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War of end world~落第殺し屋の岐路~  作者: 宝来來
三章 『鳥居』と『逢瀬』
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日笠海々

夢を見た。今ではありえない。

起こるはずのない。そんな楽しく、愛で満ち溢れた夢。それこそが夢なのだから。


「恤、無理しなくていいんだよ?」


慈愛に溢れた、春の陽だまりのような暖かい声。


「私は恤には幸せになって欲しいの」


その声の持ち主は表情はよく見えないが、いつも優しく私の頭を撫でてくれた。


「だからね、その為の選択を間違わないで。あなた自身の道を踏み外さないで」


幼い私にはよくわからなかった言葉。

今でも理解できない言葉。


それを今でも鮮明に覚えている。


「疲れた時くらい休んでもいいよ」


そう言って私の姉は膝枕をしてくれた。そうだよね、お姉ちゃん。

現実から疲れた時くらい、夢見ていいよね?



コードネーム『鳥居』、刀願恤。


明解女学院に通う中学三年生である。学力は中の中。得意教科も特になく、難なく器用にこなし平均をさまよっている。ゆういつの特技とすれば、剣道部に所属し、全国大会8位というかなりの腕を持っていることだろう。


中学二年の時に初めて人を殺した。

あの時の感覚は嫌でも覚えている。

人を刺す感覚、抜刀の時の肉との擦れ合う音、目に焼き付く死人の空虚な目と血で滲んだ服。恤はその時、すぐに気を失ってしまった。そして現在、『御影』の相棒として任務を遂行している。


また、『御影』の元相棒が恤の姉『逢瀬』だと聞いた。縁がある。これを党首は企んだのだろうか。


一度だけ、御坂に恤は聞いたことがある。


「私のお姉ちゃん、幸せだった?」

「さて、どうかな」


初めははぐらかされたと思った。けど、それに続く言葉があった。


「個人によって幸せの考え方は違うんだよ、『鳥居』。だから、幸せだったかなんて他人にわかるはずがないんだよ」


「なら、御坂さんの幸せってなにです?」


「··········一人になること」


「··········」


恤は何も言えなかった。追求しようにも、御坂の背中はとても弱々しく、触れれば壊れてしまいそうな気がしたから。


それから、御坂とは何となく距離をおかれているように感じる。一人は怖いこと、それを何より知っている恤自身がその日、決心したことがある。


御坂をどうにか助けたい、と。






「またね、『鳥居』」

「はい、またねです『御影』」


あのビルから離れ、歩きで帰る。


ビルの中は地獄のような裏の世界。

けど外に出てみれば、平穏で普遍の世界。


表と裏。その違いは単純だ。そこに『悪』があるかどうかだ。

単純な『悪』、軽い窃盗や詐欺じゃない。その『悪』を成してしまえばもう戻れない。ただただ堕ちていくだけ。私もきっと、その穴に堕ちていってる途中だ。


気まぐれによったデパートはたくさんの人で溢れていて、少し酔いそうになった。近くの椅子に座って一息ついていると見知った顔を見つけた。


「………………あれ?刀願さんじゃない?やっぱりそうだ!私、覚えてる?」


「えと、同じクラスの日笠さん?」


いつも笑顔でクラスの中心にいる目立った人物なので覚えている。


「正解!日笠海々(ひがさみう)だよ!刀願さんはここで何してるの?」


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