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正攻法で攻略

 翌朝、アプリを開くと動画が非公開になっていた。


 ――やっぱり戦い方が非人道的だから?


 魔物相手に人道も道徳も無いと思うけれど青少年に見せるには拙い戦い方だったのだろう、と不承不承納得する。


 探索者ギルド公式配信アプリからメールに通知があり、開くと非公開の理由があった。

 私の戦い方がやはり青少年には見せられ無いこと。次に下層深層の魔物の変異体が浅層に顕れる考察。

 空震ダンジョンを攻略してしまうと資源の安定供給と国益を損ねる恐れがあるから、という理由。

 

 所謂大人の事情を書くほど禁忌に触れてしまったということだ。

 

 ――それにしては呼び出されて無い。


 視聴者がゼロだったからか、私が単独スタンピードを阻止した探索者ギルドの前身である組織の役付きだった英雄の娘で、組織のトップ層の席の一つに座る人の娘だからか、恐らくその両方。

 このメールは配信アプリ側――その部署が厳重注意して来た事になる。

 

 ――上まで話が行って、上が確認して、話が戻って来たら、配信者が訳ありで頭抱えただろうなぁ。


 攻略は望んでいないけど、変異体やスタンピードも望んでいるわけじゃない、その為に程よい探索討伐をやりなさいって事かな、と結論づける。


 ――それじゃあ下層深層なんて誰も探索出来なくなる。


 【煮詰め過ぎて濃くなった魔物が一体生まれ、また魔力が溜まり顕れる魔物は、その一体の強さを基準にして顕れる】ってアルシェさんのダンジョン論に書いてあったけど……果たして空震ダンジョンはどうなんだろう。


 ――外れてはいないはず。


 登録者2。一つは監視対象としてかな?

 もう一つは時雨優奈チャンネルとあった。


 ――プロが診ても問題なかったみたいで良かった。


 私もチャンネルを登録する。


 朝食を食べ終えると、早速、最寄りのダンジョンへ向う。

 

 ダンジョンには依頼掲示板が合って討伐から採取、調査依頼があり、探索者の推奨ランクと報酬が決まっている。

 依頼を受けるも受けないも探索者次第。でも貢献度や信頼度にも関わり、ランクアップの査定に響く。


 私は道中で斃すことが出来る魔物討伐を出来るだけ受ける事にした。


 ――これが攻略が進まない理由の一つになっているのかも。

 

 低ランクは浅層でしか評価を伸ばせない。

 パーティーだと経験値が分散されてレベルが上がらない。上がらないと中層にも行けない。

 浅層だと得るお金も少ない。それをパーティーで分ける。装備を揃えるのも一苦労だ。


 ――攻略が進まない理由ばかり。


 ソロ探索者も中層からは慎重になる。

 中層帯は既にイレギュラーが発生してもおかしくないエリア化しているから、余計に慎重にならざるを得ない。


 全て正攻法で全依頼ノルマ達成。

 1層ボスを拳戟撃破。5層ボスを破砕撃破。

 

 6層から属性持ち、スキル持ちの魔物が顕れた。


 属性持ちのスライムが魔法を放とうが当たらなければ問題にはならない。

 

「技スキルの弱点は一度放てば方向を変えれないこと」


 天剣流 星環――


 背後に回り、スキル発動中のワイルド・ドッグに手刀を喰らわせる。

 ゴギャッと頚椎の折れる音が響き、ワイルド・ドッグの身体が崩れ落ちる。


「一対一でも範囲攻撃で相手を正面に縛り付けて、タイミング良く次のスキルに繋げてコンボにしていくのが大事」


 複数で顕れてスキル発動しても同じ。むしろ悪化する。敵が私一人に対してスキルを発動すればどうなるか。


 隣り合うものの武器と武器がぶつかり合ってスキルが中断されてスタンする。

 瞬時に拳撃蹴撃で斃す。

 ぶつかり合わなくてもスキルの特性上、頭上にも隙が出来る。あと、勇気があるなら足払いも有効。


 天剣流 天雷

 天剣流 輔星脚


 踵落としから二連蹴りでワイルド・ドッグを撃破。


「激しいスキルのぶつかり合いとか、鍔迫り合いとか正面から撃ち破る必要はないけれど、火花散るのは格好良く思えるし、ヒロイックなのも理解出来るし否定はしないけど」


 力と力のぶつかり合いはロマンなのかと思うほどにスキルをぶつけ合ってる動画がある。


 ――参考になったかな?


 と攻略して来たけれど目の前には10層ボス部屋だ。


 

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