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アーサーの日常【R15】

お久しぶりです。

久しぶりなのでイチャイチャ編にしてみましたので念のためR15とさせて頂きます。ご注意ください。


―――――――


 私の隣で疲れ切ってすやすやと寝息を立てている最愛の女性の頬を起こさないようゆっくりと撫でる。

 さっきまで愛し合ったその身体には、まだ私の証が残っていると考えるとまた彼女が欲しくてたまらなくなるけど、流石にこれ以上は彼女が壊れてしまうかもしれないからと自制する。

 幾度も愛し合ったとは言え、初めての彼女の身体はかなり辛いはずだ。カーテン越しに登ってきたであろう朝日の光が漏れ込むのを確認すると、日が昇る直前まで愛し合っていたのだと気付かされた。


◆◆◆◆◆


「『もう止めてくださいっ!私はどうなっても構いませんっ!アーサー様を苦しめないでっ!』」


 エントランスでヘルメス、セシル、ダリルの三人と話をしているとゲーム通りの台詞が階段の上の方から聞こえた。

 先程まで付き合ってあげていた女がついにしびれを切らして彼女…私の婚約者であるロベリアを貶めようとしたのだと気付き、頭に血が上る。


「…まて、アーサー。まだだ…」


 怒りに飛び出そうとした私の肩を小声ながらも強く掴んだのはヘルメスで。

 私と同様に怒り心頭で叫び飛び出そうとしたセシルをダリルが後ろから羽交い絞めにしながら口を押えつけている。

 小さく息を整えて、怒りで震える手を握りしめて止まるとヘルメスはほっとしたように肩に置いた手の力を緩めた。


「『きゃあああああ!!』」


 悲鳴の直後に小さいけれど何かが滑り落ちた音がした。


「…手筈通りに…」


 ヘルメスの台詞に全員が小さく頷く。

 一人セシルだけ不貞腐れた顔で頷いているのを見て、ふと笑ってしまった。



 本当に捻挫したらしいエリーの足の手当を侍従にさせていると「私が悪いんです…ロベリア様は悪くないから…」とわざとらしい演技で泣くエリーに私とセシルが殴りかからないようにと早々とヘルメスに部屋を追い出された。


 そして自室に戻ると待っていたのは愛しの 婚約者(ロベリア)

 これからの事が心配なのだろう、憔悴した表情で私を見上げてきた。

 いつもの笑顔も素敵だけど憂いのある表情も麗しくて、わざと意地悪をして泣かせてみたくなる衝動に駆られるけれどぐっと飲み込み、部屋にいた侍従と侍女を下がらせた。


「あの…彼女は…エリー様は…」

「あぁ、ただの捻挫らしいよ」


 二人きりになったロベリアの愛らしい唇から紡がれるのがあの女の名前なせいで少しイラっとしてしまったのが声に出たらしい。ビクッとロベリアが身体を強張らせた。

 そんなロベリアの隣にゆっくりとした動作で座りそっと彼女の肩を抱き寄せる。


「ごめんね。怖がらせたね。大丈夫だよ」


 そっと優しく微笑むけれど彼女の瞳に私は映っていないらしい。

 カタカタと身体を小さく震わせ、開いていた手の方で彼女の膝の上に置かれた両手を包むとひんやりと冷え切っていた。


「わた…私はっ…何もっ…」

「うん。大丈夫。大丈夫だよ。わかってるから」


 肩に回した手を背中に滑らせてゆっくりと撫でると、その綺麗な新緑の双眸からぽろぽろと涙を溢した。

 泣き顔も美しいなんて、罪な (ひと)だな…

 さっきまでエリーの涙に苛立っていたのとは真逆で美しいとさえ思えるその涙を唇でそっと吸い上げる。


「大丈夫。わかってる」

「私…何も…彼女が落ちそうになって…助けようと手を出しただけで…」

「大丈夫だから。ロベリアを信じるよ。だから大丈夫だから、後は私に任せて?」


 私の唇が頬に触れている事に気付いていないらしい彼女は必死に懇願するように涙を溢しながら見上げてくる事にちょっとだけ苛立ちを感じ、気付いて欲しくて唇で涙の跡を辿りながらロベリアの唇に自分の唇を軽く合わせてみた。


