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僕の家庭教師  作者: 口羽龍
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 2日後、知也は実家にいた。知也はくつろいでいた。去年の夏からここまで頑張ってきた。結果はまだ出ていないけど、受かると信じて頑張ってきた。あとは天命を待つだけだ。


「はぁ・・・」


 知也は今日も目を覚ました。今日も朝から夕方まで学校だ。もう受験勉強は終わった。だけど奈美恵はいる。


「おはよう」

「併願も含めて、全部終わったね」


 昨日で併願の入試も終わった。だけど、肝心なのは専願の共進学園だ。受からなければ、丸坊主になるからだ。


「あとは天命を待つのみ」

「今日は共進学園の結果が発表されるんだよね」


 いよいよ今日、専願の共進学園の合否が発表される。夜にその結果が届くようだ。


「うん」

「どうだろう」


 2人とも、緊張している。何しろ、自分の未来が決まる時なのだ。


「わからないけど、ベストを尽くせたからいいなと思ってる」

「そっか。合格すると信じてるよ。だって、あんなに頑張ったんだもん」


 奈美恵は期待していた。あんなに頑張って来たんだから、きっと受かると信じてる。だって、私の愛弟子だから。


「そうかな?」

「自分を信じて!」

「わかった!」


 知也は1階に向かった。朝食を食べるようだ。奈美恵は部屋でじっとしている。


 知也は1階にやって来た。ダイニングには麻里子と丈二郎がいる。いつもの光景だ。だが、再来年からは独り暮らしになるだろう。そう思うと、この時間を大切にしないとと思えてくる。


「おはよう」

「おはよう」


 麻里子は気づいた。今日は専願の共進学園の合否が発表される日だ。両親は楽しみにしていた。今日、知也の進路が決まるかもしれないからだ。


「いよいよ今日だね」

「うん」


 丈二郎も気にしている。そう思うと、知也は緊張した。だが、もう入試は終わった。あとは結果待ちだ。


「知也なら絶対に合格できると信じてるから!」

「ありがとう!」


 麻里子は応援している。知也なら必ず合格する。だってあんなに頑張ってきたんだから。


「だって、あんなに頑張ったんだもん!」

「そうだね」


 麻里子は空を見上げた。どうか、共進学園に合格しますように。


「あとは天命を待つだけだね」

「ああ」


 と、麻里子は思った。もし、共進学園に合格したら、知也と丈二郎と一緒に東京を観光しよう。


「もし合格したら、一緒に東京を歩こうね」

「うん」


 丈二郎もその提案には賛成だ。あまり旅行に行っていないから、これを機会に、家族で東京に行ってみよう。


「できれば、家族みんなで行きたいな」

「そうだね」


 丈二郎は今日は残業で遅い。結果がわかる時には職場にいると思われる。合否がわかったら、丈二郎にも知らせないと。


「もし合格したら、お父さんにも知らせないとね」

「そうだね」


 知也は朝食を食べ終え、リビングに向かった。


「ごちそうさま」


 知也はリビングでくつろいでいる。これも再来月になればできないだろう。


 歯を磨いた知也は、登校の支度をするために2階の部屋に向かった。その様子を、麻里子は温かい目で見ている。これが自慢の息子だ。去年の夏までにこんなに成長した。やればできる我が子なんだ。


 知也は2階の部屋にやって来た。


「どうだった?」


 奈美恵は、麻里子が何を言っているのか気になっていた。やはり、今日で合否が決まるのを気にしているんだろうか?


「お母さんも言ってた」

「やっぱり」


 知也は焦っている。早く準備をして、中学校に行かないと。合格したとはいえ、いつも通り中学校に行かなければ。


「いい結果が出るといいね」


 ふと、知也は思った。進路が決まると、奈美恵はどうなってしまうんだろう。いなくなるんだろうか?


「ねぇ」

「どうしたの?」

「合格したら、奈美恵先生、どうなっちゃうの?」


 そう聞かれた奈美恵は、少し戸惑った。自分は受験勉強のためにやって来た家庭教師だ。その先は全くと言っていいほどわからない。ひょっとして、消えてしまうのでは? だが、知也の前でその事を言いたくない。


「それは何も言わないようにして!」

「わ、わかった」


 知也は部屋を出ていった。奈美恵はまるで母のように見送っている。




 夕方、いつも通り知也は家に帰ってきた。部屋に戻ってくると、そこには奈美恵がいる。だが、知也は不安になった。明日になったら奈美恵はいなくなるんじゃないのかな?


「どうだろうね」

「きっといい結果が出るよ」

「だといいけど」


 知也は部屋でじっとしている。結果は夕方に来ると聞いている。あと少しだ。麻里子はいつも通りダイニングで夕食を作っている。おそらく結果の電話は、麻里子が受けるだろう。奈美恵もその結果を待っている。


 その時、電話が鳴った。知也と奈美恵はその声に反応した。電話の音はすぐに切れた。麻里子が受話器を取ったと思われる。


「もしもし、はい、はい。本当ですか? ありがとうございます!」


 麻里子の声からして、合格したのかもしれない。そう思うと、知也は少しほっとした。


「結果が出たのかな?」

「そうかもしれない」


 麻里子は2階に向かった。麻里子は嬉しそうな表情だ。だが、知也は部屋にいて、その様子が全くわからない。


 麻里子はノックもせずに部屋に入ってきた。知也は顔を上げた。


「知也、知也、合格おめでとう!」


 それを聞いて、知也は驚いた。本当に合格したんだな。合格したと知ると、とても嬉しくなった。


「やったの?」

「うん。内定だけど、ほぼ決まったようなものよ」


 麻里子は喜んでいる。去年の夏休みから頑張ってきた知也なら、必ず合格すると思っていた。麻里子は浮かれ気分で部屋を出ていった。


「よかったよかった」

「本当に嬉しいね」

「うん」


 知也と奈美恵は、合格した喜びを、共に分かち合った。これで丸刈りは免れたし、目標を達成できた。

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