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第126話 「近習」


春。


山裾。


かなり暖かくなっていた。


雪。


もう残っていない。


半地下。


使われ始め。


村々。


少しずつ。


備える空気が広がっている。


干し場。


棚。


炭。


板敷き。


去年より。


皆。


少し慣れていた。


その頃。


黒田万吉。


姫路へ呼び戻される。


相手。


黒田職隆。


屋敷。


部屋。


少し空気が硬い。


万吉。


座る。


職隆。


静か。


しばらく。


言葉が無い。


そして。


口を開く。


「小寺家から、


 達しが出た」


万吉。


少し止まる。


「……何です」


職隆。


真っ直ぐ見る。


「お前を」


「近習として、


 迎えるそうだ」


部屋。


少し静か。


万吉。


少し考え。


ぽつり。


「……人質ですか」


職隆。


すぐ返す。


「はやまるな」


そして。


静かに続ける。


「お前は」


「市を大きくした」


「流れを作った」


「それにより」


「小寺にも、


 利が流れておる」


「だから」


「近くに置き、


 使いたいとお考えなのだろう」


万吉。


少し黙る。


つまり。


小屋でやっていた事。


「外へ届いた」


かなり静か。


職隆。


さらに続ける。


「無論」


「近くに置けば、


 見える」


「そういう意味も、


 あるだろう」


つまり。


「期待」



「監視」


両方。


かなり戦国だった。


万吉。


少し考える。


そして。


ぽつり。


「……小屋、


 離れるのか」


職隆。


少し笑う。


「もう」


「お前がおらずとも、


 回り始めておる」


万吉。


少し止まる。


半地下。


干し場。


市。


村々。


去年まで。


自分がいないと。


回らぬと思っていた。


だが今。


少し違う。


炭を置く者。


板を敷く者。


備蓄を残す者。


村へ広げる者。


流れ。


残り始めていた。


職隆。


静かに言う。


「人を使うとは」


「そういう事だ」


「お前一人で回しておる内は、


 限りがある」


「だが」


「残れば、


 流れになる」


万吉。


静か。


そして。


少しだけ。


外を見る。


春の風。


かなり暖かくなっていた。


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