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あの子と文庫本⑧
俺はその場に留まり練習を見ていた。
見ていると一人目だってキビキビと動き回る、レベルの高い選手に目がいた。
背丈は俺より少し高いくらいで、スマートな分だけ余計実際の背丈よりも高そうに見える。
セミロングの髪の下のほうをゴムでクルリと纏め、さすがにバスケの選手だけあって手足が長い。
少しきつめの印象を与えるのは切れ長の大きい目のせいだろうが、ナカナカ健康的な美人だ。
バスケなんて体育の授業以外経験したこともない俺でも、その子が高いレベルだということは直ぐに分かった。
しかしその分、全体的に浮いてしまっていることも。
ゴール前に駆け込むその子にパスが渡る。
ボールは、動きが早すぎる彼女に追いつけず背後に投げられて駆け込んだ向きと逆方向に向き直ってボールを受け取った。
そのときに、またあの声が聞こえた。
「もうっ!」
彼女は受け取ったボールを体育館の壁にワザと打ちつけた。
周囲の動きが一斉に止まり、彼女を取り囲んで沈黙している。
やばい雰囲気だ。
なにかひと波乱ありそうな気配に、俺は体育館から離れた。




