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第66話 なんかやってる



 春。


 御着から。


 油屋が来ていた。


 以前。


 万吉が。


 油をまとめて買った店。


 それ以来。


 時折。


 姫路へ流して来るようになっていた。


 荷を積み。


 道を進む。


 去年も通った道。


 だが。


 今年。


 少し違う。


「……通りやすいな」


 荷車。


 揺れが少ない。


 ぬかるみも。


 去年より浅い。


 道も。


 妙に残っている。


 油屋。


 周囲を見る。


 川沿い。


 土を触った跡。


 石。


 水の流れ。


「普請か?」


 ぽつり。


 さらに進む。


 山裾。


 人がいる。


 小屋。


 煙。


 荷。


 そして。


「……女、

 結構多いな」


 通いだろうか。


 出入りしている。


 さらに。


 少し離れた所。


 カン。


 カン。


 何かを叩く音。


 微かに聞こえる。


 油屋。


 そちらを見る。


 小屋が。


 少し離れて建っている。


 煙。


 炉。


「……なんかやってるな」


 だが。


 近付く訳ではない。


 ただ。


 見る。


 そして。


 頭の片隅へ置く。


 商人。


 そういう生き物。


 その後。


 姫路の流れ商人と話す。


「姫路領、

 最近流れ良いですね」


「去年より、

 荷が崩れませんでしたよ」


「道も、

 前より残ってる」


 そして。


 何気ない顔で。


「山裾で、

 なんかやってましたな」


「黒田の若様の所でしたか?」


 流れ商人。


 少し笑う。


「まあ、

 なんかやってます」


 それだけ。


 だが。


 少しずつ。


「姫路の山裾に、

 妙な流れがある」


 そんな噂が。


 商人達の間へ。


 流れ始めていた。


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