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落ちこぼれな俺と神獣精霊  作者: ボラオ
9/11

可笑しな夢の巡り遭わせ

俺は夢を見ていた。

今生きている時代よりずっと前の夢を。

その時代は、精霊騎士が存在する前、精霊と契約する者を精霊使いと呼んでいた頃の時代。のように感じた。実際にその時代の写真なんてテキスト端末にだって少ししか載っていない。

でも、俺はそう感じた。

夢の中では、1人の男が赤色の鷲のような精霊と共に女の人に跪いていた。その女性は、お姫様のような高貴な見た目をしていたが、顔はぼやけて見えなかった。男性の方は騎士のようにその女性に仕えていた。その男性の表情は、主君を守る為ならば、自分の命が尽きようとも構わないという顔で薄っすらと微笑んでいた。その笑顔には優しいさや嬉しさがあったが、それ以上に儚さがあった。それはまるで、領主に仕える忍者のように決して表舞台に上がることなく一生を終える儚さが。


その儚さに憧れと少し懐かしむような自分がいた。


そろそろ夢が覚めそうになった瞬間、女性の顔のぼやけが消えて、一瞬はっきり見ることができた。


髪型は、長い銀色の髪を後ろでお団子にし、シニョンアレンジでまとめていて、ティアラを被っていた。顔は、透き通るような綺麗な肌で、誰もが息を呑む程の美人だった。


綺麗だ..と思って瞬間夢が完全に覚めた。

しかし、女性の顔を見た瞬間..初めて見た顔ではなく、遠いどこかで会ったことがあるような、よく知っているような...。


ただ...


やっと会えた。


そう感じた。



〜〜〜



いつまでも眠っていたくなるような心地いい感じ。


例えるなら、そう。


春の朝にベットから出たくなくなる感じと言った方が分かりやすいだろうか。


俺、緋桜火聖は目が覚めた。


が、周りに気配があるので目は瞑ったままだ。

その状態で、5分は経っただろうか...


(もういいかな?)


そう思ったので、ゆっくりと目を開ける。

最初に見えたもの....それは白い天井だった。

その天井には見覚えはない。

だが、おそらく保健室だろう。


俺は欠伸を一つしながら、上体を起こして周りを見た。そこには、精霊騎士が2人と教師が3人、それから女子生徒1人(制服についている校章が赤色なので、1年生)がそこにいた。

そして、俺が目を覚ましたことで視線が一気に集まった。ここで言うべきセリフは...


「あっ、おはようございます!えーと、なんで、俺は此処に居るんですか?」


である。勿論嘘。

『なんで、此処に居るのか』、それは、俺があの精霊術の使用の際に魔力調整を誤って、殆どの魔力を注ぎ込んでしまい、魔力過剰消費により、気を失ったからだ。だが、ここで神獣精霊という爆弾を投下したら間違いなく自由な生活ができないし、めんどくさい。だから、嘘をついた。

そして、周りの人たちの反応は驚きを隠せていないという感じで、少し申し訳無い気もするが無視をした。ここで、もう一度周りにる人を見て、一年生の女子生徒と目が合った...


「姫...」


「え!?」


俺は、初対面の女子に向かってとんでもなく恥ずかしいことを口にしてしまった。現に彼女も苦笑いを浮かべ、周りの大人達も俺のことを本気で心配し始めた。まぁ、さっき見た夢に出てきたお姫様に似て美人..というか美少女なのは確かだが、弁明をしなければ..


「いや、さっき見た夢に出たきたお姫様が君に似ていたからつい...済まん..」


やべ、余計なことまで言っちまった!?


