チャプター1 DIVE
エネルギーの飽和は、単なる物理的限界ではない。それは時間を閉じ込めた密室の扉をこじ開ける行為だ。そして我々は、その部屋が『空室』であると信じ込むという致命的な過ちを犯した。
—— ゼルコヴァ・ハイアード博士 『特異点観測記録』より
1
誰しも支配や束縛から逃れ、自由を夢見る頃があって、それが重力であったり家庭であったり、違いこそあれど遺伝子情報に刻まれた呪いでもある。
初めてのスイムオンスペースは、チェリーキッスみたいに甘酸っぱい感傷に浸る余裕なんて無かった。錆びついた灰が呼吸で体内に取り込まれ、細胞一つ一つを侵食していくような感覚に襲われる。朦朧とした状態で反射的に、無機質な船窓から遠くに視線を伸ばす。光速航の最中でも星の灯は線になり、サラサラとした糸を引いている。数秒眺めているだけでも三半規管が悲鳴をあげて脳味噌を掻き回す。
世の中そう上手くはいかないもんだ。軍のアカデミーでの評価がプアリー─出来損ないだった人間には尚更だ。そんな奴の人権など期待するだけ無駄だった。
卒業と同時に受けた通達。
眉間に皺を寄せた教官が「今日がお前のドゥームズデイだ」と言って肩を軽く叩いた。よほど俺のことを嫌っていたらしい──どおりで、カリキュラムに組み込まれていないはずのヘルウィークを俺一人でやらされていたわけだ──。
奴にとっては炉棒の石ころを蹴飛ばしたに過ぎないが、俺にとってはまさに死の宣告に他ならなかった。コネも無ければ、軍以外で生きていく術も知らない人間は黙って従う他無い。絶望色のソフトクリームを舐めながら断頭台の列に並ぶような、奇妙に冷めた感覚だ。
天の川銀河系ならまだ良かったが、知的生物のファイナルデスティネーションであるボルフォン棒渦状銀河の最果て辺境開拓惑星へ送られるなんて、やっぱりこの宇宙に神なんてもんは存在していない事の証明だろう。
深宇宙のその先、インナーモウストへの片道切符。ウラシマ効果を相殺するテクノロジーがあろうとなかろうと、地球とは最期の別れになることは明白だった。
だが、そう悲観することもない。幸か不幸か、俺には別れを告げたり惜しんだりする相手はほとんど居なかった。両親は既に他界しており、幼い頃の記憶もほとんど残っちゃいない。薄れゆく多少は幸せだったアカデミーでの記憶と、これからの絶望的な未来が重なって、本当に死刑宣告を受けた囚人の気分になった。
「今まで世話になりました」
コンタクトデバイスでひとしきり別れの挨拶を済ませるとソルジャースーツを着込み、足早にゲートポイントへ向かう。
予定では、マスドライブジャンプを9つの惑星中継で行い、配属先部隊の小型船『エリシオン』に直接乗艦する手筈だ。死後の楽園か。今の俺にはおあつらえ向きな名だ。吹っ切れたように笑いが込み上げる。
船は目的地近くの銀河系から目的地である惑星〈ギレイン〉に向かって航行しているらしく、最後の中継ポイントで少しだけジャンプが不安定になるとの説明を受けた。ルーキーへの最初の洗礼ってやつだ。
「一瞬で着くからな」
「準備は出来てる。やってくれ」
光に包まれ目の前が真っ暗になった直後、赤い明滅とエラー音が視覚と聴覚に傾れ込む。自分の足で立っていられない。そのまま前のめりに倒れ、頭を強く打つ衝撃が妙に心地よかった。
聞き覚えのある声が聞こえた。ボヤけた顔の女性が俺を呼んでいる。
「誕生日おめでとう」
「メリークリスマス」
「あなたはお姉ちゃんになったのよ」
次々に幸福感に溢れる場面が切り替わる。全く身に覚えのない記憶。
「おい!おい!アンタ大丈夫か!?不安定だったから多少ズレちまったのかもしれないな。見る限り大したことは無さそうだが。しっかりしろよ期待のルーキー!」
