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曲がり角の向こうに君が居てくれた  作者: 湖灯


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あの子と文庫本⑦

 図書室で本を借りて、体育館の脇を通ったとき開放された横の扉からバレー部とバスケ部が練習しているのが見えた。


 俺の背丈は、一年生全体で言うと真ん中よりやや背の低い部類。


 それについて今まで不満に思ったことは無かった。


 でも秋月穂香の彼氏になるためには、背の高い俺になる必要がある。


 そう思って、バレーやバスケをやったら背が伸びるのかなって眺めていた。


 キュッ、キュッ、と体育館の床と擦れるシューズの音。


 ボールの弾かれる音。


 ジャンプの着地で床を打つ音。


 掛け声。


 どの音も、活き活きと体育館を行き交って心地好い。


 棋道部の静まり返った部室の中で響く、パチンという駒を差す音とは違い健康的なリズム感や躍動感溢れる音がそこにあると思った。


 しかし次の瞬間に、そのリズム感溢れる音の波を切り裂くような異質な声が聞えた。


「もうっ!」


 少し切れ掛かった女子の声が一瞬体育館の中に響いた。


 顔を声のした女子バスケ部のほうに向ける。


 しかし声の主はそのまま練習を続けているのだろう。


 誰が声をあげたのか、分からなかった。

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