(1)ネットライバーとリスナー 義理の父娘(おやこ)の純愛物語
【ネットライバーとリスナー 義理の父娘の純愛物語】
ネットライバーの賢治と視聴専門リスナーの美咲が、義理の父娘として交流する三年弱の純愛物語である。
父親を亡くし強度のフアザーコンプレックスの美咲が、義父の賢治に対する愛の葛藤を乗り越えて、賢治の協力を得て結婚相手と結ばれるまでの純愛物語である。
○初めて私のネットのライブ配信で「美咲」と出会う。
私(賢治)が顔を出してのネットのライブ配信を始めて一か月後に「美咲」が私のライブ配信に視聴専門のリスナーとして来た。
「「賢治」さんこんばんは。初めまして」 「「美咲」さん。こんばんは。いらっしゃい。初めまして」 〇私は簡単な自己紹介をした。
「私は、大阪出身ですが、現在は韓国に家族と住んでいて、韓国から配信をしています」
「賢治さんは、韓国に住んでおられるのですね。私は大阪に住んでいるんですよ」
「大阪ですか。私の出身地ですね。私の実家は大阪市内なんですよ」 「私も市内なんです」 「大阪のお生まれですか?」 「いいえ。私は、福岡で生まれ育ちましたが、高校と大学は大阪ですね。 十数年前に大阪に来たんですよ」
〇「美咲」は、父親は大阪に来る前に亡くなったと言った。 「そうですか。美咲さんは、福岡の生まれ育ちなんですね。お若いように思いますが、お父様が早くに亡くなられて残念ですね」
「私は二十八歳なんです。父親は十数年前に亡くなりましたが、優しい人だったんですよ」
「それで、お母様と大阪に来られたんですね。私は顔を出してのライブ配信ですので、大体お分かりだと思いますが、多分、年齢はお父様より上ですね」
「そうですね。お歳は少し上のようですね(笑) 母親とは幼少の頃から折り合いが悪く、大学卒業して就職と同時に一人で住むようになりました。現在は母親とは疎遠状態ですね
〇初めての訪問で、ここまでの個人情報を話すリスナーは珍しい。ライバーは普通は年齢を言わない場合が多いが、「美咲」が年齢を言ったので、私も大体の年齢を話した。その後は頻繁に私のライブに来てくれた。
「美咲さん。こんばんは。今日も来ていただいてありがとう」
「賢治さん。こんばんは」
「美咲 さんが、いつも来ていただいて嬉しいのですが、私はライバーの中では年配者ですし、美咲さんはお若いのに、どうして私のライブに来ていただいているんですか?」
「何で、でしょうね(笑)。賢治さんのライブは落ち着きますし、亡くなった父親と雰囲気が似ておられるからかも分かりませんね」
「そうなんですね。私はお父様より歳上だと思いますが、美咲さんから見れば、父親世代ですね(笑)」
※私がライブ配信を始めたころは、リスナーが少なく、「美咲」と二人だけで、ゆっくり話をしていたので、お互いの個人情報を含めてよく話をしていた。
○美咲は日本有数の企業で働いている。
「美咲さん。住まいは市内ですが、会社も市内ですよね」
「ええ、地下鉄で行けますので、家から三十分程度なんです」
「近いんですね。良いですね」
「はい、家を八時過ぎに出れば良いんですよ(笑)」
○ライブの話と推しライバーとギフトの話になった。
「美咲さん。私はライブを始めて、まだ二か月足らずですが、美咲さんはライブをしない視聴専門のリスナーのようですが、何年になりますか」
「ライブのリスナーをして、四年近くになりますね」
「ベテランですね。私の先輩ですね。宜しく指導をお願いします(笑)」
「私はリスナー専門なので、ライバーの事はよく分からないですね(笑)」
「美咲さんは、応援している特定の推しライバーはいますか?」
「はい、三年ほど応援している「 英樹 」さんが推しですね」
「名前は聞いたことがありますね。人気ライバーですよね。ギフトは沢山投げるのですか?」
「少し多く投げていると思います」
「三年間で、いくらくらい投げたんですか?」
「そうですね、五百万円くらいかな?」
「う~ん。三年間とは言え、少し大きいですね」
「そうですね。つい、雰囲気で大きく投げてしまいますね」
「今も大きく投げているんですね」
「はい」
「やめられないんですね」
「そうですね。やめたいと思っているんですが・・・」
「私のライブは、大きなギフトを要求しない、対話型の雑談ライブですので、美咲さんは、私には大きなギフトで無く、ライブの会社がくれる、無料のギフトを投げてくださいね。それだと課金の必要が無くて負担がありませんね。私は美咲さんの父親世代の年齢ですので、娘から大きなギフトは貰えないですね(笑)」
「ありがとうございます。助かります(笑)」
※美咲が推しライバーに大きく投げているので、私は美咲の負担を考えて、私には有料のギフトは投げないで、ライブの会社がくれる無料ギフトを投げるように話した。
美咲はライブの世界で言われている、ライブ病になっているようだ。ライブ病になると、自制が出来なくて周りに釣られて必要以上に多くのギフトを投げてしまうようだ。
大きく投げた時に、推しのライバーが名前を連呼して大喜びをするのが快感に感じるようだ。大きく投げ過ぎて財産を失った話も聞く。年齢的に父親の立場なので心配だった。
この件ではその後、親しくなって行くのと並行して、私の心配も増幅して、私の小言やお節介が増えるようになった。
