表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/33

第20話 バトルのあとの空騒ぎ 【第1章エピローグ】

地味なサラリーマンのけいは、新幹線で着替えて女装してめぐみとなるのが趣味。もう一つの趣味は信長と狩野永徳推しの「戦国オタク」。東京発の新幹線が名古屋に着く直前、桶狭間古戦場を通過したときにセーラー服女装のまま、1560年の今川義元の本陣に転生してしまう。義元を史実とは逆方向の大高城へ脱出させ、恵と5人の護衛はそれを追いかける。しかし、あと少しで義元本隊に合流できるその瞬間、霧がサーッ晴れ、後ろから信長が現れる。手練の護衛が次々と信長の狙撃と利家の槍によって倒れていくが、恵の2028年のスマートチョーカーの無駄機能「プロジェクションマッピング」が炸裂して脱出に成功。恵の首から放たれた未知の黄金色の光の束を見た少年絵師の狩野永徳は夢中でスケッチを始める。

 三叉路で馬上の信長は腕を組み、西の大高城に向かって疾走する(めぐみ)・青年武将、鈴木四郎の2頭の馬を見つめる。晴れ渡った青空から差す陽光に黒い甲冑が反射し、霧を払った風が真紅のマントを翻す。


 隣の馬の木下藤吉郎は長い手をおでこに当て、目を細めて「だいぶ距離が開きました。もう追いつけませんな」と言う。


 その反対側では、あやめ色の狩衣(かりぎぬ)をまとう狩野永徳が地べたに座り、一心不乱に半紙に向かって筆をシャッシャッと運ぶ。周りには5、6枚の半紙が書き散らかされている。


 「あー、イテテ」と言いながら前田利家が戻ってくる。信長と永徳の間に馬を割り込ませ、スタッと馬から降りる。


 信長の馬の横に装着された信長専用槍ホルダーに槍を戻し、「はい、槍を返しますよ」とふてくされたように言う。


 藤吉郎が「だから、又左(またざ)! 順番が逆!」と叱るが、信長は前を向いたまま無視し、咎めもしない。


 利家は「ちぇっ」と言い、永徳の後ろに立つ。地面に散らばる半紙の1枚を手に取ると、そこには、利家が三郎を槍で串刺しにした瞬間が劇画風に墨で描かれている。


 「おーっ、こいつは嫁のマツへのいい土産になるぜ。絵師の小僧、なかなかやるじゃねぇか」と利家が珍しく褒め、「これやるよ」と永徳の頭に恵が投げつけた白いベレー帽をちょんと乗せる。


 藤吉郎は首を伸ばし、信長の馬越しにベレー帽をかぶって筆を振るう永徳を見て、「なんだか一層、絵師って感じがしますなぁ、ねぇ、信長様?」と言う。信長は横目でちらっと見て、「で、あるな」と普段より高い声で答える。


 そんな3人の盛り上がりをよそに、永徳はベレー帽をかぶらされたことにも気づかず、「あの光、あの色、そして姿…妖狐? いや迦陵頻伽(かりょうびんが)?」とぶつぶつ言い、筆を止めない。


 利家は「なんか絵師大先生は自分の世界に入っちまったな」と笑うと、突然、永徳が立ち上がり、「そうか!」と叫ぶ。


 驚いた信長が首をバッと右に振り、目を見開いて永徳を見つめる。利家は「なんだよ、なんだよ。今度は白き妖女(ようじょ)の妖術にでもかかっちまったんかい?」と冗談を言う。


 永徳は「違う! あれは()()じゃない」と強く否定する。カチンと来た利家は「おい、絵師! ちょっと褒めたくらいで調子に乗るなよ」と(すご)むと、永徳はハッと我に返り、「す、すみません。利家殿を否定したわけじゃなく」とまた元のオロオロした少年に戻る。


 信長が「永徳よ。『白き妖女』の何が違うと言うんじゃ?」と助け舟を出す。永徳は「あっ、はい」と信長に向き、姿勢を正し、きっぱりと言う。


 「彼女、いやあの人は女じゃないんです! 男の()なんです!」


 信長、利家、藤吉郎の3人が一斉に声を上げる。


 「なにー?! オトコー?!」


(第1章・完)


次回、第2章大高城編スタート!倒錯的ドSの今川義元との再会!そしてどうなる家康?!第21話、5月3日朝公開!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