「夢?実は私も最近先輩に似た人が出てきた夢を見たんです。夢では、先輩に似た人は私に仕える騎士でしたよ。」


うん?騎士?俺が?確かに、俺の見た夢にも騎士みたいなのがいたが...こんな偶然もあるんだな。

凄えな。


「俺に似てる騎士か。。精霊と契約出来なさそうだなw」


「そんなことないと思いますが。。」と、苦笑いを浮かべていた彼女の特徴は、なんと言っても、銀髪を二つの青のリボンで結んだ、ツインテールだ。

結んだ髪は腰まで伸ばしている。身長は約145㎝くらいだろうか。体型はやや細すぎ?の様にも感じる。しかし、顔は整っていて、可愛いというか美少女というか、まるでどこかのお姫様のような高貴な感じがある。胸は...まぁ、失礼な気がするので触れないでおこう!


そんな事を思っていると、俺は彼女に疑問を持った。


「そういえば、君はどうしてここに?」


うん?そういえば、不死鳥はどこだ?紋章の中にいるとか言ってたが...。


「わ、私は...その、えーと、試合中に現れたバハムートを討伐するはずだったんですが、その..中々先輩が避難をしないので攻撃しようにも出来ず...」


「隙を見て攻撃しようとした時に、いきなり青い炎がバハムートを呑み込んだと思ったら、バハムートは消えて、《気がついたら先輩は倒れていて》、

その...今回の事件の参考人として事情聴取をしに来ました」


彼女は、そう言うと少し緊張したのか顔を紅く染めていた。が、そんなことよりもあの薄れ行く意識の中で見た生徒が目の前にいる生徒とは...。

これは下手なことはできない。それに...


(この子、まさか噂のSランク精霊騎士なのか?!俺より、一つ下なのに...凄いな)


しかし、彼女は俺を庇っているのか?うーん...。


「なぁ...青い炎ってどこから出てきたんだ?」


そう言って、彼女の方を見る。すると、彼女と目が合うも恥ずかしそうに顔を紅く染め目を逸らされてしまった。が、一つ深呼吸をすると、此方を向いて話してくれた。


「突然現れたんです」


「え?」


突然...確かに俺が炎を放つ前は時間が止まっていたけど...これじゃあ判断は難しいな。


「先生たちは見てたんですか?」


教師も数人いたはずだが...。


すると、教師の1人が答えた。


「一応は見ていた。ただ青い炎が出てきたのは見ていたが、どこからかまでは見ていない。君が残っているのは確認できたが、怖くてフィールドには行けなかった。本当にすまない。」


この人は少し言いにくそうにしていた。

でも、その気遣いが嬉しかった。流石教師だなっと思った。


「大丈夫ですよ。アレを倒せるのはS級精霊騎士だけなんで、仕方ないですよ」


とりあえず整理しよう。

この子は一部始終を見ている。しかし、青い炎の発生源は見えていない。だが、彼女は嘘をついている筈だ。俺がやられそうなところまで見ているのに、あの時俺が右手を突き出し、掌から青い炎を放ったところを見ていないなんてありえない。

一体何が目的なんだ?

とりあえず、この事は後に回す。


先に片付けなければならない事をする。

それは...


「じゃあ、事情聴取をお願いします。この子も俺も早く終わらせたいので」


そう言って、俺は早く面倒事を片付けたいので事情聴取をするようお願いした。が、精霊騎士の1人が俺に話しかけてきた。よりによってアイツが...


「おいおい、その右手の甲にある紋章はなんだ?見たことのない紋章だな。鳥の羽と火ってところか?お前、精霊と契約できたのか?」


と、おれの親父キトラが余計な事を言って話しかけてきやがった!髪型は俺と同じベリーショートで背は180センチ。因みに俺は170前後だ。親父の顔は、良くモテていると聞くが、イケメンとは思わない。そんなことよりもどうやってその場をやり過すごす?


「な、何言ってんだよ!俺が精霊と契約?ないない!!ただ、さっき目を覚まして右手を見たら紋章があったんだよ...なんで紋章が...」


最後は、不安がる。そして、親父はどう出る?


