第7部
挿絵はエスメラルダ姫
バルドン兵隊長は大魔法使いエンノ・オズノの治めるヒポポタマスの都で剣の道場に9年間所属していたそうだ。
9歳の時から預けられてたそうで、いま、この町で多分、一番の剣の使い手だと思う。
オオヨドハジメも、18歳のバルドン兵隊長に頼んで、剣術を教えてもらっている。
ここ2か月指導を受けて、かなり剣を振れるようになった。オオヨドハジメはlv99の最強でも、剣術なんて知らなかった。一度も剣なんて持ったことないから仕方ない。
ヒポポタマスの都ではこの世界の有名な剣士パーフェクト卿が剣道場の学校を開いていて、大勢の剣士を育てているそうだ。パーフェクト剣技学校といって全寮制で騎士道精神も叩き込まれるかなり厳しいとこだそうだ。
バルドン兵隊長は、イケメンではないそれなり顔のオオヨドハジメよりさらに残念顔なので、気の毒だ。
それでも動きはきびきびして凛々しい。
お城の若いメイドの女の子たちにバルドン兵隊長ファンがいて王宮の剣技練習場の隅っこにかたまって何人もコッソリ剣技練習を見に来ている。熱い眼差しをバルドン兵隊長に送っている。
オオヨドハジメが王様にされたパピリア王国の王宮は、ハトル王が倒されたとき兵隊も逃げ去ったので、メハネ執事が80人の兵隊を新規に町の若者たちから雇った。採用試験を実施してそのうち7人は採用試験に合格した女の兵隊も混じっている。
毎日朝から、バルドン兵隊長は80人の新米の兵隊たちに筋トレから始めて、剣の基本と馬の乗り方まで、教えている。馬の乗り方は、裸馬に苦労して乗っていたオオヨドハジメとシノムラマリコも教わっている。
「ハジメ王とマリコ卿は中々筋がいいですね」とお世辞を言われた。
オオヨドハジメが熱狂した民衆から王様にされたとき、次の日にメハネ執事が三人の呼び方や称号や肩書も決めた。
オオヨドハジメはパピリア国王のハジメ王。パピヨンは王室魔法使いでパピヨン師。シノムラマリコは国王顧問のマリコ卿。
きょうはメハネ執事はエスメラルダ姫の世話をしたいと言って一日暇をとって、妻のメハネ夫人を訪ねて王家の別荘へ行ってるので、いない。
なので、朝から、家政婦長のシスチナおばさんが張り切って仕切っている。
几帳面なのは良いが口うるさくて、お城はなんか居心地が悪い。
オオヨドハジメたちがまだ寝ているのに、いきなりお城の一斉清掃が始まり、ハジメ王、マリコ卿、パピヨン師たちは、たたき出された。「掃除が済むまで、ほこりっぽいから食事も掃除が済んでからですっ!」とシスチナ家政婦長に言われた。
みんな、お腹がペコペコだ。
仕方ないので、パピヨンの魔法でご飯を出してもらった。
何が魔法で変えられてるのかは分からないが、お腹空いたので……気にしない。
お城の近くの公園の芝生で、パピヨンが魔法をかけた。
レジャーシートの上に、大きなハム、チョコレートケーキ、シロップのいっぱいかかったパンケーキの山、ブルーベリーパイ、オレンジジュースの大きな瓶とコップが3個、大きなアイスクリームが銀の皿に山盛り。
小皿とフォークも。
魔法の中身が何であろうと、十分!ーー贅沢なお弁当のピクニック。
公園の芝生の上で、たらふく食べて、ハジメ王が後ろに「ああ、満腹、満腹」と寝そべったら……そこに大きな犬のウンチが……ぐふっ!
お城のお風呂に入ろうとしたら、お風呂も『清掃中』の札が出ている。
「わがまま言わないで、もう少しだから待っててください」と言いながら召使を総動員して徹底的に掃除している几帳面なシスチナ家政婦長……うらめしい!
町の外の小川まで行って、身体を洗ってたら、二人も水浴びはじめた。
三人とももろ裸になって……キャッキャ ウフフーー水の掛け合いをして楽しんだ。
メハネ執事ーー!!早く帰って来て!