第107話 拾ってきました
秋。
山裾の小屋。
収穫。
保存。
干し物。
かなり忙しい。
そして今。
新しい問題。
「漏れる」
樽。
古い。
「また漏れてる!」
「塩湿気たぞ!」
「こっちも割れてる!」
保存量。
増えた。
つまり。
今まで適当だった物が。
足りなくなっていた。
その日。
夕。
小屋へ。
若い僧。
戻って来る。
後ろ。
知らない男。
薄汚れ。
荷も少ない。
周囲。
少し警戒。
「誰だ?」
僧。
頭を掻く。
「寺の市で、
見つけまして」
「若、
好きそうだったので」
周囲。
少し笑う。
最近。
皆。
分かっていた。
黒田万吉が。
欲しがる物。
保存出来る。
長く使える。
手間減る。
流せる。
。
だから。
僧も。
寺。
市。
旅人。
その辺を回りながら。
「小屋に合いそうな人」
を。
見るようになっていた。
僧。
少し笑う。
「若」
「最近、
寺や市で」
「流れて来た半端者を見ると」
「つい、
若に合うか考えてしまうんです」
周囲。
少し笑う。
「分かる」
「保存出来るとか言うと、
食い付きますし」
男。
少し俯きながら。
「……樽屋見習いでした」
「親方死んで、
散りまして」
「半端ですが」
「竹締めぐらいなら」
その瞬間。
万吉。
かなり反応。
「漏れなくなるか?」
「長持ちするか?」
「塩入れられるか?」
男。
少し驚く。
「……できます」
周囲。
苦笑。
「やっぱり食い付いた」
そして。
壊れた樽。
持って来る。
男。
少し確認。
竹。
打ち直す。
締める。
水。
入れる。
漏れない。
周囲。
少しざわつく。
「おお……」
万吉。
かなり真面目。
「使えるな」
男。
少し安心した顔。
その様子を見ながら。
井上。
ぽつり。
「最近」
「人を拾う流れまで、
出来始めましたな」
確かに。
気付けば小屋は。
「流れて来た半端者」
が。
少しずつ。
引っ掛かる場所になり始めていた。




