第42話 「使えるか?」 あるいは 「相手をされる」
親を亡くした子供達を。
小屋へ置いて。
数日後。
山裾の小屋。
以前より。
少し賑やかになっていた。
子供達の声。
走る音。
荷を運ぶ姿。
まだ小さい。
だが。
確かに流れへ混ざり始めている。
その日。
万吉は。
小屋を見回しながら聞いた。
「どうだ」
「使えるか?」
最初に答えたのは。
流れ商人。
「ええ」
「足の速い子ですが」
「使いようあります」
「あちこち走らせると、
かなり助かります」
「教えれば、
何とかなりそうです」
万吉。
頷く。
流れ商人。
さらに続ける。
「あと」
「素材も持って来てくれます」
「縄に使う草とか」
「木の皮とか」
「子供の方が、
見つけるの上手いですね」
次。
組紐の女。
「枝拾いの子も、
結構助かってます」
「焚火に使えるので」
「集める手間が減りました」
「その分、
作業できる時間増えてます」
万吉。
少し考える。
流れが。
少し増えている。
人が増えた。
↓
雑用が回る。
↓
大人の手が空く。
↓
作業が増える。
ちゃんと繋がっている。
その時。
流れ商人。
ふと。
子供達を見る。
荷を持って走る子。
枝を抱える子。
女衆の横で縄を見る子。
そして。
ぽつりと言った。
「何より」
「大人に相手してもらってるのが、
良さそうです」
その場。
少し静かになる。
確かに。
以前の子供達。
村では。
手が足りない。
だから。
放っておかれる。
邪魔扱いされる。
飯だけ食わせる。
そんな状態だった。
だが今。
「それ運べ」
「こっち見とけ」
「これやってみろ」
ちゃんと。
声を掛けられている。
役を与えられている。
万吉。
子供達を見る。
少し考える。
そして。
ぽつり。
「使えるからな」
悪気。
全く無い。
だが。
その言葉を聞いた子供達は。
少し嬉しそうだった。
その横で。
井上之正は。
静かに思う。
万吉は。
優しい言葉を掛ける訳ではない。
励ます訳でもない。
だが。
「必要だ」
とは。
自然に伝えている。
それが。
あの子達には。
何より効いていた。




