表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王子に恋をした村娘  作者: 悠木菓子
◇3章◇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

133/155

第133話 ラハリルの本心



 それは三日前のこと。


「久しぶり、アンヘラウム」

「レイン、お前な・・・来るときは前もって連絡しろ」

「忙しいから会えない、って断られると思ったからさ。押しかけてみた」


 突然メアソーグ国王がやって来たことで、王宮内は大混乱だったのだ。


「・・・まあ、よい。それにしても随分少人数で来たそうだな」


 バッジャキラ王宮の貴賓室に通されたメアソーグ国王・レインの傍にはバラックと三人の護衛がおり、たったこれだけの人数でやって来たのだ。

 レインの向かいに座るバッジャキラ国王・アンヘラウムの傍には、第一王子のザラハイム、第一王女のラハリルが着席している。


「お忍びだからね」

「それで、お前自ら何しに来た?ラハリルを同席させたのはなぜだ?」

「実は、うちのレイフォナーが行方不明でさ」

「はあ?」

「正確に言うと、居場所を突き止めることはできた。だが無事に帰ってくる確証はない」

「親子喧嘩でもして家出したのか?」

「そんな平和な話じゃないよ」


 バラックはレイフォナーが姿を消した経緯を説明した。



「闇空間・・・」


 アンヘラウムにとってはにわかに信じがたい話であったが、レインがそんな虚言を吐くような男ではないと知っている。

 

「ということで、今日はレイフォナーとラハリル王女の婚約解消の相談に参ったわけだ」

「延期ではなく、解消だと?」

「いつ帰ってくるかわからないし、もし闇空間から脱出できなければ最悪の事態を迎える。もしかしたらすでに・・・とは、まあ考えたくないが。年頃の姫を待たせるわけにはいかないだろう?」


 神妙な面持ちで話し、若干芝居がかっているレインだったが、救出に向かったアンジュがレイフォナーを連れて帰ってくると信じている。


 レインとアンヘラウムは付き合いが長い。悪友とも言える間柄だ。そんなアンヘラウムはレインの表情や話し方から何か裏があるように感じた。


「・・・お前、何か企んでいるだろう?」

 レインは一転して、にこりと笑った。

「レイフォナーの代わりとなる相手を紹介したい。王族ではないが、それに仕える者だ」

「光剣譲渡の条件に反する」

「まあ、聞けって。ラハリル王女にとってはその相手のほうが嬉しいんじゃないかな」


 レインとアンヘラウムはラハリルを見た。ラハリルはその相手が誰なのか察したようで、期待で顔が真っ赤になっている。


「そ、そのお方とは・・・?」

 ラハリルはか細い声で尋ねた。

「レイフォナーの護衛騎士、ショールなんだけど。どうかな?」

「ショール様!」

 椅子から立ち上がったラハリルに、アンヘラウムは目を丸くした。

「お前・・・」

「王女、素直になってごらんよ」


 突然のことにオロオロしているラハリルの背中を、兄のザラハイムが優しくたたいた。


「お兄様・・・」

「たまには、わがままを言ってもいいんじゃないか?」


 兄に背中を押されたラハリルは、高鳴る胸に手を当て、深呼吸をして、アンヘラウムの目をまっすぐ見据えた。


 父に自分の気持ちを話すことは一生ないと思っていた。たとえ想い人がいようと、父が決めた相手に嫁ぐことは王女としての定めだ。それが国のためになるのならと、役目を全うできるのならと、これまで自分に言い聞かせてきた。正直に話したところで何も変わらないかもしれないが、せっかくメアソーグ国王が与えてくれたチャンスなのだ。


「お、お父様!あの・・・私、ショール様が好きなのです!ずっと、何年も前から。できることなら、レイフォナー殿下ではなく・・・ショール様に嫁ぎたい!」

「・・・・・・まじ、か」


 面食らっているアンヘラウムは、そう返すのが精一杯だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