「……え?…」


 やっと気付いてくれたらしい。

 きょとんとした表情をしたと思ったら一気に首筋まで真っ赤に染め上げられる彼女に思わず声を漏らす。


「うん、大丈夫」


 そう言って、もう一度唇を触れ合わせると、今度は何をされているかわかっているらしく一気に身体を強張らせたのが唇が固くなった事でわかる。


 あぁ、これは多分パニックになってるな…


 長年幼馴染で婚約者という立場でいたわけではない。

 彼女はパニックになると思考回路が停止するようで、暫く動けなくなるのだ。

 固く閉じられた桜色の唇を舌でなぞると入り込ませないようにと殊更固くなるけど、そのまま唇を堪能するように触れ合わせる。


 今までは あの女(エリー)の事があったから、ロベリアは私に近付こうともしなかった。

 唯一近付いてくれるのは婚約者として一緒に出なくては行けないパーティーの時だけで、それ以外はどんなにデートに誘っても頑なに断られた。

 だからこうやって触れ合うのは初めてで…


 ゆっくりと堪能していた唇を離すと、ロベリアは大きく口で息を吸った。


 あ。止めてたんだ。


 キスの合間ずっと息を止めていたらしいロベリアにふつふつと愛おしくなる。


「あ…あの…今の…え?…」


 まだ混乱しているのか真っ赤になって両手で唇を抑える彼女の瞳にはもう涙はない。


「うん。キス。やっと僕を見てくれたね」


 多分今の私の表情はとろけるような表情だろうなぁ。あのゲームで見たスチレのように、美しく、愛しさを前面に出して微笑えめているのだろうか。


 自分にそんな表情をされると思っていないロベリアはこれ以上ない程に真っ赤に染まっているけれど、ふとその身体まで赤いのか気になって胸元を見た。


 今日のロベリアのドレスは胸元がいつもより大きく開いている物だ。

 私が先日彼女に似合うだろうと思ってプレゼントした物で、私の為に今日の茶会にと着て来てくれたんだろう。

 まぁあの女のせいで私は茶会に出る事は叶わなったけれど…

 注文をした時にはここまで胸元が開いているとは思わなかったが…ロベリアの豊満な胸がかなり協調されているのがわかる。


「ロベリア。その服、着るの禁止にしようか…」


 今回はたまたま茶会だったから良いけれど、こんな姿で夜会にでも出たら他の男どもが群がって仕方ない。

 思わず嫉妬交じりに言うとロベリアは悲しそうにうつむいた。


「申し訳ありません…折角殿下に頂いた物ですのに…似合いませんよね…」

「似合ってる!!凄く!!」


 思わず怒鳴るように言ってしまい、そのまま衝動でソファに押し倒した。

 きょとんと見上げるロベリアは可愛らしい。


「あのね…男ってのは、こんな恰好されていたらこうしたくなるものなんだよ」


 嫌ながら跳ね飛ばすか嫌って言うだろう。

 そう思いながらロベリアの大きく開かれた胸元に唇を近付け鎖骨に口づける。左手でロベリアの身体の横に手をついて体重をかけないようにして、空いている右手でずっと触れたかったその発育の良い胸に触れた。

 柔らかいその感触に私の男の部分が固くなるのを感じる。


「んっ…」


 ロベリアの艶めかしい声にそれが一気に誇張する。

 嫌がるそぶりがないロベリアを見ると、どうしていいかわからないらしく真っ赤になって唇を抑えて視線をさまよわせている。


 よし。このまま襲ってしまおう。

 でも初めてがソファは辛いだろう。


 ソファから降りてロベリアをお姫様抱っこし、部屋の奥に連れて行く。


 私の部屋は一応皇太子の私室とあって応接室と、その隣に書斎。そしてその奥に寝室がある。

 さっき応接室の侍従と侍女は下がらせたけれど、今の時間は書斎で仕事をしているだろう侍従がいるはずだ。が、まあいいか。


 両手はロベリアを抱いていて塞がっているから足で書斎側のドアを蹴ると、中から侍従が扉を開けた。そして私の姿を見て察したらしい彼は、私とロベリアが扉を通ると寝室の扉を開けて部屋から出て行った。


 よくできた侍従で助かる。

 これで今夜はずっと私の部屋に来る人は全員彼に止められるはずだ。

 

「あ…あの…」


 戸惑うような声を上げるけれど無視して部屋の中央にあるベッドにロベリアを下し、恭しく靴を脱がせる。


「ロベリア……嫌なら言ってね……本気で嫌ならやめる…よう努力はする」


 ギシッとベッドを軋ませてロベリアの上に覆いかぶさると、これから何をされるか判ったらしい。身体中を真っ赤に染め上げたロベリアは小さく「はい…」と答えて瞳を閉じた。



◆◆◆◆◆


 もうちょっと時間をかけて愛を育もうと思っていた。

 けれど、今ロベリアを私のモノにしないと、最悪なライバルが出てくる。

 彼女の義理の弟のセシル。


 普通の弟ならまだしも彼は実際はロベリアの従弟で、この国では従弟との結婚は可能だ。

 しかも前世でたまたま見たゲーム雑誌に続編の記事があり、かなり容姿が変り可愛いキャラから凛々しくなったセシルが載っていた。

 セシルがロベリアを恋愛対象として見ていなければ焦りもない。けれど彼はロベリアを恋愛対象として愛しているのが見て取れたから。


 だから王城図書館の司書にロベリアに似た『あの娘』に会えるよう、セシルに王城図書館で本を探してきて欲しい、とあの娘が仕事をしている時間帯に行かせたんだけど。

 あの娘にはあの娘の同僚から「セシル様はお義姉様のロベリア様がお好きで」って噂も流して貰ったから、今頃はロベリアと同じ香水や化粧を似せているだろう。是非とも彼女には頑張って欲しいところだ。

 実際付き合うかどうかはセシル次第だし、上手くいかなくてもセシルにちょっかい出している女性がいればその間に私がロベリアとの関係を蜜にすればいいだけだ。


 頬を撫でていたらロベリアが「ぅん…」と小さく甘い声を出して身じろいだ。


「まだ早いよ…もうちょっと寝てていいよ…」


 優しく声を掛けると、ほにゃっと嬉しそうに笑ったロベリアのせいで一気に私の男の部分に熱が集まる。


「あぁ…もう…」


 シーツの下は情事のままで軽く拭ってしかいない素肌があることを私は知っている。抗えない誘惑に『これは帰す時間までは離せないな』とゆっくりと彼女を堪能する事にした。



―――――――


最後までお読み頂きありがとうございます。

時間的には真ん中の部分が本編でロベリアがアーサーに食べられちゃった部分で、最初と最後が食べられた翌日の朝の部分だったりします。

そりゃ早朝から食べられたら真っ赤な目で逃げるように帰りもするわ。と思っていただければ。

本編3話で『アーサーがセシルに恋人がいると知ったのはロベリアから聞いた』となっていますが、切っ掛けを作るまではしましたが、その後はロベリアとイッチャイッチャしてたアーサーは二人が付き合うまでになっていた事は知らず、ロベリアから聞かされて知ったので間違えではなかったりします。

また機会がありましたら番外編を書こうと思いますので応援して頂けたら幸いです。

お読みいただきありがとうございました。


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