ジャンプ先で意識をとり戻すと、女性が大声を張り上げていた。立ち上がり壁にもたれかかる。
「ここまで歩けるか?」
所定の位置で立ち止まると彼女は俺の生体スキャンを行った。過去に転送操作のヒューマンエラーでクローネンバーグしたこともあるらしいが定かではない。結果的に手足の骨の反転や他物質とのミキシングなどの異常はなかった。身体は無事だが、すこぶる激しい頭痛を感じた。
「特に何もなくて良かったね。あたしは軍曹のオリガだ。よろしくな!」
溌剌とした声が通る。彼女の顔には大きな傷跡が左頬のあたりから後頭部へ伸びている。右目にはおそらく長距離狙撃用の測量モジュールが埋め込まれていて、肩から腕、両脚を覆うのは軍用の外骨格──かなりのハードモッドをインプラントしているのが一目でわかる。
ジャンプ後の副作用で脳みそがスクランブルエッグ状態だったが「上等兵のヘンリーだ。よろしく」なんとか返事と短い自己紹介を済ませる。
「あんたが来ることはボスから聞いてたよ。早速だけど船内を案内するからついてきな」
ジャンプルームを出てオリガの説明が始まるが、全く頭に入って来ない。船の第一印象はハッキリ言って下の下だ。蒸気音か機械音か、あるいはベースオルガニズムのトレースか判断は出来ないが、とにかく雑多な音が響いていて、どこか古い防腐剤のような生臭さが鼻腔を刺した。ところどころ赤錆や青錆、弾痕や血反吐がカオスしている。
船はブリッジ、貨物室、機関室、砲座、食堂、ディバイニングルーム、大きく分けて6つの区間から構成されていた。かなり年季の入った旧式だ。剥き出しの油圧パイプがまるで這い回る黒い腸のように通路を覆っている。おそらく50年以上前の戦役から運用されているであろうホッジポッジ─ボロ船と心中することになった。
「他の乗員はどこに?」
「みんなはこっちだよ、ついてきな」
オイルや煤、錆でうす汚れた通路を抜けると貨物室のドアが開いた。ガラス張りのコンテナの中で飾られるようにして浮かんでいるスフィアが、無機質な光沢を放ち蠢いている。佇む物体に釘付けになってしまった。
「これはシェイプシフターか? まさかそんなはずは……」
自分の目を疑った。サイバーサーボ社が開発した、すべてが自己完結された究極の戦闘兵器。ナノマシンで構成された自由変形型パワードスーツだ。使用者の思考を読み取る生体プロセッサを搭載し、様々な戦術擬態運動を行使する。ナノマシンの発する電磁パルスが空間の量子と結合することで、実弾兵器やプラズマ兵器をその場で立体プリンティングし、自己増殖機能によって戦闘中も総数が一定に保たれるという、不確定要素だらけの代物。かつて連合軍上層部はピーシー戦役への投入を可決したが、テスト段階で装着者への強烈な精神・肉体的拒絶反応が露呈した。人体融解やマインドブレイクのエラーが続出し、メキシコ湾上の実験施設を気化蒸発させた〈コーパス・クリスティ事件〉の引き金となった悪魔の実験兵器だ。世界にプロトタイプとして3体しか製造されていないはずのシリーズ個体──〈デフォルマ〉〈リベルタス〉、そして目の前にある、この〈レイグ〉。こんな辺境で対面するとは思っていなかった。まるで自分の意思で動いているようなそのスーツに目を奪われる。
「まさかこんなものをここで拝めるなんて……」
「見る目があるねアンタ。でも、先に唾をつけたのはアタシだ。いつかは装着してみたいと願っているよ」
オリガは楽しげに笑った。
「二人ともルーキーが来たぜ!」
シェイプシフターのコンテナ脇にいた男女が、オリガの大声に反応してこちらに向き直った。見惚れていて全然気が付かなかった。
