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曲がり角の向こうに君が居てくれた  作者: 湖灯


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エピローグ①

 水族館に行った次の日、昼過ぎに目が覚めた俺はずっとベッドから起き上がれずに、ただ天井を見上げていた。


”ダメージ”


 そう言っていい状態。


 だけど不思議に、秋月穂香の事も俊介の事も頭に浮かんでこなかった。


 浮かんでくるのは、あの時AKBの曲を歌って俺を見ていた山岡沙希の顔。


 他に何か考えようとしたが、何も考えられないで只時間だけが過ぎていた。


 明日、俊介に会ったら俺は、どのような態度をとれば良いのか考えなくてはいけないと思っていたが結局何も考えられないままジッと天井を見上げていた。


 ふと、気晴らしに山岡沙希のいる夏目書店に行ってみようかという考えが頭を過ぎり自転車に乗る。


 気晴らしに本を読みに行くというより、山岡沙希に会ってみたかった。


 自転車を漕いで夏目書店の前に来ると、タイミング悪く赤信号に引っ掛かる。


 早く着きたいときに限って、信号は意地悪をする。


 交差点の向こう側、大きな窓越し店の手伝いをしている山岡沙希が見えた。


 あの生意気だった印象はもうない。


 あるのは友達思いのツンデレ美人。


 窓越しに映る彼女は、慣れた手つきでレジで本を包んだりしながら、時折ため息交じりに駐輪場の方を気にしている様子だった。


 その仕草はなんとも色っぽく愛おしく感じながら見ていたが、急になんとなく気晴らしに山岡沙希に会ってしまうのが怖く感じられた。


 何故そのように感じたのか分からなかったが、兎に角”気晴らしに出会うのはマズイ”と思い交差点を渡らずに引き返した。


 そして、家に帰り一日中天井だけを見つめていた。

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