呪縛⑦
テスト週間は部活動が無い。
授業が終わると俊介から解放される。
今迄そんな風に思ったことはなかったが、今は一刻も早く俊介の前から逃げたかった。
急に頭の中で、昼休憩に屋上で自分が話した言葉が襲ってきた。
『合同デート?』
何だ、それ?
何故俺は、あんな提案をしてしまったのだろう。
自分のために買ってきた小説の案を、容易く人に譲るなんて俺は道化師か偽善者にでもなるつもりなのか。
学校からの帰り道、自転車を漕ぎながら考えていた。
俺は今でも、秋月穂香のことが好きだ。
今は無理でも、いつかは俺の方に振り向かせて見せる。
そんな事をもう一年以上思い続けてきて、俺なりに努力もしてきたと言うのに、何故彼女は俺ではなく俊介の方に振り向いたのだろう。
考えていると、胸が苦しくなってくる。
胸を痛める切ない気持ちは夕方よりも後の時間が似合う。
今の時刻は四時半なので冬であれば夕方と言っていい時間だが、七月の四時半といえばまだまだ昼の続きの暑い時間。
そしてこの暑さの中では切ないという感情より、まるで砂漠か荒野にでも一人取り残されたような絶望的な孤独感のほうが大きい。
出来る事ならこの道が、この家に続く道が果てしなく伸びて永遠に明日が来なければ良いと真剣に思った。
そうすれば俺は永遠に自転車を漕ぎ続ける。
そうすれば阿久津俊介に会う事もない。
しかし、暫くすると今度は逆に一人ぼっちの寂しさに耐え切れない思いがこみ上げてくる。