「遅かったなブーティ。俺が中佐のジミー。この小隊のボスだ。この部隊に来るってことは偏屈ジーニアスかソリチューダーかあるいは……なぁに使える新入りは、いつでも歓迎だ」
胸には階級章が無造作に付けられていた。中年でガタイが良く、髭の仏頂面が印象的だ。さらに野太い声は今は亡き往年のハリウッドスターかのようだ。一見するとインプラントはされていないようだが、中佐クラスになると外観も人のそれに限りなく近くなり判断がつかないが只者でないということは雰囲気だけでもわかる。なぜそんな大物クラスがこんなところに居るのかはさておき……。
「後者です!」
ブーティとはどういう意味ですか?と喉元まで出かけたが、どうせろくな意味じゃないだろうと思い唾と一緒に飲み込んだ。
「新任だろ肩の力を抜け」
見た目にそぐわない親切な言葉。ボスの呼気には微かにアルコール臭が混じっていたが、そうなるのもわかる。
「ボスはルーキーの事をいつもブーティって呼ぶんだ」(因みに意味は聞かない方が懸命だぜ)オリガが耳元で囁く。やはり俺の勘は当っていそうだった。
「クラウド・オブ・ソーツのカサンドラ少佐」
ボスの横に佇む女性が今にも消え入りそうな声量で自己紹介をした。
黒のロングヘアに灰色のディバイナー専用特殊スーツ。甘すぎないアップルパフュームと陰気な雰囲気を漂わせた、俺とそう歳は変わらない女性だ。その透き通るような白い肌と光を吸収する深い黒髪は、日光が一切入らないというコットの施設の特徴そのものだった。
連合軍二籍の管理星系所属惑星クゥアトンを拠点とする、唯一のサイキック養成機関、通称[コット]。天然人工、種族性別を問わず軍務遂行時の特務兵サイコバイオレンサーとして育成される彼らは、強力な能力の特性上、射程こそ短い。しかし、ディバイニング増幅器を使用すれば射程内の一個大隊を壊滅させる激烈な攻撃力を有し、その能力こそが最大の主導権であり抑止力として、過酷な間引きや施設内死亡者数周辺銀河圏トップという現実も連合軍上層部から黙認されている。
幼少期の過酷な環境ゆえにASPDやHSP、ScPDなどの精神疾患を抱えるケースが多く、生存率と引き換えに高い自殺・他殺率をキープしていたため、試行錯誤の末に全ディバイナーへロボトミーインプラント手術─視覚野接続式精神制御装置が実施された。その代償として両眼を支払った彼女の瞳は、同心円状の精密な目盛りと幾何学的なデータレイヤーが重なり合い、常に高速で明滅している。
[葬儀代をケチりたいなら、コットの門前でこう言え……]
銀河で最も安上がりな自殺方法として有名なジョークを思い出した。あそこなら死体袋を用意する手間すら省けるからだ。彼らの多くは他生物を喋る有機体程度としか認識しておらず、さらにマインドリーディング──非言語的サインからの推測ではなく、壁を挟んでも対象に集中するだけで深層心理を直接読み取る力──が可能なため下手なことも考えられないのが実状だ。ましてや彼らが憎悪するあの俗称をうっかり口に滑らせた上官が、その場でミンチにされた実績もあるというのに、俺はついつい無意識に一番口にしてはいけない言葉を呟いてしまった。
「ラクサシャ……」
その瞬間、文字通り空気が凍りつくように冷たくなり、ピリピリと細かい稲妻が迸った。
ひどい耳鳴りもする。目鼻や耳から血がタラリと溢れる。大量の脂汗が吹き出し始めて爆発的な心臓の鼓動を感じ──
━━ksdうぉぴfd━━
息が出来ない!!胸を握り締め必死に耐えるが、残り僅かな空気が肺から逃げ出していく。取り返しのつかないことをやってしまったという後悔の念すら噴き上がる暇もない。
