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曲がり角の向こうに君が居てくれた  作者: 湖灯


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夏目書店④

 扉がノックされ彼女のお母さんが紅茶とショートケーキを持って来たので話は一旦中断した。


 お母さんは彼女よりも小柄で、娘が男友達を家に連れて来た事を喜んでいる様子だった。


「ところで、何か用?」


 扉が閉まり再び二人になったとき、ここに連れて来られた理由を聞く。


 山岡沙希は紅茶に砂糖を入れ、それを掻き混ぜながらその質問には答えずに質問してきた。


「おたくの恋の物語ってウチで買ったでしょう」


 嘘をつく理由もないので、そうだと答える。


「やっぱり」


 と言い、良く来るのかと聞かれたので、来ると答えた。


「ウチって、この手の品揃え充実しているから、そうかなって」


 相変わらずカップを眺めたままスプーンで掻き混ぜている態度に少し苛立ち、もう一度何か用なのか聞いた。


 一瞬間が空いたあと山岡沙希は紅茶を掻き混ぜている手を止めカップを見つめたまま少し低い声で


「あんた大丈夫?」と言った。


 何のことか分からなかったので聞き返すと、今度はカップを見つめていた目を俺の方に向け、何か決心したような表情で


「穂香のこと好きなんでしょ」と言われた。


 笑って誤魔化そうとしたが、やけに真剣な眼差しに言葉が出ない。


「一年の時から知っているよ、わざわざ穂香を見るために教室に来ていたの」


 山岡沙希はそう言いながら俺から眼を離すとショートケーキにフォークを入れていたが、それを食べずに話を続けた。

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