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四カ国合同親善試合。
それはアーライル王国、ザイファルト帝国、リュミエール王国、ノクス連邦の4つの国が合同で行う、友好の証となる公開試合だ。
この四カ国は100年ほど前までは緊張感走る戦争のただ中にあったが、近年ではそういった動きはなく、4年に1度親善試合を行っている。騎士の部、魔術師の部の二部門あり毎回たいへんな賑わいを見せる重要な大会だ。
今年の開催はザイファルト帝国でもアーライル王国に近いセリスの丘と呼ばれる場所の闘技場が舞台だ。
「エンディオ様が出場するのよ!当然!見に行かなくっちゃ」
イリーナはそう意気込んでいた。
「あーあ。俺も出たかったなー」
「仕方がないわよ。リーガルは次回……いや次次回になるかしら?それくらいまでは出られないわ」
一応あれから王妃様にリーガルが出場できないか打診してみたが、反応は渋いものであった。曰く、
「リーガル君の出場を認めちゃったらヒナツ君の出場も認めなきゃでしょ?二部門うちが制覇するってのは体裁的にあまりよくないのよ。それに10いくかいかないかの子って他国からは出てこないし」
との事だ。流石ヒナツは出場したら優勝すると確信されている。
「ぼくのせいでごめんねリーガル」
「なんでヒナツが謝んだよ。しゃーねーよ」
しゅんとするヒナツの背中をバンっとリーガルが叩く。ヒナツが痛いよぉと言いながら背中をさするのでリーガルは謝っていた。
―――
サーシェス辺境伯家はどちらかと言うと帝国とは近い位置にある領だ。ザイファルト帝国のセリスの丘までは馬車で約1週間あれば辿り着く。大きめの馬車にイリーナ達は6人全員で乗り込みザイファルト帝国のセリスの丘へ向かう。
「ザイファルト帝国といえばチーズをふんだんに使った料理たちの数々よねぇ」
「まぁ!美味しそうですわね」
「私はパスタが食べたいなぁ」
キャッキャとミーチェとパティはザイファルト帝国の美食に興味があるらしい。ホテルでの食事はなんだろうかと話している。
四カ国合同親善試合が行われるのはセリスの丘と呼ばれる場所にある闘技場だ。古くから帝国の主要な巡礼地として機能しているこの場所は、立地が良く四カ国どこからでも訪れやすい場所だった。
裏を返せば争いになった時の最前線となるこの地には戦争の歴史も深く感じる経歴のある土地だが、今はそんな事は関係ないという風に飾り付けられ、色とりどりの屋台のテントが張り巡らさされていた。
「まぁ。かなり賑わっているようね」
大会開始の前日にイリーナ達は現地入りした。
「着いたんですか?」
「ええ」
「すごくにぎわってるよ〜」
馬車を今日から泊まる予定のホテルの馬車置き場におくとイリーナ達は早速闘技場周りの散策に出かけた。
闘技場周りには四カ国から行商人達が集まり様々な屋台を繰り出していた。
ノクス連邦で流行している硝子細工のように馬の形や花の形をした飴にリュミエール王国特有の硬い焼き菓子。各国の今の流行にのっとった宝石商や衣服店まで、それはそれは様々な屋台が立ち並んでいた。
「さすが親善試合は違うわね」
イリーナ達は親善試合の屋台達でいっぱい買い物をするのだった。
―――
親善試合の騎士の部は初日だ。
イリーナ達は観覧席の1番前に席を取っていた。イリーナが気合いで朝早くから並び1番前の座席を確保したのだ。
これでエンディオの勇姿を1番前で見られるとイリーナはご機嫌だった。しかもイリーナがとった席は出場騎士たちの待機場と近い。
こちらに気づいたエンディオに手を振ると彼は不機嫌そうな顔をしながらそっぽを向いてしまった。
貴賓席を見ると各国の王族や皇族が席に座り、優雅に話している。アーライル王国の王と王妃もやってきているようだ。
それほどこの大会は注目度が高い。貴賓席の傍には優勝者に贈られる月桂樹の冠が安置されていた。
「ただ今より四カ国合同親善試合の開会を宣言する」
ザイファルト帝国の皇帝の挨拶により親善試合が始まる。