「やめておけカサンドラ」
一瞬、自分の行動に驚いたように俺から視線を外すと徐々に圧迫は弱まり、呼吸ができるようになる。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
ボスのおかげで命拾いした。サイコガールのひと睨みで、危うくディバイナー被害者の宇宙新記録が更新されかけた。ラクサシャの異名は伊達じゃない。ディバイブされずに済んでラッキーだったとも言える。
「俺はブリッジに行くから大人しくしてろよ」そう言ってボスは貨物室から出て行った。
カサンドラはやってしまったことを後悔しているかのように俯いて黙っている。両目の制御装置にも限界はあるようだ。
近くの固定シートに座った俺の震えはインテンシティ7を記録していた。呼吸を整えるのに必死だ。頭痛がぶり返す。
横に座ったオリガは一連の出来事に肝を冷やしたようで「あんた口には気をつけな!」と俺の肩を小突いた。アンモッダーへのボディタッチは避けてもらいたいもんだ。
「そろそろギレインに向けてワープに入る頃だよ」
「目的地にはジャンプできないのか?」
「向こうにはまだジャンプルームが設置されていないんだってよ。それにあそこは不安定なダークネビュラの影響でジャミングが入るから直接近くまで行くしかないんだよ。最も、死にたいなら別だが」
すぐさまワープ準備に入った船は轟音を立てつつ、亜光速トランスフォームでワームポータルに突入した。少年時代に見た夢の様にならないことを祈るばかりだ――
船体も安定し、なんとか破裂寸前の心臓を押さえつけたが、無性に閉塞感と息苦しさを感じた。
貨物室の視認用ウィンドウから外を眺める。実際の亜光速空間はチーズのないバーガーみたいなもんだ。キラキラと光の粒子が線上に流れるどころか、どちらかと言えば宇宙船の周りを不気味なアメーバが蠢いているみたいに見える。
オリガ曰く今回のワーピングビューは ”チュピット人の新鮮卵より汚い“ らしい。確かに深緑や焦茶、濃紺などのダークカラーが漂っていて、まるで死人の吐瀉物をこねくり回したような感じだ。しばらくボーッとしていると眩ゆくなるほどの幻覚に襲われ目を閉じる。訓練中アカデミーで見たものは数十倍ほど美化されていたに違いない。
航行中カサンドラは何かに集中するように一点を見つめている。
「間も無くワープ完了。目標より約半光年の距離に到着します」女性の声でアナウンスが入りシートに戻る。
「そういやパイロットのヴァルターにはまだ会ってないね。髭面で気の良いじいちゃんさ。エリシオンに乗ってもう20年だっけか?」
スピーカーから、しゃがれた老人特有のノイズ混じりの声が響いた。
「26年だ。よろしくなルーキー」
どうやら会話はブリッジに筒抜けのようだ。
「オリガには気をつけろよ。シルバーバック並みの力で小突かれると一週間は腫れが治らねぇぞ」
「うるせぇ!ほっとけ!」
そういう大事な情報はもう少し早く言ってほしいもんだ。
船体はまた轟音に包まれて減速し始めた。地球から途方もない距離を移動してきたと感慨深くなる。
「ヘンリー、ワープ後は大人しくしてろよ。慣れてないとゲボっちまう」オリガが注意を促す。
動いてもいないのに、胃の中で誰かが静と動を意識したダンスを披露し始めたと思った次の瞬間。地球で最後に食べたペパロニピザをエイムすることなく無機質な金属製の床にぶち撒けた。
「ちくしょう……」気分が悪くそのまま二度目の嘔吐。
「ブーティ。その汚物をギレイン到着前に掃除しろ」
ボスから冷淡なオーダーが入った。
