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紅き破滅の魔導師  作者: ひととせ そら


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2/7

◆episode.01 ありきたりで幸せな日々◆

※この作品は、心理描写が濃く表現されているため、

ゆっくりと朗読するような早さで読むと、より世界観に没入できます。

Andanteアンダンテ=歩くような速さで』

──どうぞ、お楽しみください。

朝日の差し込む静かで柔らかな朝。


「あぁ…もう朝か…」

俺は徹夜明けの目を擦り、部屋の窓から差し込む朝の日差しを、

ぼんやりと眺める。


(良い時間だな。そろそろ、いつものようにシアを起こしに向かおう。)


汚い字で殴り書きされた分厚い魔導書のページを閉じると、

すっと立ち上がり、部屋を出て、シアの寝室へと向かう。


「シア」

そして、いつものようにドアの前で声をかけ、ドアをノックする。

しかし反応がない。


またかと思い、仕方なさそうにドアノブに手をかけ、

ゆっくりとドアを開ける。


「お寝坊さんか?シア。」

近づいて頬に手を添え、クスッと微笑んで、

愛しい彼女の顔を見つめる。


「うぅん…ラグナ? …ふふ、おはよう。」

可愛らしい身じろぎをして、ゆっくりと目を開けた彼女は、

俺を視認すると嬉しそうに目を細めて微笑んだ。


「あぁ、おはよう、シア。俺の愛しい人。」

そっと彼女のおでこに、優しい口づけを落とす。


「ん…。」

嬉しそうに目を閉じるシア。


(あぁ…本当に俺の愛する人は可愛らしいな。)


そっと彼女の顎に手を添え、

ゆっくりと、慎重に口づけて愛を伝える。


そんな幸せな時間を終えると、二人はリビングへと移動し、

いつものようにパンとスープで朝食を摂る。


「ラグナ、また徹夜したでしょ…」

彼女がどこか呆れた顔で、俺の顔を覗き込んでくる。


「ははっ…まぁな。

今研究してる術式が、良い感じに進められている最中でさ。」

軽く頭を掻きながら答えると、

彼女から呆れたようなため息が聞こえてきた。

「はぁ…。もう、ラグナは夢中になるといつもこうなんだから…。」


「はは、悪いな。

それよりも、今日も、大聖堂へ祈りを捧げに行くんだろ?」

苦笑いをしながら尋ねると、

スープをゆっくりと飲んでからシアが答えた。

「うん。今日も大聖堂で神様に祈りを捧げるの。

これも『聖女』である、私のお勤めだからね♪」

どこか誇らしげに答えるシア。


「なら、いつものように大聖堂まで送るよ、シア。」

「ふふっ。いつもありがとう~ラグナ♪」

にこりと微笑むシア。


朝食を終えると、

王都の郊外にある俺とシアの小さな家を出て、

シアと手を繋ぎ、二人でのんびりと、

朝の陽光で溢れる並木道を歩いていった。


前方に、両親と両手を繋いで嬉しそうにはしゃいで歩く、

小さな男の子のいる三人組の親子の姿が見えた。


「可愛いね~あの男の子。

お父さんとお母さんに手を繋がれて、すごく嬉しそう♪」

前方の親子を見たシアが、柔らかな笑みを落とした。


「そうだな。幸せそうだ。」

俺もそんな親子を見て、目を細めて微笑む。


「あんな可愛い男の子が家族にいたら、毎日楽しそうだね♪

あ…女の子と男の子、一人ずついたら、

もっと楽しいかもしれないね♪」

シアが、とても楽しそうに思い浮かべながら話す。

こういう時の彼女は、本当に可愛らしい。


「あぁ、そうだな。それが俺とシアの子だったら尚更に、な。」

シアのキラキラした瞳を見つめ、柔らかな眼差しで言う。


「本当?!

いつかは…きっと、作ろうね。私たちの幸せな家庭。」

ほんのりと赤くなった頬で、どこか恥ずかしそうに微笑むと、

シアは、俺と繋いでいた手を、よりぎゅっと握った。


「あぁ。焦らなくてもいいからな。

これからも時間はたっぷりあるんだから。

こうやって二人、ゆっくりと過ごしながら、考えればいい。」

そう言って俺は彼女の手を、よりしっかりと握り返して、

想いを伝えた。


「うん♪ じゃあ、ほら、ラグナ。『ゆびきり』しよう♪」

彼女が嬉しそうに空いてる方の手を差し出してくると、

小指を立ててこちらに向けてきた。


「あぁ。ゆびきりな。」

彼女の小さくて可愛らしい小指に、そっと自分の小指を絡め、

シアとのこれからの『素敵な未来への約束』を交わす。


彼女とのこんな幸せな日々が、これからも変わらず、

いつまでもずっと続くと思っていた。


この頃の俺は…。


………


……



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