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第21話 次の舞台 大高城へ 【第2章開幕!】

地味なサラリーマンの恵(けい)は、新幹線で着替えて女装して恵(めぐみ)となるのが趣味。もう一つの趣味は信長と狩野永徳推しの「戦国オタク」。東京発の新幹線が名古屋に着く直前、桶狭間古戦場を通過したときにセーラー服女装のまま、1560年の今川義元の本陣に転生してしまう。義元を史実とは逆方向の大高城へ脱出させ、恵と5人の護衛はそれを追いかける。しかし、後ろから信長に追いつかれ、手練の護衛たちが次々と信長の狙撃と利家の槍によって倒れていくが、恵の2028年のスマートチョーカーの「プロジェクションマッピング」が炸裂。恵たちは大きな犠牲を伴いながら、信長の追跡(チェース)から脱出する。そして第2章「大高城編」の幕が開く!戦国の長い一日は終わらない!

 桶狭間の雷雨が去り青空がスッキリと広がる。燕が一羽、澄んだ風を切り、戦場の上空を滑る。翼を軽く振るうごとに、戦の傷跡が広がる大高丘陵が眼下に展開する。泥濘に沈む折れた槍の残骸、泥と混じり赤とは言えない血痕が、陽光に照らされ鈍く怪しく光る。


 燕は三叉路の上空に来ると旋回を始める。漆黒の南蛮鎧をまとう織田信長と、妙に手の長い木下藤吉郎が馬を並べる。

 信長の横には、馬を降りた前田利家が腕を組み、白いベレー帽をかぶった狩野永徳を見下ろす。永徳は地面に座り込んで一心不乱に筆を走らせ続けている。


 燕は4人の上を一周すると、西に向かって翼を傾け滑空する。


 四半里(1キロ)ほど先、下り道を疾走する2騎を捉える。恵と青年武将の2人乗りの馬、先行してゴルティクス製の黒いキャリーバッグを抱える鈴木四郎の馬が泥を飛ばしながら蹄音を響かせる。


 燕は高度を下げ、2頭に並ぶ。恵のセーラー服と帽子のないウィッグがバタバタと風で大きく揺れる。恵を抱きかかえて手綱を握る青年武将の目からは止めどなく涙が溢れ、向かい風で飛ばされ、いくつもの雫となり、光を集めて美しく煌(きら)めく。


 燕は2騎を追い越し、上昇する。さらに半里(2キロ)先。海を背にした独立丘陵の大高(おおたか)城が姿を現す。


 燕は、大高城の門前に近づくと急降下する。今川義元率いる250騎が、門前で100人単位の部隊ごとに、10ブロック×5列(段)で整然と並ぶ無傷の遠江軍団5000人に今まさに合流しようとする。


 遠江軍団の先頭には、井伊家の「井桁」の旗を掲げた一人の騎馬武者が、主(あるじ)の義元を迎えようとしている。


 義元がゴルティクス製のコートのフードをパッと後ろに払って、その白粉(おしろい)とお歯黒の悪役プロレスラーのような顔を晒すと、燕はひゅっと飛び去り、城の門を越える。


 燕が見下ろす城内は凄惨だ。

 飢餓に喘ぐ城兵があちこちの壁にもたれ、干し飯(い)を齧(かじ)る。朝に救援で到着したばかりの三河軍団は5000から3000と直前の大乱戦でその数を大きく減らしていた。三河軍団の生き残りたちも、槍を杖にうめきながら水を探すもの、手や足の一部を失い地べたに転がるものと誰もが亡者のように蠢(うごめ)いている。

 燕は城の上空を大きく一周すると、また青空へと高度を上げ、夕方になる前に巣に戻ろうと、西の海へと消えていく。

次回、第2章のストーリーが動き出します!青年武将の正体が明らかに!義元を迎えた井伊家の武将とは?5月3日夜公開!お見逃しなく!

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