42 転換―――メディルス・サレンの場合
何が私、メディルス・サレンの運命を変えたかと、深く考えてみると、いや考えるまでもなく、間違いなく彼女との出会いが一番大きかったのだと思います。
ザイファルト帝国でサレン家はウロボロスの聖印を受け継ぐ一族だった。しかも最近の排出率はめざましく、3代連続でウロボロスの聖印を発現している稀有な家だった。
その中でメディルス・サレンは聖印を発現出来なかった出来損ないの4代目だ。
メディルスは鬱蒼とした森の中を歩いていた。
隣国、アーライル王国を訪れる目的はいつもこの場所に訪れる為のものだった。メディルスには必要なことなのだ。
真冬の中に向かう場所は森の中の湖だ。
獣道をかき分け、黙々と進む。
目的地も近づいてきた頃、メディルスは異変に気づく。
「馬鹿な!」
いつもならここにはウロボロスが横たわっている。
かのウロボロスは活動を停止して長く、その身体の上に木が生えてくるほど長くこの場所に横たわっていた。
それがどうだ、暴れでもしたのか、木々は抜け地面はえぐれ、肝心のウロボロスはどこかに行ってしまっている。
ポカンと、メディルスは膝を着く。
これでは目的が、悲願が達成できない。
どうしたものかとメディルスは途方に暮れる。
しばらくしてメディルスはのそのそと森を後にした。
近くの村で最近森になにかあったかと聞き込みをすると、村人は口を揃えてこう言った。
「サーシェス辺境伯家の方が森の様子を見に来てくださった」と。
サーシェス辺境伯家。アーライル王国における精霊術の権威。その名声は精霊のあまりいないザイファルト帝国にまで届いているような家だ。中でも次代の当主はドラゴンを2匹も従える大変優秀な者だと聞いたことがある。
ちょうどサーシェス辺境伯家で気になる話も聞いたところだった。1度会って、話を聞いてみるのもいいかもしれない。
「イリーナ・サーシェスか……」
そうして私は出会うことになるのです。
私の運命。私の女神。私の天使。私の愛しい人。
あなたに出会えたことを心から感謝致します。