父親的な立場としては、ギフトの金額が大きすぎる心配があるので、あえて、対立を避けないで小言を言い続けた。しかし、始めの頃にお互いにここまで話すのは珍しい。
○美咲がライブ以外のDMでの交流を希望した。
「賢治さん。私は一人暮らしですし、父親が早く亡くなり、母親とは疎遠になっていますので、相談相手が余りありません。賢治さんは父親の世代ですし、他のライバーさんと比べて落ち着いておられるので、色々な相談をさせてもらえるように思います。時々、相談をしても良いでしょうか?」
「そうですね。私はお父様の世代ですね。相談や雑談はいつでもしていただいて良いですよ」
「ありがとうございます。相談はライブでは他の方も居られますので、賢治さんのプロフィールのインスタのURLから、お伺いしても良いでしょうか?」
「そうしましょう。それが良いですね」
○美咲とはライブだけでなく、インスタのDMでも交流が始まった。
※DMでは相談よりも雑談が多くなった。美咲とは、ライブでは終了予定時間を過ぎて、二十四時近くまで二人で話すことも多くなった。ネットでは実社会の交流よりも、親しくなるのがかなり早い。
※美咲がインスタで写真を送って来た。
「美咲さん。写真は会社の周辺ですね」
「会社周辺です。よく分かりますね」 「生まれも育ちも大阪市内だからね(笑)」
「そうですよね(笑)」 「しかし、私は大阪を離れて十五年以上になるので、たまに大阪に行くと浦島太郎ですね。時間が無くて、決まったところしか行かないので、新しい所がよく分かりませんね。まるで観光客ですね。今は美咲さんの方がよく知っているようですね」
「そうですね。十五年も過ぎると大きく変わりますものね」 ○二人の関係を義理の父親と娘にした。
「ところで美咲さん。少し気楽に話せるようになったので、年齢差的には友人や恋人同士よりも、あくまで、ネット上の義理の父親と娘と言う事で、言葉遣いも気楽にしませんか?その方が、話がやり易いですね。ライブ配信では他の方も居られるので、普通の話し方で良いと思いますが、DMではもう少し気楽な言葉遣いにしましょうか?」
「そうですね。それが良いですね(笑) 」
「ネットの義理の父娘で気楽に行こう!(笑)」
「お義父さん(おとうさん)。宜しくね!(笑)」
「美咲。その調子で良いよ(笑)これからは遠慮なく何でも話そうよ。対立や喧嘩になっても親子の様に腹を割って話そうよ。小言やお節介な話もするよ」
「お父さん。それで良いですよ。甘えさせてくださいね(笑)」
○美咲の発熱
「お父さん。おはよう。昨夜から発熱なのよ今日は会社休むよ」
「おはよう。発熱なんだ。医者に行きなよ」
「今は医者に行くまではないかな?」
「午後も熱が続くのなら医者に行きなさいよ」
「は~い」
※翌朝
「お父さん、おはよう。昨晩から熱が引いたから会社に行きます」
「おはよう。良かったね。気を付けて行ってらっしゃい」
「は~い。行ってきます」
○美咲と知り合って三か月になった。
「こんにちは。美咲と知り合って三か月が過ぎたよ」
「そうなんだ。もっと長い感じだけどね」
「ライブやSNSでの交流は、錯覚もあり親しくなるのが早いんだよ。それで、実際より長い交流のように感じるんだろうね。私たちはライブだけでなく、DMでも交流しているからもっとだね」 「そうかも分からないよね。お父さんとは昔から知っている感じだもんね」
「だから、ライブやSNSでの交流は慎重にしないと、親しいと錯覚してトラブルになることもあるからね。美咲はライブの世界では私より先輩だから知っているだろう?」
「私は、ライブ関係でのDMは、推しさんとも余り無いし、頻繁なのはお父さんだけだからよく分からないけど、話には聞いているよね」
○美咲が悩みを言ってきた。
「お父さん。母親から親戚を通じて会いたいとの連絡があったのよ。母親とは疎遠だから、私は話したくないし会いたくないんだ。どうしたら良い?」
「う~ん。難しい問題だね。私は美咲と親しく交流してるが、その部分は詳しく聞いてないので、母娘関係に関しては軽々しくは言えないよね。美咲の気持ちはどうなの?」
「そうだよね。今回はしばらく置いておこうと思うのよ」
「美咲の気持ちが、整理出来ていないのならそれが良いように思うよ。今回は役に立てなくてごめんよ!」
「お父さんが謝ることないでしょう。私が突然、難しい話をしたんだから(笑)」
○雑談をしている。
「美咲。こちらも蝉が鳴き始めたよ」
「お父さん。今年のセミは遅いらしいよ。日本のセミは中国人に食べられているみたい」
「遅いように思うが、中国人は無いだろう?隔年で多い少ないがあるようだよ」
「今、問題になってるのよ! マンションに中国語でせみの幼虫をとらないで、って、張り紙されてる。食べるらしいよ」
「中国では普通に食べるのかもね」
「マナー悪すぎよ!」
「海外に住んで思うのは、海外はマナーが違う事が多いと思うが、その国にマナーやルールが無ければマナーが悪いとも言えないね。その部分のマナーやルールが無いだけだと思うよ。日本人は直ぐに日本のルールを要求しすぎるようにも思う」
「そうか。そうだよね(笑)」
※蝉が中国人に食べられているニュースを二日後に見て美咲に謝った。
「セミのニュースを観たよ。お父さんがニュースを見落としていたね。ごめんね」
「お父さんが謝る問題じゃないよ~(笑) 」




