The choice of light and darkness
光の庭園を抜けると、道が二つに分かれていた。
一方は柔らかな光に包まれた白い小道。
もう一方は黒い霧が漂う闇の小道。
案内板にはただ一言、
“どちらかを選べ”
アレンは息をのんだ。
選択。この世界に来てから、何度も迷い、何度も決断してきた。
でも、今回は違う。胸の奥がざわついて仕方がない。
チェシャがアレンの腕に軽く絡みつく。
「ねぇ、鍵くん。どっちに行きたい?」
明るい声だけど、ほんの少しだけ心配が混じる。
ホワイトもアレンの横に立ち、真剣な目で二つの道を見つめていた。
「君が決めるべきだ。…でも、どちらを選んでも僕たちはついていく」
静かな声が心に沁みる。
アレンは二人の顔を見比べる。
二人とも、こんな危険な道でも“アレンと一緒ならいい”という表情だ。
胸がぎゅっと熱くなった。
「……俺、二人と離れたくない」
ぽつりとこぼれた言葉は本音そのものだった。
チェシャはぱぁっと嬉しそうに笑って、アレンの手を両手で包む。
「だったら、三人で行けばいいんだよ♡」
ホワイトは穏やかに微笑み、アレンのもう片方の手をそっと握る。
「大丈夫。迷っても、怖くても…僕たちが支える」
三人の指が絡み、温もりが伝わる。
光の道からも、闇の道からも、ふわりと風が吹き、アレンの頬を撫でた。
どちらも正しく、どちらも間違っていないように思えた。
「……よし。俺は――」
アレンが選ぼうとした瞬間、
ドクンッ……!
胸の奥で、見えない“鍵”が大きく脈打った。
光と闇の両方から、まるで呼ぶような、試すような気配が押し寄せる。
チェシャが眉をひそめる。
「これ……鍵くん、呼ばれてる?」
ホワイトはアレンの手を強く握る。
「アレン、焦らないで。ゆっくりでいい」
アレンは深呼吸し、二人の手をぎゅっと握り返した。
温もりが、迷いを少しずつ溶かしていく。
「……二人がいれば、どっちでも怖くない」
その言葉に、チェシャは照れたように頬を染め、
ホワイトは静かに目を伏せて微笑む。
三人の想いが混ざり合うように、空気が柔らかく震えた。
そしてアレンは、ゆっくりと一歩――
光と闇の間に出した。
まるで第三の選択があるかのように、三人の足元に新しい道が浮かび上がる。
光でも闇でもなく、“アレン自身の選択した道”。
「これ……アレンが作った道だよ」
チェシャが驚いた声で言う。
ホワイトはその道を見つめ、静かに頷いた。
「鍵の力が反応したんだ。君の答えに」
三人はその新しい道へと踏み出す。
手を離さず、一歩、また一歩。
――未来がどうなるかはわからない。
でも、三人なら進んでいける。
そんな確信だけが、胸に強く灯っていた。




