エピローグ
それは最強で最悪のハッピーエンドの結末・・・
それからの話。
私は公爵令嬢の地位とか、王女とのコネとか、発明王の技術力とか、裏世界の首領の権力とか、この世のあらゆる力を掌握して、世界の全ての富を牛耳る〝女帝〟として世界を股にかけている。
「アン様、こちら帝国の秘宝である、名匠、シキブムラサキが作り出した名刀、『源氏』でございます」
「ふーん、ま、その辺にぽいって置いといて」
そして今日は私の16歳の誕生日。
16歳にしてこの世の富、名声、力、人脈、全てを手に入れた私の元には千人を超える祝い人が来てる訳だけど、ま、それも当然だよね!、だって私って傾国の美女の娘だし、お金だって使い切れないくらい持ってるし。
ここにいる男達はみーんな私の虜、あの生意気だったロミオも今となっては私のご機嫌を取る哀れなピエロの一人。
美しくてなんでも持ってる私には、沢山の男達が群がってくるわけだけど、残念な事に中々タイプの男が見つからないのよね。
昔は騎士様に憧れていた訳だけど、アリスちゃんを襲撃した殺し屋を雇ったのが騎士様だって知って幻滅して以来、もう騎士様はこりごり・・・。
男も皆似たようなセリフを似たような態度で話すじゃがいもみたいな連中ばっかでつまんないし、あーあ、どこかにいい男いないかなー。
そんな風に考えながら無理矢理手渡された国宝?、らしき刀をポイっと後ろに放り投げたら、それを手渡した人物が怒って掴みかかってきた。
「おいアン、俺はお前がどうしても見たいっていうからわざわざ国に帰って親父に頭下げて秘宝を借りて来たんだぞ!、それを今の扱いは無いだろ・・・!」
そう言ったのはロミオ、まぁ私に群がる男の中では骨のある方で見所もあるけど、いかんせんまだまだガキ、レディの扱いが分かってないし、いつもいつも喧嘩ばかりだ。
いい加減こんなやり取りも飽きてきたなぁ。
「はぁ?、田舎ザルが有難がってるっていうおもちゃがどんなものか気になったから見せてって言っただけだし、別にこんなガラクタ、田舎ザル以外は有難がったりしないんだからどうだっていいでしょ?、それともあんた、もしかしてこのアタシに逆らうつもり?」
「てんめぇ・・・!!」
ロミオは悔しそうに拳を握り締めているが、どれだけコケにした所で、こいつはジェンダー差別の亭主関白系フェミニストだから殴って来ないのは分かっていた。
それでなくとも今の私を殴る事なんて国王様にだってできない事だが、だからこそロミオをこうやってからかうのは私の数少ない楽しみとして面白いのである。
他の参加者も似たり寄ったりの贅を凝らしただけの心のこもらないプレゼントを私に送ってくるが、私はそれをポイポイと後ろに投げ捨てる。
勿論それは完璧メイドのシンデレラがキャッチしている訳だが、私としては正直持ってても仕方ないようなガラクタばかりで突き返したいくらいだ。
だって私、なんでも持ってるこの世界の裏の支配者だもーん。
そして、そうこうしているうちに遅れてきた最後の招待客が私の前に現れる。
本日の主賓、待ち人来る、ってヤツ。
私はここで初めて椅子から立ち上がって満面の笑みで出迎えた。
「アリスちゃん!!んもおおおおおおお!!遅いよ!!、こっちは遅過ぎてピザ30枚も食べちった、てへっ、あ、アリスちゃんも食べる?」
「アンちゃん、また大きくなられて・・・、これ以上大きくなられたら流石に健康に害がありますよ、もう少し自制なられては・・・」
「ええー、成長期だしお腹が空くんだよ、ぶひっ、それにこの世の富を全て手に入れちゃったからさぁ、今は美食くらいしか楽しみが無くて、あーあ、やっぱり世界って意外とつまんないし退屈なんだね、寄ってくる男も顔も話も微妙なじゃがいもばかり、どこかにいい男いないかなー?、なんてね、ぶひっ」
そう言って立ってるのに疲れた私はあらためて椅子に座り直す。
「アンちゃん・・・うぅ、私はアンちゃんがどんな姿になっても変わらず愛しますね・・・」
「それじゃあパーティの主賓も来た事だし、パァーっと行きますか!、男ども、次期女王様の御前だよ!、面白い一発芸やらなかったら即〝追放〟しちゃうからねぇ〜!」
そう言って私は集まった参加者、特に男子に一発芸をやらせて、それを肴にしてピザを貪った。
この世の贅を凝らした料理に、世界の国宝を集めた貢ぎ物に、世界中の美少年を侍らせた演目。
この世界の全てを手に入れた私は、完全無欠で最強の支配者になったのだ!。
「うーん、やっぱり人生変える為に頑張って良かったぁ!!ぶひ」




