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そうだ、お酒を飲みに行こう!〜お酒大好きアクティブ令嬢と偽り身分の王子様〜  作者: 雪月花


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※王子視点

「テ、テオ様! 下から歓声が聞こえたんですが、ここって下から見えてるんですか!?」

 むぎゅむぎゅ抱きしめられたままのルーナが、なかば叫ぶように言った。

 

 ルーナは酔いが覚めたらしい。

 言葉使いがいつものように戻っていた。

 

 ルーナは恥ずかしすぎて、テオに抱きしめられてるのをいいことに顔をうずめて隠している。


「……さぁ、どーだろうね」

 テオはルーナの頭の上に自分の頬をくっつける。

 

 テオは嘘をついた。

 優勝者が入れる場所だから、テオがいるのはみんな分かっており、相手も誰か見たら分かるだろう。


 そのために、ルーナにメガネを外させ髪を下ろさせた。

 闘技場でのAクラスのやつらが見たルーナの姿だ。

 見せつけるためにワザとここを選んだ。


「テオ様、さすがに恥ずかしすぎて……顔があげれません」

「じゃぁしばらくそうしていなよ。もう少しでランプの点灯が終わるよ」

 ルーナの頭上から優しい声が降る。

「えぇー……」

 ルーナは小さく不服を訴えたが、観念したのか大人しくテオの腕の中に収まっていた。




「もう灯りは消えたよ」

 テオが腕の中のルーナに声をかけた。


 ルーナがそっと顔をあげる。

 ランプの光や灯篭(とうろう)の光が消えており、通常の外灯が付いていた。


 ルーナは安堵の表情を浮かべると、瞼を閉じてユラユラしだした。


「……テオ様ごめんなさい。今日魔法使ったから……ね…むり……に入り…ま…す……」

 ルーナは糸が切れた人形のように、カクンと力が抜けた。

 テオは慌てて倒れ込んできたルーナを抱き止める。

 

 ルーナは宣言した通り眠っていた。

 ピクリとも動かない。

 

 テオは慌てて抱きかかえて走り出した。




「はぁはぁ……サッシャ! エマ! まだいる?」

 優勝パーティをしていたサロンにテオが慌ただしく入ってきた。


「……テオ様? どーしたんですか?」

 珍しく取り乱しているテオの様子に驚きながらも、まだサロンにいたサッシャが答えた。

 レオンとエマも近くにおり、何事かと思って近づいてくる。


「ルーナが、いきなり意識を失うように眠ったんだけど」

 そう言われたサッシャは、テオに抱きかかえられているルーナの顔を覗き込んだ。


「あぁ、安心して下さい。ルーナはいつもこうですよ。ちょっと強力な魔法を使うと眠っちゃうんです」

 

 サッシャの発言を聞いて、サロンにいる一同が思った。

 やっぱり魔王剣は強力な魔法の類だったんだな……と。


「すぐ起きる?」

「明日の朝には起きると思いますよ」

 サッシャはテオを落ち着かせるようにニコッと笑った。

「良かった」

 ホッとしたテオは、ルーナを抱きかかえたままソファに座り込んだ。




 その後、酔っ払って寝ていたリンス先生を叩き起こし、眠っているルーナを寮の部屋に運んでもらった。


 それからはサッシャとエマが世話をしてくれた。

 サッシャが言ったとおり、次の日には元気になってルーナは現れた。

 

 けど……




「考えごとですかぁ?」

 カンデラアカデミーの一室で、いつもの3人がソファに座っている。

 向かいに座るリリィがたずねてきた。


「あぁ。ルーナの魔法についてちょっと……」

 テオは軽く握った手をあごにあてて考えこんでいた。


「ルーナ様と言えば、報告した通り闘技場での立ち回りの裏事情すごいですよねぇ。ロベルト先生には事前に校則について確認し、対応してもらうようにしていましたぁ。どうしようも無くなったら、学園長に指示を仰ぐ所まで綿密に打ち合わせされてましたぁ」

 

 ルーナが立ち回りの裏事情をサッシャたちに話している時、テオとレオンは模擬戦の準備で離れていたため、後々のリリィの報告で知った。


「学園長にも、コツコツと根回ししてましたぁ。学園長が白ワインが大好きなことをリサーチし、度々マクシミリア領特産の白ワインを送っていましたぁ。ルーナ様の名前をそれで印象づけて、何かあった時に味方になってもらう予定だったのですぅ」

 リリィは興奮気味にしゃべりだした。

「ルーナ様は何回か直接、学園長に白ワインを渡していますねぇ。その時は必ずメガネを外し髪を下ろしていたそうですぅ。刷り込みですねぇ!」


「そこまで考えて動いてるってすごいよね」

 レオンも感心していた。

「もうこれは王太子妃として完璧に立ち回れますよぉ!」

 リリィが拳を握って力説する。


「うん。そうだね」

 リリィの勢いに苦笑しながらテオが答えた。

「分かったよ、言うよ。僕はルーナを王太子妃にしたい」

 テオが朗らかに笑いながら言った。

 

 リリィとレオンはビックリして顔を見合わせた。

「怖いぐらい素直だね」

「空中庭園でキス出来たんで、舞い上がってるんですかねぇ」

 リリィが容赦なくつっこむ。


「……」

 テオが一旦、不貞腐(ふてくさ)れた顔をリリィに向けた。

 それから次の言葉を続ける。


「……それで最後に、ルーナの魔法のことについてキチンと調べたい」

「あぁーちょうどいいですねぇ。言い忘れてましたがぁ、テオ様とレオン様、ルーナ様からマクシミリア領の収穫祭に来ないかと誘われておりますぅ。ルーナ様の故郷に行けば、何か分かるんじゃないですかぁ?」


「え?」

 テオが聞き返す。

「だからぁ、マクシミリア領の収穫祭がぁ」

「違う違う、何でリリィにルーナの伝言がいくの? ……まさか……」


「あぁー! 私とルーナ様は庭飲み友達ですぅ」

 リリィがイェイとピースする。

「え? 前に正体がバレそうみたいなこと言って無かったっけ?」

 今度はレオンが驚いて尋ねる。


「ルーナ様はこの集まりを風紀委員会と思っていますよねぇ、それで私はテオ様に雇われた外部の人で、秘密裏に学園内の情報収集をしている部下ということにしましたぁ」


「……ルーナとは何を話してお酒を飲んでるの?」

 テオが怪訝(けげん)な目でリリィを見る。


「……上司の愚痴ですねぇ……」

「やっぱり!」

 テオはソファに沈み込んだ。




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