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3-5 クライン辺境伯の戸惑い

「さ、ここがティーちゃんのお部屋。荷物はもう運んであるから、好きに使ってちょうだい」


食事を終えた後、アンヌはティーを2階の部屋まで案内してくれたのだが、その扉の向こうは――


「あ、あの…!本当にここ、私のお部屋ですか…!?」


中に入るなり、ティーはあんぐりと口を開けて立ち尽くしてしまった。


可愛らしい小花模様の壁紙に、天井からはシックなシャンデリアが部屋を優しく照らしている。窓辺にはローズピンクのカーテンが掛けられ、家具も寝具も丁寧に手入れされた上等品だ。


アンヌは、にっこりと頷いて。


「大旦那様が、未来の若奥様のために用意されたお部屋なの。私もてっきり、今度こそセレン様の花嫁様が来てくれると思ってたから…」


つまりこの部屋は、本来ここに来るはずだったアリーシアのために用意されたものだ。


「前任のエマは通いの侍女だったもんだから、お部屋は用意してなかったのよ。だから取り敢えず、このお部屋を使ってちょうだい」


アンヌたちからすれば、セレスティンの婚約者を迎え入れるはずが、突然予定が変わって使用人が一人増えることになった。使用人部屋の用意が出来ていないのは当然だ。とは言え…


「こ、こんな立派なお部屋、私なんかが使ってしまってよろしいのですか?」


あわあわと目を回しそうなティーに、アンヌはけろりとして。


「大丈夫よ、大旦那様にもお許しはいただいてるもの!」


そう言ってからアンヌは、ティーの肩をポンポンと叩く。


「…あら、ティーちゃんってば、随分くたびれた侍女服を着てるのねぇ!物を大事に出来るのは素敵なことだけど、これはさすがに寿命だわ。明日までに新しい服を用意しておくわね。さ、うちの朝は早いわよ!今日はゆっくりお休みなさいな」


「あ、あの…」


早口でまくし立てるアンヌに、戸惑って口をもごもごさせるティー。


「さて、私はもう行くわね。ああ、私の部屋はさっきの待機室の奥にあるから、何かあったらいつでもいらっしゃい。それじゃ、良い夢を~!」


そう言うなり、アンヌはティーを残し、さっさと部屋を出て行ってしまった。


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