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War of end world~落第殺し屋の岐路~  作者: 宝来來
二章 『御影』と『冥土』
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弱さ故に強くあれ

何だこの上から目線な言い方。でも、同い年には見えなくはない。これが後輩なら生意気すぎる。


「だってあなた。ものすごく後悔した顔してるもの」


反射的に顔を逸らしてしまう。気づく。

本能的に。直感が。

こいつと話したら駄目だ。


(これ以上話さないようにしないと………心を見られる。読まれる。それだけは…………)


運転手にここで下ろしてもらおうと運転席を見ると、死んでいた。首に5センチほどの刃渡りのナイフが刺さっており、即死しているのがすぐに分かった。

つまりは、彼女が運転手をあの一瞬で殺し運転手を移動させたということになる。


(いつの間に!?こいつは、何者だっ……もしかして、呪術屋!?)


「私は知ってる。あなたの顔はとても悔いてる顔……………それに、自分を責めてる顔。私、その顔大嫌い。見てて、焦れったいしうざったらしいからね」


だから、相談受けてあげる。彼女はそう続ける。


「…………」

「…………」


沈黙。御坂は無言だった。

無論、このあとのことはノープランである。


「…………面倒くさい、うざい、呆れる、鬱陶しい」


彼女はいきなり呪詛のように、呪いのように呟く。


「あーもうっ!私は惑炉魅燐廻(まどろみりんね)よ。あなたは?」

「……………………薙灘御坂」


御坂は力なく答える。燐廻はふうん、とか興味なさげに小さくいいまた目を合わせる。


「ねえ、御坂くんはさ。生きてるってどうゆう事だと思う?」

「え?」

「答えられない?なら、死ぬってどうゆうこと?」

「えっ………と……」


意味不明な質問にどう応じればいいのか、御坂は戸惑う。


「私はね、生きるって『生きている』って感じることだと思うのよ。死ぬのは『死んだ』って思うこと」

「??」


彼女は何をしたいのかがよく分からない。理解出来ず、沈黙を御坂は貫く。


「私は今『生きている』。あなたは、御坂くんは『生きて』るの?」

「…………呼吸もするし、心臓も動いてるから『生きて』るんじゃないのか?」

「そうゆう意味じゃないのよ。『生きてる』って感じているかどうか」

「『生きてる』と思う……………少なくとも」


表情ひとつ変えず燐廻は話す。未だに御坂と目をそらさない。


「なら、『死んだ』人のことを考えるのをやめて。過去は結局過去なの。後悔するなんて、未練ったらしいことやめてよ。見た人も悪くする。人に迷惑をかけるのは1番だめなこと」


心が読まれているのかってくらいに見透かしてくる。


「過去への執着は、未来への失態を招いちゃうよ?」


自分の事のように、語りかけるように燐廻は言う。その目は御坂を見ているようで見ていなかった。


「…………………でも」


今にも泣き出してしまいそうな震えた声。

壊れてしまう。

愛で。優しさで。

無慈悲に。


「過去は俺にとってはトラウマで、自殺しよう考えたこともあるくらい………だ。忘れられない」


あの日が。

今の脳裏に焼き付いて離れない。

忘れさせてくれない。

それが罪であるかのように。

呪いのように。


「ふぅん、忘れたいの?」

「忘れなれるものならね」


すると燐廻は目を外へと移す。釣られて、御坂も同様に。


「ねえ、御坂くん」

「なんだ、燐廻さん」


出会って数分なのに、友達の掛け合いのような真似事をする。


「別にさ、忘れなくてもいいんだよ」

「え?」


先程と言っていることが矛盾している。


「忘れたらまた同じ失態をするよ。それに忘れたい過去ほど都合のいいものは無いんだよ」

「忘れたいって思って何が悪いんだよ」

「そんなことは言ってない。最後まで聞いて。」


ムスッとして言い返わしても帰ってくるのは上から目線な態度と言葉だけだ。けど、その一言だけは重く心に響いた。


「忘れたい過去は乗り越えなよ、御坂くん。間違えた私には言えない言葉だけどね」


乗り越える。


それは今よりもっと強くあれと言っているようなものである。今の自分が弱くて脆くて、乗り越えられたのならその先の自分はどんなのだろう。


「大事なのは弱さゆえの向上心だよ、御坂くん。じゃあね、また」


そう言って、惑炉魅燐廻はタクシーから降りて去っていった。タクシーは『明鏡高校』に止まっていた。まさか、これを燐廻は狙っていたのだろうか?


だって、『明鏡高校』校門前。御坂の相棒がそこに立っていたのである。


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