軽蔑していた感情②
梅雨になり雨が続いていたが、その日の雨は大雨警報を出してくれと願いたくなるくらいの土砂降り。
警報が出れば学校は休みなのにと、注意報止まりの発表を恨めしく思いながら合羽を着て自転車で登校した。
雨は午後には上がり、代わりに梅雨独特の蒸し暑さが来た。
そして、昼休みに本田とカードゲームをして過ごしていたとき、三木が来て千円持っていないかと聞いてきた。
一体何に使うのか聞くと、俊介が鈴木麻衣子に千円借りたのだが、どういう風に返せばいいのか悩んでいると言う。
それで三木は俺たちで建て替えて返してやろうと思い立ったと言う事だった。
俊介が鈴木麻衣子にお金を借りたと聞いたとき、騙されているのだと思った。
面倒くさがり屋で人見知りの、しかも女嫌いの俊介がよりによってわざわざ女子からお金なんか借りる訳がない。
何か他の理由があると思ったが、一応承諾する。
三木は弁当を持って来ていて手持ちはジュース代に二百円しかない。
その足りない分を本田と俺に要求してきた。
俺もその日は持ち合わせが少なくて、四百円しか持っていなかったのでそれを財布から出す。
本田のほうは今日発売の漫画本を買いに行くので渋っていたが俊介のためなら仕方がないと千円札を出し、おつりを受け取っていた。




