53/106
軽蔑していた感情⑤
見上げていた目を下に向けると、棋道部のある記念会館の下の北門から部活の無い生徒たちが下校している。
男子は白のカッターシャツに黒の学生ズボン。
女子も同じく白のブラウスに黒のスカート。
少しだけ女子の違うところはブラウスの襟にリボンが付いているところだけ。
他の学校の制服に比べ我がS高の制服はなんとも味気ない。
いや味気ないと言うより、正直”ダサイ”
他校の制服が金ボタンのブレザーだったり襟の色が変えてあったり、チェックのスカートやグレーやベージュだったりするのに。
来年には元号が変わるというこのご時世に、伝統ある我がS校では未だに”昭和”から抜け出せていない。
それでもまあセーラー服じゃないだけ少しはマシか?
そんなことを思いながら眼下を通り過ぎる生徒たちを眺めていると、その一団の中に目が覚めるほどの光を反射している白いブラウスと周囲の光を全て吸収してしまうほど黒いスカートを身にまとった女子が目に映った。
”秋月穂香”だ。
他の生徒達と何も変わらない同じ制服を着ているのに、この秋月穂香ひとりだけがS高の伝統を背負っていると俺は憧れの眼差しで眺めていた。




