男は、顔じゃないと信じたい……
俺の目の前に、神からの使いと名乗る妖精が1人ふわふわと飛んでいる……。
「では~、早速スキルお渡ししますね~ピ~リカ♪ ピリララ♪ ポポリナペ〇ルト~♪」
「うわ、懐かし! やっぱ"おじゃ〇女"だよね~……って、違うー!! おい! それ、完全アウトなやつじゃん!! 呪文それでいいのかよ!?」
「呪文なんて、気持ちが入れば何でもいいのですよ~。なんでしたら、コンパクト開いて変身する奴か、赤いリボンで変身するのとかにしておきます?」
「いや、もぅ最初のでいいです……。」
「では、改めてぇ~ホロレチュチュパ〇ロ♪」
「最初と違ってるじゃーん! それもアウトだー!!」
妖精は色々と危ない呪文を唱えながらも、志信の中に小さい光るモノが吸い込まれていった。
「えっと……これで済んだのか? 特に何も感じないが……」
「はい♪ 無事完了しましたよ~。頭の中で、町村検索』と念じてみてください」
「ん? こうか……?」
志信は、『町村検索』と念じると目の前に矢印が出現した。
「やじる……し?」
「はい、これで何処に村や町があるか分かりますよぉ~」
「ちなみにぃ、矢印が黒ければ100㌔以上、赤ければ50㌔以上、黄色で30㌔以上、青で10㌔以上、白で1㌔圏内ってことです。」
「さらに、現在有りませんがこの世界の地図で描かれている村や町などを見ながら念じれば、その場所までの矢印になります。ただし、村や町のみですのであしからず~あぁ、それと一度行った村や町はたとえその後滅んだとしても、思い浮かべればそこまでの矢印が表示されますので~あと遺跡なんかも反応しませんよ~。厳密に括れば、現在なんらかの種族が暮らしている場所のみ反応ってことです。」
(なるほどな、たしかに便利かな……? 今、矢印は赤だから最低50㌔は離れてるってことか……)
「えぇ、そのとうりです~」
「人の、思考を読むな!」
「いいじゃないですか、減る物じゃ無いんですし~補足ですが、一応移動すれば色も段階的に変わっていきますので、例えば赤→ 薄い赤→ 濃いオレンジ→ オレンジ→ 薄いオレンジ→ 濃い黄色→ 黄色……みたいな感じですので、目安になるかと~」
「それとあたりまえの事ですが、他人からは見えないのでそのつもりでぇ~あと、目的地を視認すれば自動的に矢印は消えますが、自分でオン・オフもできますぅ~。それから、一度発動すればMP消費し続けるってことは無く、距離に関係なくMP消費率は変わりませんので安心してくださいねぇ、それじゃ! 私はこの辺で……」
「待て!」
「なんですかぁ~? 説明足りませんでしたか~?」
「あぁ、足りないな……念の為だが、この矢印は単純な距離優先じゃあ無いよな? もちろん俺が歩いていける場所なんだよな? 巨大な谷や、絶壁があったり、激流で遮られていたりしないよな!?」
俺がそう言うと、妖精はダラダラと汗をかきながらなにやら呪文を唱えると、矢印が180度回転し色が濃い赤色に変わった。
「あははははは~これで問題ないですねぇ~それじゃ!」
俺は慌てて逃げる妖精を俺は、すかさず捕らえた。
「な~に、逃げようとしとるんじゃ~? さっきと方角も距離も全然違うじゃねぇか!! もちろんこのミスの賠償もするんだよな~神の使いさん!」
「ええええぇぇぇーと、では~いったんこの話は、本社の方へ持ち帰りまして~慎重に協議した後、ご連絡するという事でぇ~……じゃ、ダメ?」
「ダメだね、今! ナウ!! 賠償してもらう!」
「わ、私にできることなんて大したことできませんよ!? 物品は渡せないですし、スキルもこれ以上どうすることも……」
「別に物じゃなくていいさ、俺が欲しいは情報だ。この世界のな!」
「それくらいなら……でも! 3つまでです。それ以上は教えられません、私にもそれが限界です」
「分かった。3つだな、じゃあ言うぞ?」
1:この世界の住人と今の俺は話したり、聞いたり、文字を読むことができるか否か
2:この世界は今どんな状況だ? 戦争は? 種族によっての貧富の差や差別はどうなっている?
