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37話:我輩は…


『相談の前に、我の事を先程からライオン、ライオンっと読んでいるでござるが。それはお主達、人間に対して人間って言ってるのと同じでござるよ』


 まさか、異世界まで来てライオンに正論でダメ出しを喰らうとは正直、全く思わなかったよ…

「ごめんなさい確かに失礼だった。なんて呼べば良い?」

『我輩はライオンである。名前はまだ…』

「オイ!ちょっと待て、同じネコ科だからって言って良いことと悪い事が有るからな!」

『名前が無いのなら、美少女天使のルーシー様が特別に名付けてしんぜよう。ライオンの名はシン○…』


 アホ天使のルーシーが、ライオンに絶対に付けてはいけない名前を付けようとしたので、俺は慌ててルーシーの口を手で押さえた。


『ングング…な、何すんのよ』

「ライオンにその名前はダメ絶対、大人の都合で消されてしまうから」

『なら、ライオン丸にする!』

「本気で言ってるならルーシーのネーミングセンスを疑うよ。無難な名前にしなさいポチとか、ネコ科だからタマとか」


 まるで、俺とルーシーがペットの名前でもめている娘と父親のような会話をしていたら、たまらずライオンが心配そうに話に割り込んできた。


『あのー。お主達、我輩の名前だと思って面白がってないでござるか?』

「えっ?そ、そんなことないよ。ライオンだから獅子座の英語読みでレオとかはどうな?」

『おおー!レオいい名でござるな』


 レオの名前が、かなり気に入ったのかライオンは嬉しそうに俺にすり寄って来る姿が、なんだか大きな猫のようで可愛く見えて俺は、レオの(たてがみ)を優しく撫でるとゴロゴロと猫のように鳴き始めた。だが、ちょっと待て、話が脱線以前に全く進んでいないのだが…


「相談とは名前のことじゃ無いよな、レオ?………お前だよ!」


 嬉しそうにしていたから名前を呼んだのに、後ろをキョロキョロと振り返ったレオに思わず、俺はツッコミを入れてしまった。


『そうであった。我輩がレオでござった!初めて呼ばれて我輩だとは思わなかったでござるよ。それと相談とは名前とは違い、水飲み場に槍を持った皮膚が緑色の鱗が生えた男が増えたらせいで、ゆっくりと水が飲めないでござるよ』

『オイオイ。それって普段は大人しいのが、水飲み場の苔を食べる為に縄張り意識が、非常に高いリザードマンの事じゃないのか?』

『鱗が岩の奴もいるでござるよ』

『それ、リザードマンの上位種、ロックリザードじゃねーか!リザードマンと違って岩が主食のだから岩を噛み砕く強靭な顎と動きが遅いが、皮膚が岩のように硬いから斬撃系武器がほとんど役に立たない、中級冒険者泣かせで有名な奴じゃねか!』


 レオの相談の内容を聞いてマックスが、説明をしながら俺に、大変だから絶対断れっと目で訴えかけてきたのだが…。


『何それ、楽しそうじゃない!』

『ベルさんは困ってるライオンを見捨てる人じゃ無いですよね?』


 マックスよ諦めろ、いくら俺に訴えかけてもルーシーとフェルの2人が興味を持った時点で残念だが、俺たちに拒否権は存在しない…。


『ベル早速、トカゲ退治にその水場に行くよ』


 ルーシーは楽しそうにリザードマンが占拠する水場を目指し歩き始めたのだった…


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