ビキニのトップが外れたまま
「ご主人! そこの梯子を登ればグランピングエリアだニャ!」
長靴猫の言う通り梯子を登った先のハッチを開くと炊事場だった。テント付近まで近づくとテロリスト2名が数名の生徒たちを囲んでいる。
「猫、手伝ってくれ」
サムズアップして見せる猫を男一人に投げつける。
「任せてる、ギニャアアァァァーーーーーー!!!」
悲鳴を上げながら飛んでいく長靴猫は、見事にテロリスト一人の顔に貼りつてい暴れ出す。
「な、なんだこれ!? オイ、離れろッ!」
俺はその隙にもう一人に接近して、背後から後頭部を狙い無力化。そのまま、もう一人の顎を打ち抜く。
「縛るものはあるか?」
「あ……あぁ、クライミングに使おうと思っていたロープがある」
生徒たちは非常灯だけの薄暗い場所で突然倒れる二人に驚いた様子だったが、俺の指示に従って二人を拘束してくれた。男たちをギチギチに縛り上げた後、生徒たちには身を隠して貰うように言い残す。その間に未使用のチョーカーを所持していないか装備を探ってみたが手に入らなかった。
「あ、あの! 有難うございました!」
女の子の一人が涙を浮かべながらお礼を言ってくれた。
俺は次の場所、ビーチへ向かうべく駆け出した。
『セーダイ、チョーカーは手に入ったか?』
「ダメだった。持っている分は全部使ってしまっていたみたいだ」
時間が惜しくなり、山道を使わずに崖を降りて森林を突っ切る。オーラを纏っている俺とは違って長靴猫は枝葉にぶつかる度、潰れた蛙のような悲鳴を上げていたが我慢して貰った。ビーチに辿り着くと、浜辺の中央に2名のテロリストと数人の生徒たちが固まっていた。防波堤から様子を伺う……。
「何の障害物もないから近づけないニャ。こんなことなら奴等の銃を持ってくればよかったニャ」
「相棒のアシストもないのに使える訳ないだろ。……と、その手があったな」
長靴猫を背中のフードに入れると、集中してオーラを高める。
俺がやろうとしているのは昨夜練習したオーラを打ち出すアレだ。まだ慣れてないから二発目を打ち出すことができるかわからない。だから……。
防波堤から全力でジャンプする。すかさずオーラを撃ち出し、そのままもう一人の頭上から男の頭を砂浜に埋める。
「ふぅ……、上手くいった。……あれ、猫がいない?」
猫は遅れて生徒の頭に落ちて来た。男子生徒は頭を擦りながら何が起こったのかわからない様子で長靴猫を拾い上げる。
「なんだ、これ……。一体、なにが?」
「怪我人はいないか?」
薄暗いビーチに突然降って来た俺に生徒たちは呆然としている。
「……け、怪我人はいない。でも、俺ともう一人が爆弾を付けられて」
「そうか……」
生徒たちと協力してテロリストを拘束する。
すると、一人の男が未使用のチョーカーを所持していた。
「あった! 猫! あったぞ!」
「ううう……、もう嫌ニャ、ご主人と一緒にいたら命が幾つあっても足りないニャ……。んニャ?」
ぬいぐるみみたいな見た目をして、目を回していた長靴猫は俺が見つけたチョーカーを見て元気を取り戻したようだった。
「やったニャ、ご主人! コイツを届ければロミたちが解析してくれるニャ!」
「あの、どういうことだ? 解析と聞こえたが……」
「爆弾を無力化する。辛いだろうが暫く我慢しててくれ」
「本当か!? わ、わかった!」
生徒たちに長靴猫を預けてグランピングエリアへ行くように指示する。
炊事場からハッチを降りれば長靴猫だけでもロミたちの元へ行けるはずだ。
一人で暗い海岸線をひた走る――。
「ここからロミたちと通信できないが、チョーカーさえ何とかなれば……!」
不確定要素は多い。チョーカーが何とかなったとして、それに気付いて貰えるのか。気付いて貰えれば生徒たちは自力で何とかできる可能性はある。だが、漫画やアニメのようにポロリと首から外れるものなのかどうかわからない。それにテロリストの目的がわからないままなのが気持ち悪い。
「今考えても疲労が溜まるだけだな……。体力がいつまで持つか」
俺は次に近いモール街へと向かった……。
セーダイが到着5分前、モール街――。
「こちらチャーリー。定時連絡、異常なし」
無線でやり取りをする仲間を、植垣のベンチに座った男が詰まらなさそうに顔で見上げている。
「なぁ、いつまで俺らこうしてりゃいい?」
「あぁ? 例の女が見つかるまでだよ。……けど、想定より時間掛かってやがんな。どうなってる」
男は立ち上がって、跪かせた生徒たちに歩み寄る。
「だよなぁ。下層に生きる俺たちにとっちゃ依頼を達成できず、金が手に入らにことの方が軍に撃ち殺されるよりおっかねぇ。さっさと女を見つけて引き上げたいとこだが……」