3:この世界は、俺たち以外、誰でもステータスを自分で見ることができて、LVが存在して、モンスターもドロップアイテム化するのか否か
「以上だ!」
「えっと~、確かに3つって言いましたがぁ~、項目で3つとは……う~ん、まぁイイでしょう! でも、これで最後ですからね!」
俺が頷くと、妖精は質問に答えていった。
「まず、言語ですが……話せるし、文字を理解できます! ただしそれは、この世界の基本共通言語のみで、部族や種族、国など様々に言葉は存在しますので、その他の言語はご自分でどうにかしてください。一応サービスで答えておきますが、現在地も共通言語で会話できる場所になります。」
(ふむ、文字まで読めるのはありがたいな……やはり、種族ごと言語が存在するとなると……小説の"指輪〇語"で覚えたエルフ語なんかは通用しないかな?)
「えっ、通用しますよ? だって作者、元この世界の人ですし……」
「マジか!? てか、また人の思考を読むな!」
「アハッ♪ じゃあ次ですね、まぁこの世界……現在は戦争していませんね、数十万年前に魔族と戦争していましたが、今は特に差別は無いですね、でも種族内では根強いです。ハーフエルフ・ハーフドワーフ等……半分だけってのが差別を受けていますね、見た目は変わらないのですが、仮に両親共にエルフでも、ハーフエルフとして生まれる人もいるようですね……先祖に別の血があるとそうなると言われています。でも、あくまで種族内の差別なのでその村や町から出てしまえば、他の種族から馬鹿にされたりしません。」
「ようするに、エルフはハーフエルフを、ドワーフはハーフドワーフをって感じで、多少はハーフエルフがドワーフの村に行きハーフと分かると、多少邪険にされますがそれほどでも無いようですね」
「まぁ、普通は両親それぞれが違う種族でしかハーフにはならないのですが、基本的にはどちらかの種族の血が強い方で呼び名が決まりますね、魔人とエルフが交わっても生まれてきた子供がエルフの血が強ければ、ハーフエルフと呼ばれます。」
「稀な事ですが、ハーフエルフ同士で子を作ると、普通のエルフが生まれたという事例もあります。まぁ、普通ハーフの人は互いに寄り添って隠れ里を作ったり、あまり偏見の無い国へ移住したりしてますね」
「ん? じゃあ、ハーフの隠れ里ってドワーフやドラゴン、エルフ、獣人なんかのハーフ達で暮らしているのか? それぞれの種族でなくて?」
「そのようですね、でも人間だけはハーフって無いですね? 血の力が弱いのでしょうか? まっ、どうでもいいですけどね」
(どうでもいいって……まぁ、重要じゃないけど、おれ自身偏見とかないからその辺は大丈夫か)
「じゃあ、ラストです! これはもちろん、この世界誰もが一緒です。みんなステータス確認できるし、スキルはあるし、モンスターも倒したら粒子になって消えてランダムでアイテムドロップするのは、世界の常識です! LV概念ももちろんあるので、異世界から来た人限定ではありません!」
(ほっ、それじゃ特に隠したりする必要はなさそうか……よかった。ずっと隠し事していくのは不安だったかな、俺うっかり喋ってしまいそうだしな~)
「それじゃ、もう十分ですね、私は之にて! でわ~あっ、そうだこれはサービスですよ~」
そう言うと、妖精は俺の周りを2、3回ぐるぐる回わった。
「えっと……なにしたの?」
「妖精の加護です! この種族の限定スキルみたいなモノです。数日の間は強力なモンスターに襲われにくくなり、他のモンスターから感知されにくくします。 それじゃあ 今度こそ! アリーデヴェルチ!!」
そう言うと、妖精は光に包まれた。そして光が治まると意識を失った妖精が落ちてきたので咄嗟に受け止めた。
「しっかし、色々とぶっ飛んだ奴だったな~さて、この妖精さんはどうしたらいいのだろう?」
すると、妖精は「うっう~ん」と唸り目をさました。
「おっ♪ 気がついたかい? 俺は……」
「ウガギャーァァァァァ!!!!?? ヒャガッ@*Δ%Χ!! #@$※!!!? ウニャァァァー!!!!!!!!!!!」
妖精は彼の顔を見ると、絶叫しながら恐らく妖精の言葉で、なにやら叫んで森の中に消えて行った……。
(そ、そこまで拒絶しなくても……見た目がそんな大事かよ!? 畜生……うぅ……)
彼は、本日何度目かわからない絶望を味わいながら、1人涙した。
早く宇宙人か、異世界人こないかな~そうすれば、俺も……うぅ 男は顔じゃない!女なんて……
(彼女は、できたこと無いですけどね……)
次回ようやく、出発します。 いざ大冒険へ!