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僕の家庭教師  作者: 口羽龍
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 夜が明けた。いよいよ今日は共進学園の入試だ。今日のために、去年の夏休みから2人で頑張ってきた。今日はその成果が試される時だ。


 知也はいつもより早く起きた。緊張しているようだ。今日で自分の未来が決まるようなものだ。ベストを尽くして、合格しなければ。


「いよいよ今日は入試だね」


 知也は振り向いた。奈美恵だ。今日も奈美恵がいる。だが、東京には来れないだろう。離れていても、奈美恵も応援しているだろう。そう思うと、自分は1人じゃないと思える。


「頑張ってきてね! 期待してるから!」

「わかった、奈美恵先生」


 知也は奈美恵に向かって決意した。去年の夏に出会って、ここまで成長した。今までの成績ならば、共進学園に合格すると思われている。だが、やってみなければわからない。泣いても笑っても、今日が全てだ。


「自分の実力、見せてやれ!」


 麻里子も応援している。麻里子のためにも頑張らないと。


「わかった! 全力を尽くすよ!」


 そろそろ入試の行われる共進学園に向かわなければ。知也は準備を始めた。と言っても、必要な物はすでに前日にまとめてある。あとはそれの入ったカバンを持って、入試の会場に向かうだけだ。


「頑張ってね!」

「ありがとう。行ってきます!」

「行ってらっしゃい!」


 そして、知也は実家を後にした。今日で全てが決まる。そう思うと、緊張する半面、やらなければと思えてくる。


「知也、行ってらっしゃい」

「行ってきます!」


 大広間には、丈二郎がいる。麻里子と丈二郎はその後に出発して、入試会場の前で再会する。そして、その足で実家に帰る。


 知也は上野から地下鉄に乗った。知也は思った。来月からは地下鉄に乗って通学する。そう思うと、気持ちが引き締まり、ワクワクしてくる。果たして、どんな生活が待っているんだろう。どんな学校生活が待っているんだろう。全くわからないが、東京で一生懸命頑張っていこう。


 10分ほどで、知也は入試会場の最寄り駅にやって来た。駅には多くの学ランを着た男女がいる。彼らは共進学園の入試に向かうと思われる。彼らには負けたくない。絶対に彼らに勝つんだ。そう思うと、拳に力が入る。


 知也は出入り口を出た。すぐに大きな校舎が見えてきた。共進学園だ。ここが入試会場だ。多くの中学生が入っていく。今日は入学試験だ。再来月からは、ここで学ぶかもしれない。そう思うと、気持ちが引き締まる。


「ここだな」


 知也は入試会場に向かった。会場にはボランティアの生徒がいる。再来月から、彼らが先輩になるかもしれない。彼らを先輩にするためにも、入試に合格しないと。


 知也は指定された席に座った。その教室には、多くの中学生が集まっている。彼らも、今日のために受験勉強を頑張って来ただろう。だけど、自分はこの子たちとは違うだろう。幽霊と一緒に頑張って来たんだ。2人の力で、彼らに勝とう。


「さて、頑張るぞ!」


 と、そこに共進学園の先生がやって来た。いよいよ入試が始まるようだ。入試に来ている人は緊張している。いよいよ入試が始まるんだ。


 テスト用紙と回答用紙が配られた。だが、まだテスト用紙を開けない。これは中学校の定期テストと一緒だ。


「初め!」


 チャイムが鳴ると同時に、入試が始まった。その掛け声とともに、参加者は問題用紙を開く。知也も問題用紙を開く。問題用紙には様々な問題があるが、どれもこれも知也はスラスラと解いていく。去年の夏休み前からは全く想像もできなかったペースだ。どれもこれも奈美恵のおかげだ。奈美恵がここまで頑張ってきたんだから、奈美恵のためにも恩返しをしないと。そして、ここまで育ててくれた両親のためにも恩返しをしないと。


 入試は静かに進んでいく。だが、中学校の定期テストもそうだ。この雰囲気に、知也は慣れている。だが、今日の緊張感は半端じゃない。だけど、頑張らないと。


「終わり!」


 その掛け声とともに、入試が終わった。これで全てが終わった。だが、結果が出るまで喜べない。知也は静かに教室を後にした。その教室に、再来月にいる事を願いながら。


「知也くん、どうだった?」


 ふと、誰かが声をかけた。同級生の白川しらかわだ。真坂、白川も共進学園を受けていたとは。


「なかなか良くできたかな?」

「本当。一緒に合格できるといいね」


 白川は、ともに合格して、共進学園に進む事を願っている。


「うん」


 会場を出ると、そこには麻里子と丈二郎がいる。2人は外でずっと待っていたようだ。知也は両親と一緒に、会場を後にした。


 帰りの地下鉄の中、知也は下を向いている。自分は受かるんだろうか? 不安でいっぱいだ。だけど、自分のベストを尽くせたから、それでいい。あとは入試の結果を待つだけだ。


 知也は、帰りのJRの車内で考えていた。奈美恵はどんな様子で僕を待っているんだろう。きっと、僕の事を思っていただろう。そして、うまくいくようにと願っていただろう。


 2時間かけて、知也は実家に戻ってきた。おそらく再来月からは寮生活に入るだろう。この実家の風景を、十仮止めに刻み付けておかないと。


 知也は2階の戻ってきた。そこには、奈美恵がいる。


「ただいまー」

「おかえりー。入試、お疲れ様!」


 奈美恵は笑みを浮かべた。すると、知也も笑みを浮かべる。


「ありがとう。頑張れた、かな?」


 知也は少し照れている。ベストは尽くせたけれど、結果はどうだろう。


「ベストを尽くせたらいいじゃないの」


 奈美恵は励ました。結果がどうであれ、ベストを尽くせたら、それでいい。あとは結果を待つだけだ。


「そうだけど、結果が全てだよ」

「そうだね」


 去年の夏から、ここまで頑張ってきた。そう思うと、ここまで長い道のりだったように見える。悔いのない日々だったように思える。だけど、その成果は、もうすぐ出る。その時を待とう。

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