「そうか。まぁ、フィールドに魔物とは別の...精霊と同じ反応が残っていたから、もしやと思ったんだがな...。何か違和感、変化があったら教えてくれ。それじゃあ」


「え。。事情聴取はやらないんですか?」


もう1人の精霊騎士に言った。


「その事なんですが...火聖君はフィールドでの記憶がないのと、そちらの生徒さんが先ほど説明していたので、その必要はありません。」


と、少し気難しい感じのする眼鏡をかけた女の精霊騎士が言った。


「そう言うことだ。俺たちは暇じゃないし、今ある情報だけで判断するしかないんでな。新しい情報が入り次第、事情聴取は御預けだ。まぁ、“ボロを”出さないように気をつけな!それじゃ、ナナミ行くぞ!」


そう言って、保健室を出てようとしてアイツは立ち止まった。


「火聖、聞き忘れた。突然現れたバハムートの見た目ってどんなだ?」


なんでそんなことを?まぁいいや。


「黒い鱗で覆われてて、確か目が赤黒かったような...」


すると、親父は考える素振りをし、とナナミという女性は目を見開い驚いていた。


???


「そうか。じゃあナナミ行くぞ。火聖、ボロは出すなよ」


そう言って出て行った。

そして、親父とあのナナミという精霊騎士が俺の事について知っているという事が分かった。


(くそっ!うまく誤魔化したと思ったのになぁー)


そんな事を思っていると、気がつけば教師たちもいなくなっていて、この保険室には俺と彼女が残った。しばらく沈黙があったが、それを破ったのは俺だ。


「俺の名前は緋桜 火聖。なぁ、君の名前は何て言うんだ?」


俺はそう言いながら、ベットから降りて欠伸を一つする。彼女は頬を紅く染めらせながらも、可愛いらしい声で答えた。


「私の名前は、フユカ・アイヒスです。先輩の精霊さんとは先程からお話しさせていただいています」


彼女の名前、フユカ・アイヒス。アイヒスとは、雪国にある貴族で、その国には精霊騎士学校がなく日本に留学したらしい。噂によれば、日本に用事があってわざわざ遠いに日本に留学したとか。


そんな彼女が、今何て言った?


俺の契約精霊とさっきから話ていた?


あまりの衝撃に驚きが隠せない。

そんな俺の様子を見て、彼女は悪戯っぽく笑い、俺の“近くまで来て”話しかけてきた。


「先輩、驚いちゃいましたか?」


「まぁな。そうか、それで俺がいくら話しかけても応答がなかったのか。それと、君が嘘をついた事も納得する事ができる」


彼女が、俺の契約精霊を通じて協力してくれた事を話してくれてだおかげで、疑問がなくなった。

まぁ、精霊騎士には意味がなかったがな。


すると彼女は、薄っすら微笑み


「迷惑でしたか?」


そう言った彼女の顔は、夢に出てきた姫にそっくりだった...調子が狂うなぁ...


「いいや。助かった。ありがとな。じゃあ俺は教室に戻るよ」


そう言って保健室から出ようとしたが、彼女がいきなり後ろから俺の手を掴んで、大声で一言言った。


「待ってください!」


その一言と声の大きさ(可愛いさは変わらない)、そして手を女の子に掴まれた事にびっくりし、後ろを向いて用を尋ねた。


「ど、どうした?いきなり大声で...」


「い、いえ...そのすみません...大声でいきなり...」


「それはいいけど。俺に何か用か?」


「...。」


沈黙。言い難いのか。

すると彼女は、申し訳なさそうにして...


「先輩を危ない目に遭わせてしまい、申し訳ありませんでした。」


そう言って、お辞儀をした。

綺麗な90度だった。


「君が謝ることないだろ?俺が勝手に判断して残ったんだから」


彼女は顔を下に向けたまま言った。


「私が避難しなかったのは、さっきも言いましたが、バハムートを討伐する為でした。バハムートとというより、不測な事態になった時、それを対処するという役割ですが。。でも、あの時私は何もできなかったんです。生徒が見ていいる前では、精霊の力を使いたくないという一心で。。」


