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夏目書店⑨

「じゃあね」


 と言ってペダルに足を乗せる。


 山岡沙希が時間を取らせた事について謝ってきた。


 さっき言えなかったけど、本当は気分がムシャクシャして気晴らしにここに来たと伝えた。


 そしてもう一つ、これは言葉には出さなかったけれど、学校で見る事のない山岡沙希を見せてくれた事に感謝して「ありがとう!」と言ってから自転車を進めた。


 山岡沙希は言われた内容が分からなくて一瞬キョトンとしていた。


「バイバイ!また明日ね!」


 体育会系らしい大きな身振りで元気良く手を振り、その姿がまた可愛かった。


 自転車を漕ぎながら家へ戻る頃には真っ赤な夕焼けが西の空を覆い尽くしていて、その向こうに金星が赤色の世界に負けないように鋭い光を放っていた。





 山岡沙希は進藤公一を送り出したあと、さっきまで二人で話をしていたソファーに腰掛けた。


 お母さんは夕食の準備に忙しいのだろう、ティーカップなどがテーブルの上にそのままになっている。


 つい数分前まで進藤公一がここに居たのだ。


 突っ立ったまま今は誰も居ない椅子と、テーブルに残された勉強道具を見ながら、その光景を思い浮かべる。


 まだ温もりが残っているソファーに、ゆっくりと腰掛けながら、随分懐かしい光景を思い出すように、ボンヤリしていた。

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