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転生者ゲーム  作者: 魔茶来
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第二声 ファーストナビ

 俺にナビ教育をするのはクレア先生というナビらしい?

 ナビの教育をするナビと言うのは凄いことだ、最初のナビはどうやって作ったんだろうか?


 しかし俺はナビを甘く考えていた・・・


 この世界は複雑な世界で「世界教育」は長期に及んだ。


 このユリシーズと言う世界。


 生命の存在可能な星(というか恒星系)が幾つかある。

 その内ソリア恒星系のアルティスという星が最も地球に似ているかな?

 それ以外の恒星系での不思議な生命体はどちらかと言うとSFに出てくる宇宙人のようだ。


 そのアルティスという星は剣と魔法の世界、そして中世のヨーロッパ風。

 小さな国が幾つかあり、ほとんどの国は王様が統治するが共和国等も存在する。

 ほんと、ラノベの世界だった。

 教育中は、この星でナビをしたいものだと思った。


 この星は「地の世界」、「天空の世界」とか複数の多重世界を構成している。

 ただし通常の場合、各世界間は行き来は出来ないらしい。


 つまりどこかの世界にナビ派遣された場合、別の世界のことはナビしなくても良いことになる。

 例外として世界移動が起こった時はナビしても良いらしい。


 記憶することは難しいのだがデータベースがあるから検索方法さえ知れば楽勝だった。


 問題はナビマインド教育の時間だ。


 「ナビは生命に在らず、機械的に業務に徹しなさい」と言われクレア先生に怒られ続けた。


 幾つか紹介すると・・・

   自分の感情は出せない、感情があることは知られてはいけない。


   そして性別も忘れなさいと言われた。

   男であることが異性のナビに影響があるからだ。


   自由な会話は出来ない。

   当たり前だが基本雑談は禁止。

   要請されて幾つかの物語を紹介することは可能だ。


   これは自分から話しかけてはいけないということでもある。

   

   そのことはナビの知識データベースは膨大なので余計な知識をうっかり話してしまうことを避けるためだ。


   主人公たちに、色々なことが障害になったとしても、結末と解決策を直接教えてはいけない。

   これは主人公にとって世界の面白みが無くなるからだな。

   ただし俺としては面白くないけどね。


   そして彼らはチート能力を持っているから支援のやり方次第では世界を亡ぼせる。

   恐ろしい程強力な力の制限も俺達の仕事らしい。


 その後長い間教育は続くがほとんどはナビマインド教育に費やされた。

 費やされた時間のほとんどは、このナビマインド教育試験に落ちまくって再試験が続いたからです。


 やがて、多分あれから数十年が経っているか分からないがやっとナビ教育の時間も何とかやり過ごした。


 そうだ俺もナビ教育から卒業となった。


 そしてナビ実習を始めることになった。


 俺は地球の環境にそっくりなアルティスで実習をするように言われた。

 最初50点持って減点方式で実際のレベル1の転生者や覚醒者をナビする。


 毎日、日が変わる段階で採点されて、もし点数が0点になればナビ交代ということになる。

 ただし俺は最初なので対象者がレベル20になれば無条件交代だ。


 光しかない世界でディスプレイに映る世界しか見ていなかった俺の転送が始まる。


 しばらくすると、風を感じる、音やにおいなんかも感じる。

 この感じる感覚はナビ対象者からの情報だ。


 やがて対象者の目が開いたのだろう。


 周りの世界の全容が見えて来た。


「ここが異世界ね・・・でも建物も何もないわ。素敵な王子様と出会って・・・」

 主人公の声が聞こえてくる。


 どうやら女の子のようだ。

 そう言えばカードがあるのを忘れていた。

 最初からナビ失格と言われてしまうじゃないか。


 少女は地球からの転生者、よってこの世界のことは全く知らない。

 でも過去の記憶は残っているとのことだ。

 そしてこの世界でのレベルは1だ。


 チート能力は「獣具武装能力」か・・・

 あまり聞いたことは無いが能力だけど従魔と武具を操る能力だ。

 レベル20になると使えるらしい。


 俺が別のナビに交代するレベルがレベル20だったから、この能力は見れないのかな・・・


 そんな転生者のことを予習していると時間が過ぎていった。


 うん?俺のことを全然呼んでくれないな、もしかするとナビのことを説明されていないのではないだろうか?


 そう考えていると、少女は座り込んだ。


「どうしろと言うのよ、何も知らない世界、誰も居ない。魔物が居るんでしょ・・・魔法はどうやって使うの?」


 現実に目が覚めたらしい、当たり前だな異世界と言っても小説とは違う。


 彼女がここに来て数時間立つ。

 あれから、少し周りを歩き回って風景を見ているだけだった。

 周りには草原があるだけの場所。

 ぜんぜん人影はない。


 知らないだろうが、十数キロ先の場所にある王都に行くのは今のレベルでは行くことなど出来ないだろう。

 

 少なくとも自分の力を認識することも出来ず、今までのひ弱な人間であることに変わりない感覚。


 そして移動しようとしても知らない場所だから動く決断も出来ない。

 たぶん遠くに行かなければ何もないだろうというのは分かるだろうが、どこまでも続く草原を見ると本当に遠く感じるだろう。


 そして、一日は地球と同じ24時間だ。


 時間は無情に経っていく、雲が通り過ぎるたびに少し暗くなる。

 その薄暗くなることすら恐怖だろう。


 そうだやがて夜が来るのだが、彼女は火の着け方も知らないだろう。


 小説とは違う。

 単純な話、彼女が何もしなければ何も起こらない。


 彼女は蹲ってしまった。


「なんでこんなところに来たんだろう。どうして・・・・」


 さて困った、呼ばれないと出ていけない。


「もういや、帰りたい・・・」

 やがて少女は泣き始めた。


 でも彼女は既に戻る世界はないのだ。

 ここで生きるしかない。

 もしこのまま彼女が何もしなければ野獣や盗賊が出てきてそこで終わりだ。


 呼んでくれ!!って「ナビ」なんて呼ばないだろうな・・・

 しょうがない、こじつけでも何でもいいや・・・答えてしまおう。


 だが少女は黙っていた。


 なんでもいいかなら叫んでくれ・・・そう思っていると泣きながら彼女は切れ始めた。


「グスッ・・、どうしろと言うのよ・・、もう良いわよ・・・、グスッ、どうしたらいいの・・誰か何か教えなさいよ」


 今だ・・そう思った「誰か教えなさいよ」と言うことは俺のことを呼んだんだ。


「教えてほしいことがあるのでしょうか?」


 これはナビとしてはダメな答え方だ、減点だな。


 少女はいきなり声が頭の中に響いたことに驚く。

「誰・・・」


「貴方をこの世界でナビゲートするナビです」


 声を聞いて少女はまた泣き始めた。


「グスッ・・なんでも良いからこの世界のことを教えて」


 なんでも良いからと言われても困るが世界のことであればぼんやり答えられる。


「この世界はユリシーズと言われる世界です、質問の内容をもう少し具体的にお願いします」


「なんでも良いの!!そのユリシーズのここは何処!!もっと声を聞かせて・・・何か話して」

 

 少女の涙が途切れるまで俺は何かを説明し続ける。


 でもやがて夜が来る、今は早く気を取り直して欲しかったが彼女の気持ちが落ち着くまでどうしようもなかった。


 始めから泣き虫少女のナビだった。

 もっと前向きな性格のゲーム好きな転生者ならナビも楽勝だっただろうな。


 ああ、今回俺は途中で落第しそうな予感がする。


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