45.工房に残されたモノ
そうして俺達は馬刺しに乗ってステンノの工房へと向かった。里のそこらへんにはゴルゴーンがいるから、空から行こうという話になったのだ。ちなみにカサンドラを乗せるのを馬刺しは嫌がるかと思ったが、『なんかもう掟とかどうでもよくなった』そうだ。アスを乗せてどうでも良くなったらしい。そんな適当な感じで良いのだろうか?
「それじゃ頼むよ、馬刺し」
「え? 馬刺し? それがこの子の名前なの? かわいそうじゃない?」
『多分アスのセンスだなぁ……シオンはアスの言う事を疑わないんだよね……』
『やっとまともな感性なやつが現れてくれた……』
「あ、非常食って事かしら? 確かに旅をしていると、そういう事もあるかもしれないわね……」
『アスと冒険したおかげで、魔物食に抵抗なくなってるねぇ……』
「スライムも、ゼリーにしたら旨そうだよね」
『シオンも肉はあるよね』
『やはり、貴様はおかしい……』
馬刺しが何か言っているが気にしないことにする。そうして俺達はステンノの工房の上空へとたどり着いた。やはり空を飛べるというのはすごいなと思う。
『シオン、この里を頼む。我は守護者としてずっとゴルゴーン達を見守ってきたのだ。それなのに今回は何もできない自分が歯がゆかった。だから貴様が助けると言ってくれた時嬉しかったよ……こんなことしかできないが後は頼む』
「ああ、任せてくれ」
そういうと馬刺しは俺に感謝を示すの様に鼻を鳴らした。その声にはさまざまな感情がこもっていた。彼がなぜゴルゴーンの里の守護者になったのかはわからないが、きっと色々な思い出があるのだろう。お前の分もがんばるよ。馬刺し……そう思いながら俺は彼の頭を撫でる。
そしてふと気づく。あれ、どうやって降りるんだ? 馬刺しのやつ全然地面に近づく様子がないんだけど……そう思っていると、馬刺しから振り落とされた。またこのパターンかよ!!
「これがペガサスの正しい降り方なのかしら? 中々個性的ね。炎脚」
『そうだねぇ、あっ、カサンドラ。着地は優しくね」
「そんなわけないだろぉぉぉぉぉぉぉ、風よ!!」
俺は絶叫しながら魔術で落下の勢いを相殺する。ライムのやつは、いつの間にか、カサンドラの方に飛び移ってやがった。彼女は涼しい顔で、炎を操り爆風で勢いを相殺する。俺はと言うとなんとか風で勢いを相殺する。あの糞馬マジで馬刺しにしてやろうか。
「それでここがステンノ工房なのね」
カサンドラが目の前の穴倉を指さしてそう言った。また戻ってきたね。ゴルゴーン達に見つかる前にさっさと行くべきだろう。
「ああ、そうだよ、奥の部屋の机の下に地下室への通路があるんだ」
『英雄譚なら宝物とかありそうだよねぇ』
「へぇー、隠し部屋とは、まるで悪の親玉って感じがするわね……っく」
「大丈夫か?」
俺達が軽口をたたきながら工房に入ると、いきなり彼女は頭を押さえた。その姿に俺は嫌な予感を覚える。
「カサンドラ……まさか……」
「大丈夫よ、何でもないわ」
『ええ、予言を見たわ』
俺の言葉にカサンドラは頷いた。今度は一体どんな予言をみたのだろう? 彼女とパーティーを組んでわかったことだが、彼女の予言は自分や誰かの運命が大きく変わる時に発動することが多いようだ。俺とカサンドラが会うことになった時、俺の命を救った時、ポルクスとカストロを救った時の時など、もしも彼女の予言がなかったと思うとぞっとする。
「地下は安全だから早くいって薬を回収しましょう」『地下に強力な魔物がいるわ、気を付けて薬を回収しましょう』
「魔物か……どんな魔物がいたんだ?」
「魔物? 何を言っているの、何もいないんじゃないかしら」『ごめんなさい、断片的にしか見えなったわ。予言だとシオンが蛇に噛まれていたの……』
待って、カサンドラの予言なかったら俺やばかったじゃん。それにしても蛇か……ゴルゴーンでも迷い込んでいるのだろうか?
「ありがとう、カサンドラのギフトにはいつも助けられているね」
「そういってくれるのはあなただけよ、ありがとう、相棒」
俺の言葉に少し間をおいて彼女は嬉しそうに微笑みながら答えた。そして俺達は地下へと向かう。ステンノの工房はフィズたちが探したせいなのか、それとも他に侵入者がいたのはわからないが、何者かに荒らされていた。俺達は警戒をしながら進む。
「なんか色々あるわね。惚れ薬か……あのゴルゴーンも誰かを想っていたのかしらね……」
『ほらこの瓶とかゴブリンの頭が入ってるよ。悪い奴の実験室って感じだねぇ』
初めて工房に入ったカサンドラとライムが興味深そうにあたりを見回してた。地下へと進む前に俺は知った顔をみかけたので声をかけた。
「よう、こんなとこにいたらゴルゴーン達におやつにされるよ」
『ああ、君は助けてくれた人だね……外はゴルゴーン達が騒がしいからここに避難していたんだ。地下へいくつもりかい? それなら気を付けた方がいいよ。だれかが檻を開けたのかあいつが暴れているんだ』
「あいつ……?」
おそらく、それがカサンドラの言っていた危機だろう。一体どういう魔物なのだろう。カサンドラのギフトは魔物姿を
『うん、恐ろしい魔物だよ……ああ、でもここもだめかもしれない……ここにはあいつの好物があるから……』
そう言うとネズミは頭を抱える。あいつとはいったいどんな魔物だろうか? 俺はとりあえずあいつの好物とやらを見てみる、これミスリルじゃん。これを好物ってゴーレムか何かだろうか? でも、蛇に襲われたって言ってたよね。まあ、何かにつかえるかもしれない。俺はとりあえずミスリルを持っていくことにした。
特に書くことがない……
そろそろアークナイツのイベントですね。ガチャ当たるといいなぁ……
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