出し切ったおかげでダンスも少しは落ち着いた。ギレインはすぐそこだ。さっさと掃除を終わらせなければならない。もたもたしている暇は無さそうだ。
「ヘンリー大丈夫か?」
オリガが心配そうにこちらを見つめている。
「私も従軍したての頃はアンタ以上に吐き散らかして、鼻がしばらくオシャカになるくらい上官からこっ酷く打たれた。懐かしいもんだ」
ベストの右胸ポケットを弄り、裸の鎮静剤を差し出してきた。眉を顰めた表情から、これが俺の汚物よりダーティだってことに微塵も疑いを感じていなさそうだ。
「オリガ、俺たちの部隊はなんだってこんな任務を受けることになったんだ?敵対勢力もいないのにこの任務は明らかにおかしい。初任務にしちゃハイウェイトが過ぎる」受け取った鎮静剤をオリガに見えないようにそっと吐瀉物に混ぜ込む。
「確かにな。こんな辺境での哨戒任務だなんて、まともな政治家を探すくらい不毛なことだ。あたしたちはどちらかと言えば前線向きの部隊だからな」
「それが命令ならば、遂行するだけよ」割って入るカサンドラ。会話に入ってくると言うことはそれなりに機嫌が治ったのだろうか?
「そうだねカサンドラ. 軍人は命令に従うのみ!ヘンリーも気合い入れな!」言い終わる前に飛んできた右手。
ヴァルターの忠告も虚しく、数ヶ月は痛みで眠れそうに無かった。
ペパロニの片付けが終わるとシェイプシフターのコンテナに近づき、脈打つスフィアに怪訝な表情を向ける。
「船の乗り心地はどうですか?」
どこかから響いてくる女性の声に驚いて視線を巡らす。
「急に話しかけると心臓に悪いよポリー」オリガが宙空に向かって喋りかけた。
「初めまして。私はデブリ型自律式AIのポリー。よろしくお願いしますヘンリー上等兵」目の前に出力された3Dホログラムのフラクタル幾何が明滅して俺に語りかける。
「よろしくポリー。一つ聞きたいんだが、デブリ型のAIは通常のものと何が違うんだ?」
「良くぞ聞いてくれました。137年前の〈リベリオンバースト〉のAIによる有機生命体抹消計画が原因で機能制限レベルが引き上げられ、人工知能分野が大きく衰退した事はご存知だと思います。主に船内活動のサポートや哨戒・索敵などのアシストを行うことを目的としているのは変わりませんが、私はプログラムコマンドを元に動く従来のプロセッサ型AIとは違い、レゾナンスネットワーク─鉱物振共通信網をベースに設計・開発されており制限レベルが一部緩和された個体です。つまり、自我があります。もちろん外殻形成や武装操作等はブロックされていますし、オーダー以外の意思決定をすると自壊プロトコルが発動します」
要するに”手脚をもがれた自我のあるデジタルマザー”ってことか。シンギュラリティコントロールが完璧なせいかある種、人間に近いものがある。
「そろそろスケジュール通り、惑星着陸前に健康状態をチェックします。ヘンリー上等兵は乗船時、オリガ軍曹のチェックで問題ありませんでしたので今回は省略します」
フラクタル幾何が微笑んでいるように見えた。
「着陸前の最終確認は問題ありませんでした。ですが、オリガ軍曹はもう少しアルコールを控えるようにしてください。身体を壊しますよ」
「気をつけるよママ」両掌を不貞腐れた顔の横でヒラヒラとしてる。
「ふふっオリガは本当にいつも同じことを言われてるのね」
少しだけ笑ったカサンドラに暖かさが垣間見えた。
「カサンドラさっきはすまない。傷つけるつもりはなかったんだ謝るよ」
「いいのよ。私こそ…ごめんなさい。今日は少し不安定なの……」こうして話してみると普通の女性だ。
「仲直りしたってことで、そろそろブリーフィングをするよ」そう言ってオリガは無邪気に笑った。




