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ワンダーランド・ボーイ  作者: 櫻木サヱ
光と闇の交差点

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36/47

The choice of light and darkness

光の庭園を抜けると、道が二つに分かれていた。

 一方は柔らかな光に包まれた白い小道。

 もう一方は黒い霧が漂う闇の小道。


 案内板にはただ一言、


 “どちらかを選べ”


 アレンは息をのんだ。

 選択。この世界に来てから、何度も迷い、何度も決断してきた。

 でも、今回は違う。胸の奥がざわついて仕方がない。


 チェシャがアレンの腕に軽く絡みつく。

「ねぇ、鍵くん。どっちに行きたい?」

 明るい声だけど、ほんの少しだけ心配が混じる。


 ホワイトもアレンの横に立ち、真剣な目で二つの道を見つめていた。

「君が決めるべきだ。…でも、どちらを選んでも僕たちはついていく」

 静かな声が心に沁みる。


 アレンは二人の顔を見比べる。

 二人とも、こんな危険な道でも“アレンと一緒ならいい”という表情だ。

 胸がぎゅっと熱くなった。


「……俺、二人と離れたくない」

 ぽつりとこぼれた言葉は本音そのものだった。


 チェシャはぱぁっと嬉しそうに笑って、アレンの手を両手で包む。

「だったら、三人で行けばいいんだよ♡」


 ホワイトは穏やかに微笑み、アレンのもう片方の手をそっと握る。

「大丈夫。迷っても、怖くても…僕たちが支える」


 三人の指が絡み、温もりが伝わる。

 光の道からも、闇の道からも、ふわりと風が吹き、アレンの頬を撫でた。

 どちらも正しく、どちらも間違っていないように思えた。


「……よし。俺は――」


 アレンが選ぼうとした瞬間、


 ドクンッ……!


 胸の奥で、見えない“鍵”が大きく脈打った。

 光と闇の両方から、まるで呼ぶような、試すような気配が押し寄せる。


 チェシャが眉をひそめる。

「これ……鍵くん、呼ばれてる?」


 ホワイトはアレンの手を強く握る。

「アレン、焦らないで。ゆっくりでいい」


 アレンは深呼吸し、二人の手をぎゅっと握り返した。

 温もりが、迷いを少しずつ溶かしていく。


「……二人がいれば、どっちでも怖くない」

 その言葉に、チェシャは照れたように頬を染め、

 ホワイトは静かに目を伏せて微笑む。


 三人の想いが混ざり合うように、空気が柔らかく震えた。

 そしてアレンは、ゆっくりと一歩――


 光と闇の間に出した。


 まるで第三の選択があるかのように、三人の足元に新しい道が浮かび上がる。

 光でも闇でもなく、“アレン自身の選択した道”。


「これ……アレンが作った道だよ」

 チェシャが驚いた声で言う。


 ホワイトはその道を見つめ、静かに頷いた。

「鍵の力が反応したんだ。君の答えに」


 三人はその新しい道へと踏み出す。

 手を離さず、一歩、また一歩。


 ――未来がどうなるかはわからない。

 でも、三人なら進んでいける。


 そんな確信だけが、胸に強く灯っていた。

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