違う・・・ チートってこうじゃない・・・
(はぁ、落ち込んでもしかたがない……。貰ったスキルを確認するかぁ)
彼は、木を背もたれにして座りなおしステータスを確認した。
名前:英田 志信
年齢:32
性別:男
LV:1
種族:人間?(かもしれない……)
職業:無職
称号:妖精に拒絶された男:(容姿をどうにかしないと、二度と妖精が近寄ってこない)
HP:24/24
MP:12/12
攻撃:8
防御:13
俊敏:2
器用 :11(+5)
知力 :21(+10)
幸運 :3 (-7)
容姿 :-43 (オークすら拒絶し嘔吐する醜さ・・・ えっ?人間なんですか?)
スキル
何でもできる!1:(何でもできるようになる やったね♪)
町村検索EX :(近辺の町・村の距離、方角をしめす指針が表示される、地図と併用できる)
精神耐性2 :(呪・魔術による攻撃効果を和らげる、精神汚染を防ぐ)
毒耐性1 :(外部・内部からの毒による攻撃を防ぐ、ブレス攻撃に若干耐性あり)
忍耐2 :(逆境になればなるほど、防御力が上昇する、敵のクリティカル攻撃を高確率で無効)
器用貧乏1 :(多種多様のスキルを身に着けられるが、達人にはなれない、器用に対して上昇効果)
逆境3 :(追い詰められるほど身体能力が上昇する、常に幸運を-3状態にする)
賢者?1 :(様々な知識を持つと思われる……? 知力が常に+10される)
鑑定?1 :(様々な物の補足説明等を知ることができるかもしれない……?)
加護
妖精の加護:(強力なモンスターに襲われにくくなり、他のモンスターから感知されにくくなる)
※ただし数日で効果は切れる
装備
センスの無い服 安っぽいズボン だれもが嗚咽する下着 小汚い靴 アイテムBOX
志信は噴出しながら、再び泣いた……。
(なんで、なんで皆俺をイジメるん……? あんまりじゃないか、この調子で行くと俺称号だらけになるやん。それと! さっきまでと補足文変わってるし、何!? 嘔吐確定なの!! 容姿も、装備も、しかも『逆境』酷くなってるし! これ以上俺を不幸にして何が面白いんじゃー!!! 極めつけは『何でもできる』って何だよ!! 具体的に何ができるのか皆目分からないじゃないか!! うわーん、もぅやだぁ~。この世界イヤー!!!!)
彼は一頻り泣き終えると、ようやく冷静を取り戻した。
(ぐすんっ…………とりあえず、確認だけはしないとな……えっと、どうやらスキルもレベルが上がるみたいだな、しかし何でもできるって……ホントに、なのか……? まぁ、試すしかないか)
彼は、立ち上がると正面の木に手をかざした。
「ファイアーボール! ……うーん、呪文が違うかな? これなら、ファイア! …………ック! メラ! アギ! フレイム!!フレアー!!!! ハァ、ハァ、ハァ……できないじゃん! 嘘つき、神のバカーなにが、『何でもできる!』だよ! 魔法なんて使えないじゃないか!!」
暫く喚き散らしていると、お腹がグキュ~っと鳴った。
「うぅ、そういえば……今日は昼外食になるから節約のため朝は抜いて来たんだ……。でも、食べ物なんて周りには無いし……」
そう言いながら、足元に落ちている石を拾って見つめた。
(本当に何でもできるなら……これがアツアツの霜降り和牛のステーキで、香ばしく焼け、肉のイイ匂いがして、油が溶け出して、噛むとほろりと崩れて、肉汁が口の中に広がり……あぁ~、肉食いて~)
そんな事を涎を垂らしながら想像していると、突如石が輝いた。
「うわ、なっ!? なんだっ。って、熱っ! アッチ、あっち~い!!!」
突然の熱さに驚き、手のひらから何かがぽとりと落ちた。
「アッツ~ゥ……フーフー……たく、いったい何がっ!!? こ、これは! まさか……肉!?」
そう、そこにあったのは間違いなく、先ほど志信が想像したステーキに他ならなかった、極小の超ミニチュアサイズステーキだが……
「ま、まさか……夢? いや、夢じゃない。本当に……」
彼は恐る恐る、肉を拾い上げ土を取り除いた。
(うん、匂いは間違いなく……手のひらの肉汁も、ペロッ!!! 肉の味!? こ、これは!)
