませる。

「悔しいって何さ?」

「わかんないかな・・・。ほんとに鈍感なんだから・・・」

「そうだよ。クロノ、女の子の気持ちを考えてあげないと、立派な男性になれないよ!師匠みたいにね!」

「父さんみたいになりたくないよ。あんな破天荒な・・・」

「そう?この子が優雅君のお父様にぞっこんだったのも分かる気がするなぁ」

 武勇伝を聞かされているらしい・・・。僕の知らないこともあるみたいだけど、若かりし頃の父さんの事はあえて聞かない。変なものが出てきても嫌だし・・・。

二つの空飛ぶ箒(今回は珍しく箒に乗ってます)に微妙な空気が流れる。

 どうしよ・・・。何か話さないといけないのかな・・・。続かないや。

「今日は何もなさそうだね。平和で何より」

「そうなの?あれ?何か向こうから飛んでくるよ」

 正面に小さい人影が見えた。

 あぁ、伊莉栖だ。

 黙ってみすずを連れてきているから怒られるかな・・・。

 その姿がどんどん大きくなっていく。

 大きくなるにつれて感じる気配がビリビリして痛い。

「ユウ・・・。なんか怒ってない?伊莉栖・・・」

 クロノが不安そうに僕に囁く。

「だねぇ。どうしようか」

「そうだねぇ~甘いものを食べるといいと教えよう!」

「なんか微妙なアドバイスですな。クロノ」

「それほどでもないよぉ~~」

 ピョンピョンと足元まで近寄ってくる。褒めてとでも言いたそう。

「皮肉だぞ・・・?」

「えぇ~。意地悪!」

 なんでそうなる?

「そうですよ。優雅君は意地悪です」

「賀茂優雅!わが主に対してもそのような態度をとるようなら、容赦しませんよ」

「フェルまで・・・」

 そういう間に伊莉栖の表情がうかがえるところまで迫っている。

 もちろん彼女の箒の先にも使い魔「ソワール」が姿勢よく鎮座している。ご主人とは対照的に冷静そのもの・・・。さすが、ご主人様の手綱をうまく操作する名参謀。

 赤鬼みたいな伊莉栖には申し訳ないけど・・・。

 僕は、急ブレーキをかけて回れ右をした。

「優雅君、どこ行くの?」

 僕の動きに驚いた様に声をあげる。

「何となく怖いから別行動ね!あとは伊莉栖にお願いしてね!」

 仕方ないじゃん。伊莉栖の吊り上がった美しい眉毛・・・絶対怒っているし・・・。

「えぇ~、初仕事なのに、ずるいです!」

 みすずは頬を膨らませて抗議する。こっちは見て見ぬふりをしてますよ。

 だって眼前の赤鬼が怖すぎるんだもん。

「フルスピード出すからつかまっておけよ。クロノ」

「なんかフクザツ~~」

 ブーたれているクロノを無視して箒に念を送ってスピードを上げる。

 遠くで赤鬼もとい伊莉栖の叫び声が聞こえる・・・。

 なんか燃やし尽くされてしまいそうな勢いをビリビリ感じた。

 でも、こんなやり取りが続けばいいと思う。

 僕は星空を見ながらそう思った。

「よし!今日の仕事終了だ!帰ろう!」

「ユウ・・・ヘタレ過ぎ。だいぶマイナスだよ。ひくわぁ~」

「うるさいな!今日は寝るんだ!振り落されるなよ!」

 明日を考えると憂鬱になるけど、明日謝ればいいや。

 こういう日があってもいい。

 魔法少女って言うのも悪くは・・・ないのかな。

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