異能力者養成学校【クレイドル】
降魔騒乱事変。
10年前だが、現在でも鮮明に覚えている。
空が軋みを上げ、爆発したかの様な衝撃が街を俺たちを襲った。
その直後、ヒーローもので現れる怪人――魔物たちが人々を襲った。
悲鳴響き渡る街に顕れたのは異能者たち。
この異能者は漫画やドラマなどで一躍有名になった陰陽師や鬼を討つ者たちだ。
被害は甚大だった。降魔に対して討滅者たち異能力者が圧倒的に足りなかった。
それからも空間震――空震は頻繁に起き、空震ダンジョンと呼ばれる異界が出現したままになってしまった。
そこで超自然現象対策課――現在の鬼部と政府――総理大臣は異能力発現及び育成学校を設けると発表した。
探索者養成学校。
実際、空震ダンジョンが留まるようになってから異能力が発芽する7〜14歳の未成年者が顕れ、大人でも稀に発芽する者がいて、様々な職業の者たちがテストを受けさせられた。
空震ダンジョンでは希少な資源を持ち帰ることが出来た。
依存をしなくても良くなった。
一部の者たちはそれを面白く思って居なかった。
度々、他国が駄々を捏ねたり、内政管掌の様なことを口にしてきたり、自衛隊がスクランブル発進しなければならなかったりと問題だらけだが、何も日本だけが空震ダンジョンが顕れたわけでは無かった。
他国にもハンターと呼ばれる異能力者が居た。
自身の国の資源をただで採らす国など無い。
資源の軍事転用が、というが異能力者自体が一人で戦略級の戦闘力を持つ者も居るのだから、その言葉には焦りと嫉妬しかない、と失笑ものだった。
閑話休題。
「ファイヤースネークッ!!」
「ごーがゃつまぎゅがっぎゃぎゃーッ!!」
俺の火魔法ファイヤースネークがゴブリンの身体に巻き付き絞め上げながら焼き殺していく。
俺は今、異能力者育成マシン【COCOON】の中に入り、俺に秘められた魔力とその形の具現化と戦闘訓練を受けている。
【クレイドル】
それがこの異能力者養成学校の名だ。
【クレイドル】は設立当初は全寮制ではなかった。
では何故、全寮制になったのかと言うと、元々はカースト底辺の連中が、スキル自慢、見せびらかし、スキルを使い、カーストトップ、虐めて来た奴らに逆襲したのが目に余る様になったからだ。
討滅者たちはスキルを使えるだけの人に仇なす者を討つべき“鬼”と名付け、そして実際に“鬼”として粛清した。そんな事が出来るはずがない、少年法が、それを許さないと高を括っていた者たちに、粛清して見せた。
抗議あった。
だが、人外の力を手にし、使用した時点で人の輪から外れた人では無い者――力には責任が付き纏う。それが出来ない時点で人に非ず。
まぁ、実際に一般人から恐れられてるからなぁ……。
あの言葉が決定打になった感が否めない。
粋って奴ら恨むぜ……。お前たちのせいで犯罪者予備軍扱いじゃねぇかよ。
「巻き付けファイヤースネーク」
俺の剣に炎の蛇が巻き付く。
「炎貫蛇咬剣!!」
「ぐるぁはっごぉおおっ!!」
「ふん、何がゴブリンの王だ。消えてろ」
コングラッチュレーションというアナウンス。
一息吐く。
ダンジョンシミュレーションをクリアした所で何になる。
発芽のきっかけ、戦闘のイメトレになるだろうが、結局現場の雰囲気、というか威圧感は実際に行ってみないと分からない。
少し前に【COCOON Spec2】のFIRST DIVERが消えた事件があった。
犯人は開発者たちだった。
開発者の狙いはデスゲームによる人の機微によって生み出されるであろう力の覚醒。
実験だと言った。
そのモルモットに選ばれた存在は、学校や、職場で行われたアンケート。
『居なくなれば愉しいと思う人を一人答えよ』
という内容だった。
俺は書かなかった。
だが、書いた奴は居た。書かれた奴が居た。
「よぉ、翔真。お疲れさん」
「一誠。ありがとう」
【COCOON】から出た俺にスポーツドリンクを差し出してくれたのは妻夫木 一誠だ。
「どうだった? Level上がったか?」
俺は首を振って「いや、打ち止めみたいだ」と答える。
「翔真もか。オレも限界だぜ。やっぱ、シミュレーションじゃ発芽とイメージ強化は出来ても実戦じゃあねぇから現状突破はムズいんだろうな。早く実習訓練に出たいぜ」
「もう直ぐ、もう直ぐ、俺たちもあの時、救けてく れた人たちの様に誰かを救えるヒーローに近づけるんだ」
俺は決意を胸に、その時を待つ。




