プロローグ
初投稿です。よろしくお願いします。
女は暗く冷たい金属に囚われていた。
薄い桃色の銀髪が女の頬を撫でるように垂れさがる。
もう、どのくらいそうしているのかわからない……。
「セーダイ……」
赤黒い鎧を纏った男が現れて、女の髪を掴み上げた。
「外の景色を見てみろ、シア。アイツが守ろうとしたものは、とっくに瓦礫の山だ。そしてアイツはもう帰って来ない。いい加減、諦めたらどうだ?」
男の顔を覆っていた金属の口元が開いて、シアと呼んだ女の頬を伝う汗をその舌で舐めとる。
「くくく、あの無表情な女がここまで美しく育つとはなぁ。分かっていればもっと躾けておいたものを」
「…………っ」
「いい加減、諦めたらどうだ?」
「諦める……? 貴方こそ、まだ分からないの……? ずっと彼を見ていたはずでしょ……」
「なんだと……?」
「勇者が使命の為に戦うのなら、ヒーローは皆を俯かせない為に戦うの……ッ!」
間近で落雷を見たような音が轟き、男は暗雲に染まる空を見る。
まるでガラスを粉砕するように空が砕けて、巨大な戦艦が姿を現す。
「あれは……馬鹿な……ッ! 出られるはずがない! あの男、何をしたッ!?」
戦首に白銀の鎧を纏った男が立っていた。
「待たせたな、シア……」
「セーダイ……」
男の名を呟くだけで唇が震えて、涙が溢れていた。
『現在、機関出力27%。変形形態へ移行できません』
「可能性なんか、1%で十分だ――ッ! 勝利武装≪決戦楽章、絶対宣言≫……行くぞ、ハイパーフュージョン……ッ!」
『――オーバーライドオーバー。命令を受諾。勝利武装、変形形態へと強制移行します』
絶望の空を大音量の讃美歌が覆い尽くす。
俯いていた都市の人々が、その空を見上げた……。
失っていた光が再び瞳に宿っていく。
金色に輝く男の眼はどこまでも真っ直ぐだった。
彼の前に敗北など存在しない――。




