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新たなる一歩へ  作者: BJC
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出逢いと別れ

時の流れとはなんとも早い。丁度3年前に僕らはこの高校に入学した。新しい環境への不安。新しい友達への期待。より難しくなるであろう授業。全てが未知だった。

当然ではあるが、今となってはこんな初々しさなどは、微塵もありはしない。


平成19年、3月10日。僕はこの日を死ぬまで忘れないだろう。いや、決して忘れる事は出来ないだろう…。

3年間同じ校舎の下共に暮らしてきた僕らが高校を去る時がやってきた。その時が来てもあまり実感がなく、涙は流さなかった。感傷的になる事さえ無かったかもしれない。それは卒業式当日での話だが。


そうして、秋風に揺られた枯れ葉の如く、僕らは愛すべき母校を早々に去った。後悔や未練は山ほどある。何度やり直したいと思ったか…。しかし、時は非情にも悲しみに暮れる時間を長くは待たない。もっとも待ってくれても困るのだが…。


卒業式を終え、時間の経過と共に僕は実感が沸いてきた。それは、今まで掴みようのない雲の様な薄い存在だった。


今までお世話になった先生や校舎、親しき友との別れに。


これは一体なんなんだろうか…。胸の奥に絡み付いて離れない。どこか息苦しく感じる。


一体なんなんだろう?


答えは分からない。


だからこそ、今は時の流れに身も心も委ね、未知なる大学への期待を膨らまして耐え凌ぐ事にした。


しかし、その期待がいかに脆く儚いものだったかを、入学後数週間の後に味わうことになるとは、この時は知るよしもなかった。そして何度も…‥。


僕は、この頃には既にmixiを始めていた。最初は高校の友達ばかりだったが、次第に同じ大学に今年入るマイミク(mixi内での友人)は増えていった。mixiの中にはコミュニティーという他のユーザーと交流する場が有り、ここで同じ学部の人を探していたのだ。


正確には覚えていないが彼女との出会いはこの頃だ。彼女と入学式前に交わしたやり取りに鮮明なものは無かった。記憶にあるのはお互いバスケが好きで

「大学に入ったら一緒にバスケやろう」的な事を言ってた気がする。しかし、口約束なだけにこの時は、実際に実現するものとはあまり思っていなかった。


それから入学式が近付くにつれ、新入生の一部による顔合わせ会的なものを最初の登校日にやるという話が、コミュニティー内で持ち上がってきた。僕は早く自分のマイミクに会えるんではないかと思い、この会に参加する事となる。無論、彼女もそこにいたのだ。


これが僕らのその後の関係を、決定的にしたと言っても過言でないことは後述する。


4月6日。当日、快晴とまではいかないにしろ正に春を感じさせてくれる、そんな天気だった。家の近くにある通りの桜も暖かな陽気に誘われ、花を咲かせ始めているようだ。彼らにより毎年、この時期に鮮やかに彩られるこの通りを僕は好んでいた。

この日を境に僕らは大学生という名の新たな人生を迎える。会場は横浜アリーナ。都内に住んでいて割と近いにしても、場内に入るのは初めてだった。


広い…。


沃さと座席につき、辺りを見回した正直な感想。そのスケールの大きさに驚きを隠せなかった。当然だが、座った先の両側には見知らぬ新入生。周りの人達は偶然のお隣さんとの会話で忙しいみたいだ。しかし、僕には開会式をいまかいまかと待つことしか出来なかった。交流はしたかったが、社交性を欠いた僕にはどうにも行動出来なかったのだ。

そんな事があり時々、社会に出た時に周りの先輩や仲間と上手くやっていけるか心配になったりする。


「新入生の諸君まずは入学おめでとう。」


やがて、人生最後の儀式が始まった。校長の話の大半は、まどろっこしい陳腐な言葉から成りとても退屈だった。睡魔に襲われながらも、校長が何度も噛んでいたことは、今でも何故か覚えている。


ふと気付いた時には、既に話は殆ど終わっていた。いつの間にか眠っていたらしい。


こうして、大した実感もなく大学生となってしまったのである。

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