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魔女ですが呪いは専門外です  作者: 小鳥遊 郁


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21 酔い覚ましポーションと美白ポーション2

私は今、大きな釜の前に立って、大きなお玉でぐるぐると混ぜている。調理と違って魔力を使うので注意が必要だ。

 何をしているかって?

 魔女の仕事であるポーション作りだ。

 酔い覚ましポーションと美白ポーションの在庫がなくなったので、こうして朝早くからポーション作りに精を出している。

 魔女のポーションと違って、この二つのポーションは薬草もよくある薬草だし、魔力もそれほどいらないから、一度にたくさん作れる。


 それにしても置き場所を変えただけで、売り上げは倍増するとは、嬉しい驚きだった。

 特に酔い覚ましのポーションは冒険者の間で口コミが広がっているらしく、補充している側から売れていく。

 置き場所が大事って、前世の記憶がある私が一番わかっていたはずなのにケイシーに言われるまで気づきもしなかった。ケイシー様様だ。


「ふふふ~ん」


 あとは魔力を込めるだけ。ピカッと釜全体が光るとポーションの色が変わる。薬草の色で濁っていたポーションが無色透明に変わっている。


「できた!」

 

 酔い覚ましのポーションと美白ポーションが出来上がった。

 酔い覚ましのポーションの方の釜はそのままにして、美白ポーションの方は半分ほど別の釜に移す。

 別の釜に移した美白ポーションを使って、これからハンドクリームを作る予定だ。成分は美白ポーションと同じなのでついでに作ることができる。

 これはケイシーさんの手を見て思いついたのだ。ケイシーさんは美白ポーションをコットンに湿らせて、荒れた手につけていたのだ。平民の女性の手は水仕事の多さもあって荒れている。冬だとあかぎれでもっと酷いことになる。

 ちなみにケイシーさんが使用している美白ポーションは従業員価格で安くしている。初めは試供品として渡そうとしたのだが、それでは遠慮して使いにくいと言われたので、従業員割引きを申し出たのだ。

 でも彼女がつけているのを見て使いにくそうだなと感じたので、ハンドクリームを作ることにした。

 飲んだら顔だけでなく身体全体に効果があるから、飲むのが一番なんだけど、平民だと嗜好品にお金をそこまで使えないのだろう、コットンに湿らせて少しづつ使用する人の方が多いみたいだ。


 ねりねり、ねりねり。

 ポーションをクリーム状にするには力がいる。魔女だから使い魔にやらせたいところなんだけど、うちの使い魔は使えない使い魔なので自分でやるしかない。

 ねりねり、ねりねり。


「マチルダ様、こちら瓶に詰めてもよろしいですか?」


 ケイシーさんはお店の前に並んでいる人たちが気になるようだけど、まだ瓶に詰めるには早い。ポーションは冷めてから瓶に入れることになっている。


「冷めるまで待って」

「冷めないとダメなのですか?」

「効き目が変わるのよ」

「そうですか」

「じゃあ、魔法で冷ますのはダメなの?」


 アルフォンスが不思議そうだ。


「魔法を使って冷ましても効果が落ちるのよ。冷まさないで瓶に移すよりは良いんだけどね」


 アルフォンスが言うように魔法で冷ませばって考える人は多い。でもね、魔法で冷ましてもやっぱり効き目が変わるのよ。まあ、皆が皆魔法を使わないわけではないみたい。でも魔女のマチルダは魔法を使わない。これは祖母から絶対にダメだと言われているから魔法を使って冷ますことはしない。

 だから魔女マチルダのポーションは王宮御用達にまでなったのだと思う。

 それなのに結局は効き目の低いポーションに負けて、騎士団にポーションの契約を切られてしまった。

 結局のところ効き目も大事だけど、消費者が何を欲しがっているのかが一番大事なんだと思う。そして二番目はやっぱり値段。

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