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街道の洗礼、共鳴する刃

ルミナ村を囲む「影の森」を抜け、二人の少年は初めて見る「街道」を歩んでいた。

村の閉鎖的な空気とは違う、どこか乾いた風が吹き抜ける。目指す商業都市フェルゼンまでは、徒歩で三日の距離だ。


「……なぁユーマ。この斧、マジでやべえぞ。ただ担いでるだけで、体の中に力が溜まっていく感じがするんだ」


カイルは、父ガルドから譲り受けた「黒鉄の戦斧」を愛おしそうに肩に担ぎ直した。その重厚な刃は、陽光を跳ね返すことなく、鈍く黒い光を放っている。


「それはカイルの『力』に、斧の魔力伝導率が適応し始めてる証拠だよ。おじさんの斧は、使い手の意思を破壊力に変える特性があるみたいだ」


ユーマは冷静に分析しながら、自身の腰に帯びた「狩人の特製短剣」の柄に触れた。知力28の演算能力は、歩きながらも周囲の微細な変化――草の揺れ、風の匂い、土の湿り気――をデータとして処理し続けている。


「……カイル、止まって。三つ先の角、街道脇の茂みに『熱源』が四つ。それと、上空から僕たちを狙っている影が一つある」


「はぁ? 何も聞こえねえぞ……。けど、テメエが言うなら間違いねえな」


カイルは即座に戦闘態勢に入った。ユーマの「努力の魔眼」が青白く輝き始める。

すると、茂みを引き裂いて飛び出してきたのは、街道を縄張りとする盗賊……ではなく、飢えた「牙狼ファングウルフ」の群れだった。さらに上空からは、鋭い鉤爪を持つ「飛影鷹シャドウホーク」が急降下してくる。


「まずは上だ! カイル、僕の指示に合わせて斧を振れ!」


ユーマは左手をかざし、新スキルを展開した。

「――『魔力の糸』、展開!」


指先から放たれた極細の魔力の糸が、空中の鷹の翼に絡みつく。自由を奪われ、高度を落とした鷹に向けて、ユーマはガルドの短剣を抜いた。


「『衝撃インパクト』――短剣経由バイパス出力!」


短剣の刃から放たれた衝撃波は、以前の素手での発動よりも三倍近く鋭い。空中で体勢を崩した鷹を、ユーマは最短距離の踏み込みで一閃した。

精密演算LV1が弾き出した「最小の動き」が、魔物の急所を正確に捉える。


一方で、地上では三頭の牙狼がカイルに襲いかかっていた。


「カイル、右の二頭は無視しろ! 左の一頭の鼻先を狙って、斧を垂直に振り下ろせ!」

「おうよ! ……『共鳴シンクロ』、接続だろ!?」


ユーマの魔眼がカイルの視界をジャックする。

カイルの目には、牙狼の動きがスローモーションのように映り、斧を振り下ろすべき「光の軌跡」が見えていた。


ドォォォォォン!!


黒鉄の戦斧が地面を叩き割った。牙狼の頭蓋を粉砕するだけでなく、その余波が地面を伝わり、残りの二頭を吹き飛ばす。

ガルドの斧に秘められた「衝撃伝播」の特性を、カイルの純粋な力とユーマの制御が120%引き出したのだ。


戦闘は一分と経たずに終わった。

街道には魔物の死骸が転がり、二人の少年は荒い息をつきながらも、その手応えに確信を得ていた。


「……ははっ、すげえ。親父の斧も、テメエの指示も……。村で木を斬ってた時とは、まるで別世界だ」


カイルが興奮気味に笑う。だが、ユーマは崩れ落ちた魔物の死骸を見つめながら、改めて気を引き締めた。


「……これが『外の世界』の日常なんだ。努力を怠れば、次は僕たちがこうなる。フェルゼンに着くまでに、もっとこの武器に慣れておかないと」


ユーマは自身のステータス画面を空中に出現させ、今回の戦闘で得た経験値を、さらなるスキル強化へと割り振っていく。


【フルステータス:ユーマ(第11話・街道戦後)】

名前: ユーマ(高橋 悠真)

ジョブ: なし

LV: 14(UP!)


【能力値】


HP: 68 / 68


MP: 22 / 22


力: 15(UP!)


敏捷: 18(UP!)


体力: 16(UP!)


知力: 28


魔力: 6(UP!)


運: 5


【装備】


狩人の特製短剣: 魔法発動の媒体として完璧に機能し始めた。


黒角熊の腰袋: 牙狼の牙と鷹の羽根を回収。


【スキル】


パッシブ: 忍耐 LV2、精密演算 LV1、隠密歩行 LV1


アクティブ:


生活魔法


衝撃インパクト LV2(UP!): 武器を通すことで「斬撃波」に近い運用が可能に。


魔力の糸 LV1: 敵の拘束、障害物の移動に利用可能。


固有: 努力の魔眼 LV3(共鳴・シンクロ)


【称号】


限界を越えし者


村の異端児


「狩人の志」を継ぐ者


街道の開拓者(NEW): 初めて村の外で魔物を討伐した証。街道での移動速度に微弱なボーナス。


「……行こう。フェルゼンまで、あと二日だ」


ユーマは短剣を鞘に収め、再び歩き出した。

おばあちゃんの寿命は、知力28の予測によれば残り二十八日。

一刻の猶予もない。

少年たちの「努力」を燃料にした旅は、ここからさらに加速していく。

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