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War of end world~落第殺し屋の岐路~  作者: 宝来來
二章 『御影』と『冥土』
20/63

まぼろし


あの時。

呪術屋の婆さんは、

『逢瀬』は、

「私は後悔せずに生きられたよ、『御影』くん」

幻聴だ。けど、聞こえてしまう。

意識してしまう。どうしようもないほどに。

愛おしいように。

狂おしいように。

縋り付くように。

恨むように。


「『御影』くんはどうなの?後悔、してない?」


声が出なかった。

体が震えて、全身が拒否していた。

『逢瀬』という存在の全てを。


「後悔してるんだったら、ごめんね。私のせいだね」


悲しげに微笑む『逢瀬』。

笑うな。謝るな。

むしろ、俺のせいだろ。


「今は辛くても、時が経てば忘れちゃうから。どうってことないことくらいになってると思うから。大丈夫」


優しくしないでくれ。

叫んで、訴えて、罵倒された方がいい。

優しくされるより何倍も。


そして俺は謝った。「ごめんなさい」と。

その理由は俺にすら分からなかった。




家から飛び出して、直ぐにタクシーに乗った。服装は制服だったので目立ちはしなかった。いつもは和服で、割と注目を集めるが、タクシーは呼びやすかった(今回はちょっとタクシーを呼ぶのに苦労した)。


「どこまでですか?お客さん」


御坂は答えない。


「お客さん?」


御坂は答えない。


「お客さん、体調でも悪いんですか?」

「……………………近くになったら言います」

「……………?分かりました」


運転手の老人は不思議そうにし、運転し始める。

御坂は顔を見てないが、先程の侵入者の件で老人の顔があまり見れない。似てるという訳では無いが、気分の問題である。


数十分後、タクシーが急に小脇に止まってしまう。それまで御坂は顔を俯き、一言も喋っていなかった。なんとなくだが、車内の雰囲気が重いのはわかる。


「お客さん、相席よろしいでしょうか?」

「…………………構いません」


他のお客さんが来たようだった。


(誰だ?酔っ払いのおっさん……だったらやだなぁ………サラリーマン?あーと、そうやあ、今何時だ?12時はすぎてるだろうけど…………それに明日は学校がある……)


ぶつくさと考えていると、右の扉が開く。

ちらりと見ると、御坂が通う『明鏡高校』の女子の制服を着ていた。


「…………」


寄りにもよって同じ学校の生徒、そしてこの時間だ。カツアゲでもされそうな感じがする。もしくはギャルかもしれない。


御坂は目を合わさないように、再び考え事をしようと思った。しかし、思考は阻まれ、 自然と目が合う。


悪寒がした。悪い予感がした。一瞬だったけれども。

「同じ学校の制服、よね?」


今までの嫌なものは消え、普通の感じだ。


(なんだ……こいつ?今のは気のせいか?)


真っ赤な三白眼に、肩までの長さの茶髪。何より印象的なのが真っ赤なニット帽だ。


「私もなの。もし良かったら相談受けてあげるわよ」



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