今、彼女がどんな顔をしているのかわからない。

でも、少なくとも声だけは、申し訳なさがあって、誠意が伝わってきたのがわかった。


「確かに、君には力がある。それもSランク精霊騎士の力が。けど、Sランク精霊騎士の前に、君は1人の女の子で、この学校の生徒だ。怖がっても、不安がってもいいに決まってる。気にするな」


気がつくと、彼女は顔を上げて俺の顔を見て話しを聞いていた。


「それでも気にするなら、次は絶対自分から逃げるな」


「はい。次は絶対自分から逃げません」


そう言って彼女はニコっと笑った。

俺はこの笑顔を良く見ていた気がする。


懐かしい。


「姫...」


「ふふ。また言ってますよ?」


彼女は、さっきの申し訳なさそうな顔から、嬉しそうな表情になった。


「あ、済まん」


またやっちまったよ。今日の俺はおかしいな。

はぁ、とため息をついて俺は、今度こそ保健室から出よう一歩を踏み出そうとした時、


「あの...」


呼び止められた...まだ何かあるの!?


「今度はどうした?」


俺が彼女にそう聞くと、また言い難そうにしていた。けど、なんかさっきとは違い、頬を赤らめて緊張している感じだ。


「えっと...その...コレを....」


彼女はそう言って、ポケットから取り出した紙一枚とペンを俺に差し出した。


その紙に書かれた文字は...


「...」


な!?


は!?


どういうこと??????


「精霊指導届け...」


「そうです...。もし宜しければ...」


「あ、あのなぁ、Sランクの精霊騎士の君が俺に、一体何を教わると?」


俺は、呆れた声で聞いてた...。


「それは、もちろん先輩の魔力を使った戦い方をです!それに、先輩は間違いなくSランク以上の精霊騎士になります!」


彼女は、元気にそう言った後、ニコッと笑った。


「ま、魔力って、精霊の力が使えるんだからそれを使えよ!」


俺は彼女にそう言った!大声で!

だが、彼女も負けじと俺に言い返してきた。


「せ、先輩は、移動が速いので、詠唱を唱える隙がないんです!その移動だけでも身につけたいんです!」


向上心がある事に、少し感心した。

まぁ、どうせこの調子ならイエスというまで言い続けそうだしなぁ。。


「はぁー、分かったよ。そこまで言うなら教えてやるけど、その代わりに何かしてくれ!」


俺は溜息混じりに了承し、彼女の名前が書かれている下の欄に自分の名前を書き、最後に許可と書かれた所に丸をつけて彼女に渡した。

すると、彼女は不思議そうな顔をして、聞いてきた。


「あ、あの...先輩、何かしろって...その..私初めてなので、ちょっと...」


彼女は、とんでもない誤解をしていた!?

顔を赤くして。。。


「違ーーーーーう!!勘違いするな!!!!さっきの条件は忘れろぉぉ!!」



「はい!!!ごめんさい!!」


誤解は解いた。よかった。。ハハ。疲れた。

彼女はと言うと、何やら考えているようだ。


「やっぱり、せっかく先輩に無理を言って了承してくださいましたので、何かお礼をしないと気が済みません」


と言って腰に両手を当てた。

そんなこと言われてもな。。


「うーん。別にこれと言ってないな」


彼女は、頬を膨らませ、


「えーー!!そんな...。もっと真剣に考えて下さいよ!!!可能な範囲なら何でも大丈夫ですから!」


「うーん...」


「じゃあ、姫って呼んでいい?」


さっきから頭に凄く訴えてかけられていた。

まるで、姫と呼べと言われているようだった...


「え!?他にはないんですか?」


ビックリして目を丸くさせていた。


「今んとこ、これしか思いつかん」


彼女は何か考えて。。


「分かりました。でも、他に思いついたらすぐに言ってください。約束ですよ?あ、この場合はの命令ですね!ふふ」


そう言った彼女。。いや、姫は物凄く嬉しそうだった。


「ああ。姫の御命令とあらば..w」


そう言ってお互い可笑しな発言に笑って、それぞれの教室に戻った。


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