驚きながらも、彼は徐にその肉を口に運んだ。
(!!!!!? う、美味いぞー!!! 旨い! 旨すぎる!! 多少じゃりじゃりするけど、間違いなく昔食べた。あの霜降り国産和牛の味がする!)
彼は、あまりの美味しさに感動し、再び石を手に取った。
「フフフフフ、これでまた肉を! よし!! 霜降り和牛ステーキになれー!! …………あれ? なーれっ!!! ……この、なれよ! なってよ。なってください……お願いなって…………」
(…………)
「なんでじゃー!? なんで、お肉にならない! どうして、ワ~イ? 何故!? さっきのは奇跡だとでも言うのか……いや、そんな訳……そうか!? さっきと何かが違うから上手くいかないんだ。 しかし、さっきと今の違いは……ん? もしかして、形だけじゃなくて中や香りまでリアルに想像する事……?」
集中し再び、あの肉の想像をすると……再び石が輝いた。
「やった! 成功だ! 熱っ! あつ! はむっ、んっ! うま~い幸せ~」
気を良くした志信は、手当たりしだいに周囲の石を食べ物に変え食べ始めたが……次第に息は荒くなり、そして気を失った。
それから数時間後……彼はようやく目を覚ました。
(う~、頭が重い……。体がだるい……。いったいなぜ? そうか……スキルも使用するとMPを消費するからか……くそ、使いすぎか……とりあえずステータスのチェックを…………やぱりのこりMPが3か、どれくらい気を失っていたんだろう? まだ薄明かりが見えるってことは、昼間なんだろうが……)
暫く俺はそのままの体勢で休憩していると、MPが8まで戻った。
腕時計で確認を執ると、どうやらMPは30分で1回復するらしい。そして彼はとりあえず食べ物をアイテムBOXに入れていると、食べ物の補足文面が気になった。
おにぎり
(炊き立てのご飯を柔らかく包みおにぎりにして、米自体に塩を少々塗してあり軽くのりを巻き、口の中でほろりと崩れ噛むほどに甘みが広がり、米の旨さが染み渡る一品! ……中身は梅干、種有り※ただし栄養素は一切無し)
(ん? 栄養素一切無し? ちょっと待てよ……。これも……これも、これも! 全部栄養素が無しになってる!? どうゆうことだ? 石から創ったからか? いや、枝とかで創ったのもあるから栄養素無しはありえない……もしかして…………)
志信は、石を握り食塩を想像する……。味や香りだけでなく、結晶の形や本来塩に僅かだが入っているカルシウム・カリウム・マグネシウム・ナトリウム等も原子構造まで思い出しながら作り変えていく……そして、石の光が弱まるとそこには、食塩ができていた。
(見た目や、味も……ペロ、うん塩だ。さて……補足文はと…………)
食塩
(1番ポピュラーな調味料、NaCl純度97%以上の食用の塩……※副成分:カルシウム・カリウム・マグネシウム・ナトリウム3%未満)
「うっしゃ! 成功だ!! さすが俺の記憶力♪ MS(モビル〇ーツ)の型式番号まで暗記できている俺に死角は無いぜ、中学生程度の問題は完璧!」
(内心、かなりうる覚えだったけど……まぁ、成功したしイイだろ! ただ、この世界の塩を確認してないから、完全に成功とは言わないが……暫くはお腹いっぱいなのに栄養失調なんてことは多少回避されたな! でも、早いとこ村か町に着かないと野垂れ死にまっしぐらだからな、本格的に暗くなる前に移動するか、妖精の加護が無くなったらやばいからな)
そして彼はようやく、最初の地点から移動し始めた。
(確かに何でもできるスキルかもしれないが、超緻密に完璧な想像をしないと成功しないって……もっとマシなスキルが欲しかった。)
(これも、神の手のひらの内かね~あいつら、今頃笑い転げてるんだろうな……くそ! こうなったら、絶対生き延びてハーレムでもなんでも作ってみせる! じーちゃんの名に懸けて! (会ったこと無いけど……))
そうして志信は、意気込みを新たに森を進み始めた。
次回、ようやくヒロイン登場です。 ご期待ください!