男はポーリーンの前にしゃがむと、怯える顔を覗き込んで下卑た笑い声を上げた。そのままポーリーンの脇を掴んで立ち上がらせる。
「何するつもりだ! 彼女を離せ……っ!」
制止しようとしたレニーの腹部を蹴り上げる。
「レニーさんっ!」
「おい、無駄な騒ぎを起こすな」
「まぁまぁ、そう言うなって」
男は乱暴にポーリーンの胸を揉みしだくと、そのボリュームに驚き口笛を吹いた。
「や、ヤメテ……!」
「おいおい、スゲーな。何カップあるんだよ?」
そのまま生徒たちの前で首筋を舐めながら両胸を揉み始めた。
「イヤぁ……、ヤメテ……許してぇ……」
「う、うう……っ。ポーリーンちゃんから離れろ、クソ野郎……ッ!」
地面に転がったままのレニーが男を睨み付けるも男が手を止めることはなかった。
「なぁ、バストサイズと何カップあるのか教えてくれよ? じゃねぇと暇つぶしにお友達を撃っちまうかもしれねぇぞ?」
「……101cmの……Kカップです……」
「マジかよ! スゲーな! ヒヒヒッ! た、溜まんねぇ!」
男はポーリーンの告白に狂喜の声を上げる。そのままトップをはぎ取り、ポーリーンを押し倒してベルトを外す――。
「あぁ、もう我慢できんわ、この場でレイプするわ!!!」
「い、イヤぁ! お願いです……! それだけは……、どうか、許して……っ! 誰か、誰かぁ!」
狂ったように騒ぎ出す男に怯えながら必死でポーリーンは訴える。
しかし聞き入れられることはなく、男の手がビキニのボトムに延びる――。
モール街の屋根を伝い目的の場所を目指す。程なくして大きなモニュメントツリーの下でポーリーンに襲い掛かろうとしていた男を視認した。
「アイツ……ッ!」
銃を抱えて様子見している男の頭上から飛び降りて、首筋に踵を入れる。
「テメェ、どっから……ッ!?」
男が慌てて銃を拾い上げようとするが、レニー先輩はガンスリングを噛んで離さない。その隙に後頭部に回し蹴りを入れ男はそのまま気を失った。
今更だが、白い人が俺の身長を伸ばしてくれていて助かった。オーラを扱えるようになったのも体の成長があったからだだろうし。やっぱりこうなる未来を知ってたのだろうか。
「セーダイ……!」
「大丈夫ですか、ポーリーン先輩」
押し倒されていたポーリーン先輩に声を掛けると俺の胸に顔を埋めて泣き始めてしまった。
「遅くなってすみません……。レニー先輩も大丈夫ですか?」
「何とか……大丈夫。ちょっと……蹴られたけど、ね」
ポーリーン先輩がなかなか離してくれないので、生徒たちにお願いしてテロリストたちをモニュメントツリーに縛り付けた。生徒たちは快く引き受けてくれたが、『ごゆっくり』とか変な気を使われて気まずかった。
「ぽ、ポーリーン先輩……その、そろそろ……」
「ポーリーンちゃん、セーダイ君が困ってるよ。せめて、これ付けないと……」
「……え」
レニー先輩がトップを摘まんでブラブラさせていることに気付いて、ポーリーンはようやく正気に戻った――。暗くて助かった。明るかったら勃ってるのバレバレだったろうな……。
「ご、ごめんなさい、セーダイ。わ、わたくしったら……、あぁ、は、恥ずかしくて死んでしまいそうっ」
「あはは……。それでセーダイ君、どうして君はここに?」
俺はレニー先輩にこれまでの経緯を簡潔に伝えた。
「巨竜の咆哮……。そうか、アイツ等が……。そう言えば、誰かを女の子を狙ってるって言ってたよ!」
「女の子……ですか?」
「え、ええ。たしかに。見つけるまで引き上げられない……というようなことも」
「一体誰を狙っているんでしょう……」
「順当に考えれば生徒会長だけど」
「ラヴィ先輩ですか……。まさか、あのスキルを狙って? 今、生徒会長がどこにいるかわかりますか? 多分、ホテルか水族館のどちからだと思うんですが」
「す、水族館に向かうと仰っていましたわっ」
「わかりました。直ぐに向かいます。チョーカーの爆弾は今、ロミたちが解析してくれているはずなので落ち着てどこかに隠れていてください」
俺はそれだけ伝えると、また走り出した――。
「あ……、セーダイ……」
レニーが腹部を抑えて座り込んでしまう。
「れ、レニーさん! しっかり……!」
「大丈夫……、えへへ」
レニーが笑いかけるとポーリーンは安心した様子で微笑み返した。そして、セーダイの背中を頬を染めながら見送っていた。
「ありゃりゃ、ポーリーンちゃん完堕ちですか。セーダイ君、君は将来、沢山のお嫁さんを貰わないとけいなくなるかもねぇ」




